多摩川の自然のニュース:2014年4月〜6月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2013年10月〜12月
2014年1月〜3月
2014年7月〜9月

6月29日 永田地区 曇り時々強い日射し
 カワラノギク・プロジェクト。第1回除草。永田地区A工区でカワラノギクが比較的多く残っている地区を参加者約30名で除草抜根。往路通った水辺付近でカワラニガナの小群落が8箇所合計401株あった。帰路通った堤防のり面にヒロハカワラサイコが22株。いずれも昨年の調査よりも増えている。
 カワウ、アオサギ、ホトトギス、ツバメ、ウグイス、オオヨシキリ、シジュウカラ、ホオジロ、ガビチョウ、ハシボソガラス。

6月21日 永田地区から多摩橋までの多摩川右岸
 カワラノギク・プロジェクト。2014年度第1回保全活動。めばえのカウント調査。E工区(水辺)にて8班に分かれて、25mメッシュの中心点から半径2m内のカワラノギクの実生、ロゼット、抽苔(茎を伸ばした株)を数えた。調査の集計結果は後日PJ会員に知らされる予定。
 午後は永田橋から多摩橋までのカワラノギク分布調査。橋周辺は昨年30株あったが、今回は2株しか見つからず、下流部の分布の有無が危ぶまれたが、この2株も含めて実生1株、ロゼット1株、抽苔18株発見できた。カワラニガナの群落もいくつかあった。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、トビ、キジ、ホトトギス、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、オオヨシキリ、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ハシボソガラス、。

6月15日 羽村堰から永田橋までの多摩川右岸と多摩橋までの左岸
 定例自然観察会。真夏日。多摩川の水量はまだ多い。玉川上水の水量もかなり多い。堰を開けて大量の水を放流している。だが、羽村市立博物館近くの水門から一滴の水も流れ出ていない。川魚を出す料亭の敷地に巨大な高齢者用施設が建ち、伏流水か汲み上げ井戸かわからないがこれまで大量に流れ出ていた清流が止まった。そのため、水門下に棲息していたホタルも絶滅したと地元の野鳥の会の人から聞いた。
 羽村の野鳥の会はこの周辺の河川敷の草刈りや間伐を行っており、なぜかその作業日と私たちの観察会が重なり、作業をこれまでも何度か目にしたが今日も作業日だった。そうした除草のお陰で在来のセンダングサが保護されているが、残念ながらカワラノギクは草に覆われてなくなった(あとで篠氏から1本あったと報告を受けた)。ヒロハカワラハハコの群落もイタドリにかなり覆われており、先行きが危ぶまれる。堰の水辺近くにあった小さなカワラノギクは今回見つからなかった。ちなみに、羽村植物友の会が育てているカワラノギクの花壇もかなり危機的状況。
 堰下橋から下流右岸の堤防のり面は両面とも、かつて永田橋上流で護岸工事が行われた際に植物保護のため表土を掬ってここに撒いたとのことで植物調査地域として除草期間調整がなされているため、ノアザミ、ナンテンハギ、ウツボグサ、タカトウダイ、スズサイコ、コウゾリナなどが咲き、カラマツソウやワレモコウ等々在来植物が多く見られる。さてここで、先ほどのカワラノギクが気になったので一人で現地確認に行ったため、その後一行と出会えず途中で何度か待ったが来る気配がないので、結局一人で永田橋まで行き、ついでに多摩橋まで河原植物調査を行って帰宅した。永田橋上流の堤防のり面には稀少種のオカトラノオが今年はたくさん成長してた。
 カワトンボが飛んでいる。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、キジ、ホトトギス、カワセミ、ツバメ、ウグイス、オオヨシキリ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ガビチョウ。

6月9日 多摩大橋上下流
 6月6日〜7日の八王子は豪雨で、梅雨の6月の雨量を2日で降ったとか。京浜のライブカメラで川を見ると、浅川はかなり増水したが、多摩川はふつうの増水という感じ。とは言え、たぶん稲城地先のカワラハハコや昭島地先のカワラニガナは水に浸かったと思われる。仕事帰りにちょっと寄れる所として多摩大橋に行った。「せせらぎ水路」は上流端での工事が終わっていないのでまだ本格放水していないようで水量が少ない。が、本格的に水が通ったら容易には渡れそうもない。この水路で湿地をつくるらしいが盛り土が高く、その盛り土のために水が溜まる水路の周辺のほうが湿地になりそうな気配。だが、オオブタクサが大繁茂していて、人間はおろか動物も立ち入れない樹海¥態。オオヨシキリがそこで囀っていたのが唯一の救い。

6月3日 万願寺地先の多摩川右岸、石田大橋から府中四谷中学までの同左岸
 万願寺地先の堤防のり面除草期間調整区の現状調査。クズがかなり繁茂している。その葉陰にワレモコウやレンリソウ等が見える。除草依頼をしよう。
 石田大橋を渡って左岸へ。河原植物調査。石田大橋下流川側小段でカワラサイコが1株と4株。府中四谷橋の直下流の小段にカワラサイコの株が連続見られ合計395株。府中四谷中学から四谷橋までの堤防のり面下半部にもカワラサイコがべったりで、980株。
 キジ、コジュケイ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

5月25日 是政橋から稲城大橋までの左岸
 河原植物調査。是政橋から下流約300mの堤防川側小段にカワラサイコが278株、堤防天端に76株、小段への坂道に681株あった。広大な河川敷公園の一画にカワラサイコが939株、さらに下流の礫河原で1株。中段の藪の間に12株、稲城大橋に近い川側小段に294株、総計2281株あった。
 礫河原にカワラニガナがありそうに思えたが見つからなかった。
 大橋を渡って右岸へ。昨年発見した多摩川でたった1株のカワラハハコは健在。多摩川最下流のカワラニガナも16株あった。ヒロハカワラサイコは除草されてしまったが、株は残り、さらに周囲に新芽を56株残していた。
 右岸は指定外来種のオオキンケイギクの大花畑。左岸では野球をする人たちの車がたくさん河川敷に入っているのが気になった。
 カワウ、カルガモ、トビ、キジ、ツバメ、イワツバメ、ヒバリ、ヒヨドリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

5月20日 昭和用水堰から拝島橋までの多摩川右岸、拝島橋から日野用水堰までの多摩川左岸
 日野八王子カワセミ会の粕谷さんから昭和用水堰上流の礫河原にカワラニガナがあるとの情報を得たため確認しに行った。開花している株を含めて10株、さらにその近くにやや小さめの株56あった。堰への入口付近にも今年芽生えたばかりのような小さな株が53、その少し脇に13株、合計で142株のカワラニガナがあった。
 ついでに滝が原運動場を抜けて拝島橋まで行き、橋脚工事でつぶされないように河川管理者に依頼したカワラヨモギとカワラサイコの現状確認をした。カワラヨモギはあまり元気がないが9株残っていた。
 拝島橋を渡り左岸を下流へ。途中の気持ちが良い緑蔭を抜ける遊歩道を行くが、ここに護岸をするというのはどう見ても納得できない。「無駄な公共工事」の典型ないしは自然破壊工事の典型のような気がしてならない。ところで左岸に来たのはこれを言いたいためではなく、昭島のワンド上流端にカワラニガナがあるとの情報を多摩川と生きる昭島市民の会の西山さんから戴いたのでその確認のため。大雨が降ったり増水したりしたら水没しそうな箇所にやや小さめのカワラニガナが42株あり、いくつか開花していた。
 そろそろ筍掘りが始まっている。堤防の除草が行われていた。ラジコン飛行機が上空を旋回。ワンドで一人おじさんが釣りをしていた。穏やかだが日射しはもう夏。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、イカルチドリ、トビ、ホトトギス、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

5月18日 国立地先の多摩川を矢川
 定例自然観察会。夏日でしっかり日に焼けた。年間テーマである土手の自然を観察。とは言え、除草が終わったばかりで期待の植物を見つけるのは困難。なんとか刈り残った芽や茎からアキカラマツやワレモコウ、ヒトツバハギ等々を確認。ウマノスズクサにジャコウアゲハが卵を産みつけていた。河原植物はこの一帯ではまったく見つけられなかった。
 早々に土手を離れ、府中用水、谷保堰、まま下湧水、そして矢川へ。水辺に草が生えている所にはオイカワその他の稚魚がたくさん見られたが、除草したり川底をさらった所には何もいなかった。まま下湧水は整備されて自然が残っているが子どもたちが大勢魚採りなどをしてむかしの風情も見られるものの少々オーバーユースに思われた。かつて田圃や畑だった所も住宅や保育園等がつくられて、徐々に「わずかに残るオアシス」的な感じになりつつある。
 最後に矢川を遡り源流の広い緑地公園を抜け、狛犬の代わりに蛇が見守る矢川弁天を見て西立川駅まで歩いた。
 カワウ、アオサギ、カルガモ、カワセミ、ヒメアマツバメ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、オオヨシキリ、メジロ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシブトガラス。

5月6日 万願寺地先の多摩川右岸 霧雨
 サッカー場には大勢の子どもたち。ラジコン飛行場には10人ぐらい、下流造成地にも3人。ゴルファーは土手に1人、河原植物群落地に1人。犬4匹の放し飼い散歩1人。
 ゴルフの個人利用は許容範囲だと思うが、絶滅危惧種の群落がある所ではやめて欲しいし、どこに人がいるかわからない河原でのゴルフボールの打ち放しはぜひやめて欲しい。調査していたらいきなりボールが飛んできた。危ないと注意したら謝っていたので悪気はないようだが、ゴルフボールは石と同じぐらい堅いから危険極まりない。
 堤防のり面あちこちに柵が設けられていた。河川管理者の過剰サービスか除草の準備か。除草期間調整区はたしかに先日柵の設置を京浜河川事務所に依頼した。木杭できちんと柵が設けられておりここは有り難い。今年は全体に植物の開花が遅いと思えるので河原植物調査も去年よりゆっくりペースで始めているが、ここのレンリソウもやっと2株が開花したばかり。
 池ではキショウブが満開。ニセアカシアも一斉に花を咲かせている。ハナウドの開花は遅れている。堤防のり面ではほかにハタザオ、マツヨイグサ、ブタナなどが満開。
 河川敷の造成地に河原植物がどれだけ生えているかの調査を行った。国は造成するだけでその後の調査を行わない。モニタリングをしっかりやらないと税金の無駄遣いになると思う。造成地への導入路付近から下流側ではカワラサイコ11、カワラヨモギ15、上流で側はカワラサイコ5、カワラヨモギ15、水辺側では何もなし。ラジコン飛行場ではカワラサイコが14。合計でカワラサイコ30、カワラヨモギ30だった。
 水辺側の造成地(もとニセアカシア林)で誰かが区画を切って調査をしているようだが、ビニール紐を回収していないため、紐がばらけて糸状になって付近に拡散し、野鳥にとって非常に危険な状態になっている。ビニール紐はばらけやすく、細く糸状になって野鳥の足に絡まったり巣材に使われて雛が首をつったりする事故が多発している。とくに植物研究者にはそういう点への配慮が欠けている例がしばしば見かけられる。生物の研究者としての資格なしと言わざるを得ない。河川管理者が委託したかあるいは河川管理者に調査許可願いが出ているかわからないが、チェックする機会があったら、調査・実験後の後始末のできない団体・機関には厳重に注意した上で二度と許可しないで欲しい。
 カルガモ、ツバメ、ウグイス、シジュウカラ、ムクドリ、ガビチョウ。

4月27日 谷地川合流点から多摩大橋までの多摩川右岸
 河原植物調査。まずは大規模工事が行われた谷地川合流点から八高線鉄橋までの多摩川右岸へ。工事はすでに終わっていて、谷地川に架けられた仮橋も撤去されていた。(これがあると便利でまだあることを期待していたのだが。)この仮橋の近くにカワラケツメイの群落が2つあり、多摩川では超稀少種ゆえ踏み潰さないようにと河川管理者に注意しておいたにもかかわらず、トラックで踏み潰され(左下の写真)、車道が新たにくっきりと造られていた。京浜河川事務所は本気で「自然再生」事業(この地区の工事目的の一つ)をする気があるのか疑われるか、その気はあるとしたら管理能力g疑われる。
 バス道路に戻って上流へ。ラジコン飛行場はこの大規模工事の対象外とされているため(左から2つ目の写真)、障害物(樹木)がなくなり大空をブンブンと飛んでいる。足下は造成地そのもので夏にはたぶん立ち入れないほどの藪になると思われる。途中、「せせらぎ水路」があり(まだ通水していないが水が溜まっている。通水したら長靴なしでは渡れない)、それをさらに越えてようやく、わずかに残された土丹層へ。
 この付近に河原植物があるので工事の際に一部分のみ樹木を残してもらった。そこがこの一帯の唯一のオアシスとなって、ウグイスやガビチョウが囀っていた。シランはもう花が咲く時期だが、必死に探したが見つからなかった。
 下水処理水が多摩川に流れ込む水路の脇に大きな釣り堀があったが、この周辺もブルドーザーで潰された。排水が池に流れ込んでいるので、水質は良くなったかもしれない。これからどうする、どうなるか、推移を見守りたい。
 カワウ、トビ、シジュウカラ、ウグイス、オオヨシキリ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月20日 万願寺地先の多摩川右岸
 定例自然観察会。今年度のテーマは「土手の自然」。石田大橋から根川・程久保川・浅川合流点までの堤防のり面をじっくりと観察。マツヨイグサが大輪の花をつけている。カントウタンポポやクサノオウなどとともに黄色の花が目立つ。ハタザオが花茎を伸ばしている。
 除草期間調整区域は昨年暮れに3度目の除草をしてもらった効果が現れてレンリソウが目算で1000株以上芽生えている。ワレモコウやオオヤマフスマなどの芽も出ている。
 さらに下流に行くとアマドコロの小群落があるのだが、今年は花期が遅れていてまだ芽が小さい。
 そこから高水敷に下りて、アケビの花をあちこちで見つつニセアカシア等の林を抜け、カワラヨモギやカワラサイコ、カワラナデシコなど河原植物の群落地を経て、もとの石田大橋へ。途中、ラジコン飛行場があり今日は十数人が集まっていた。
 河原植物調査を堤防のり面で行った。カワラナデシコ9株、カワラサイコは合計で471株あった。
 トビ、キジ、コジュケイ、キジバト、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ヒバリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ウグイス、シジュウカラ、エナガ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月1日 関戸橋下流中州
 足の怪我が治った倉本さんと同志の岡田さんを案内してカワラノギクの現状を見に行った。いつもは長靴なしで中州に入れるが、一昨日雨が降ったのを忘れ油断した。行きも帰りも靴ごとどぼん。
 この時期のカワラノギクは見つけにくいが、以前から場所を知っているので、1箇所以外はすぐに見つかった。去年の春に成長できなかったロゼットがいくつか残っている。カワラノギクにそっくりのロゼットがあった。一番下の葉の生え方が違うので、オオアレチノギクと思われる。ヒバリが鳴いていた。