多摩川の自然のニュース:2014年1月〜3月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2014年4月〜6月
2013年1〜3月
2013年4〜6月
2013年7月〜9月
2013年10月〜12月

3月16日 多摩水道橋から狛江水辺の楽校までの多摩川左岸
 定例自然観察会。年間テーマは先月に達成したので、今回は総会会場付近の多摩川を歩いた。暖かい快晴の春の日だった。ツクシが出ていた。タチヤナギの芽が出て、樹全体が薄緑色に脹らんだ。
 まず多摩水道橋に出る。上流を眺めると、水流が右岸から左岸へ寄り、狛江高校付近が水衝部になっている。かつてあった大きな中州がなくなり、3つあったワンドの1つが消滅した。これは決して自然現象ではなく、新たに水衝部となった狛江五本松付近の高水敷を護るためとして低水護岸を施し、さらにその上流の護岸工事の際に流れを大きく変えた結果であり、また、宿河原堰が転倒堰となって大水が出た際に水位を上げずに水流を増して中州や護岸を削った結果がそれに重なったためである。つまり、全体の流れを考慮せず、その場凌ぎの護岸工事によって、これまで中州と安定した河道によって護られていた左岸の護岸を危険な状態に落とし込めた、河川管理者による人為的な護岸破壊である。という主旨の説明が地元会員からなされた。橋の上から川全体を見通し、また過去のこの辺の状況を想起すると、そうした説明が非常に説得力を持つ。都立狛江高校前のこの一帯は、自然と自然景観を良く残すいまや多摩川唯一の、最後の一帯であり、ここをまた場当たり的な護岸工事で破壊したら、多摩川の堤防付近の自然は完全に消滅すると言って過言ではない、という。
 水道橋から下流へ、堤防法面のツクシやヒメウズなど春の野草を見つつ、宿河原堰へ。水面にはオオバン、ヒドリガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモなどが浮かび餌を探している。
 狛江の水辺の楽校は、地元の竹本さんたちが長年管理運営しているが、今日も子どもたちも含めて大勢参加して枝払い枯れ枝の片づけ、小橋の補強等の作業をしていた。大きなヤナギの木があり、水路があり池がありカワセミもやってくる、カエルの卵やオタマジャクシがいるなど、子どもたちが川の自然を遊びながら学べる環境が良く整っている。
 カイツブリ、カワウ、ウミウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、セグロカモメ。トビ、チョウゲンボウ?、カワセミ、、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。
 午後は2014年度の総会を狛江南部地域センターで行い、2013年度活動報告、会計報告、2014年度活動方針などを協議、自然観察会は土手の自然を細かく観察することを年間テーマとして各月の観察場所を決めた(別紙)。2015年度のテーマとして、流域の町の今昔を見る企画や、流域にある神社を見る企画などが寄せられた。議事のあと、参加者が各自多摩川への思いやこれまでの多摩川との関わり、多摩川の現状に対する意見などを語り、最後に、昨年亡くなられた大石悌司会員作成の多摩川ビデオを鑑賞し、2000年頃の多摩川の様子と撮影者の大石氏を偲んだ。

2月16日 日野橋から府中四谷橋までの多摩川左岸と一宮公園までの多摩川右岸
 定例自然観察会。2年計画で青梅万年橋から河口まで視察する企画の最終日は、2週間連続週末の大雪の後となり、雪原を歩き続け足腰が鍛えられた。
 今日もまだ長靴ぎりぎりの雪が残るが、雪が凍ってしまってきたのでもぐらずに歩けた。多摩川の河川敷はさすがにまだ踏み跡がなく、ずっとラッセルをして歩いた。所々、雪の下が解けてプール状になっているところもある。野鳥たちは餌に困り、あちこちでいろいろな野鳥を間近に見ることができた。
 立川駅から根川沿いの遊歩道に入る。水辺にはコサギ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、イソシギのほかに、ムクドリ、ツグミも餌を探してうろうろとしている。そこへカワセミが2羽、水中に飛び込む。多摩川でも。遠くに純白の富士山や丹沢連嶺、奥多摩連山などもよく見える。昼から強風が吹き荒れた。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、イソシギ。カワセミ、コゲラ、ヒメアマツバメ、ヒバリ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2月15日 八王子市片倉町
 先週末は大雪が降った。だがそれは、昨日の大雪に比べたら大したことがない、というほど、今回は降った。
 出勤のため自宅を出た瞬間から、長靴に雪が入る。なにしろ膝上までの積雪。自動車はぜんぜん走っていないので、足で雪かきしながらの歩行。
 横浜線は朝から不通なので、京王線の駅へ。バイパス側道も膝上の積雪。だが、幸い、バイパスが通行止めのため、除雪してある車道を歩くことができた。車道を歩くのはバイパス開通以来初めて!
 北野街道に出たら、大型トラックが止まって長い列を作っていた。
 昨日は、文京区から自宅まで3時間。今日もまた3時間。


2月7日 中央線鉄橋から日野用水堰までの多摩川右岸
 中央線の車窓から工事の進捗状況が見えるから、わかってはいたが、やはり着いてみると川に出られないのは悔しい。中央線鉄橋上流のように「まわり道」表示をしてもらえればまだましだが。この区間の迂回は約700メートル。そんなこんな嫌な気分も土手から奥多摩の山々を遠望するとすっきり壮快な気分に戻れる。谷地川が多摩川に入り込む地点に近づくと、広大な高水敷で現在行われている樹木伐採の壮絶な光景が見られる。はるか彼方に、伐採した樹木を積んだ山がいくつか見られる。「樹木伐採について」と看板の標題に書かれているが、前にも書いたがメインは樹木伐採ではなく左岸の護岸のための大規模河川改修事業である。勝手に樹木を伐って芝生を植えたラジコン飛行場だけが、「樹木伐採」をする必要がないため、そのまま手つかずで残されているのがなんとも奇妙に見える。一連の工事が終わったら、草地にラジコン飛行場が増えるかもしれない。
 重機が通るたびに土が掘り返されて地中の虫が出て来るため、ムクドリの群が寄ってくる。その先の大きなササ群落も伐採が進む。多摩大橋近くの雑木林の中にあったホームレス・ホームがすっかりむき出しになっている。大橋を越えると、先年いろいろな方法でニセアカシア林を伐採・処理した区間に至るが、復活した林がふたたびきれいに伐採されている。そのなかでたった1本生えていたカワラサイコが厳重に保護されており、絶滅危惧種なみの扱い。たしかに、多摩川上流地域にカワラサイコは極めて少ないので稀少種ではあるが、完全に保護するとかえって藪に覆われかねないので、管理が難しい。
 土台が崩れかけている八高線鉄橋補強工事が行われている。そして鉄橋を越えると、ふたたび護岸工事が日野用水堰まで続く。八高線鉄橋からずっと護岸工事が行われる予定なので、ここも多摩大橋からずっと通行禁止になるかもしれない。毎回書いているが、これらの一連の護岸ないし河川改修工事は、以前から行われてはいるものの、一度にこれだけあちこちで行われるのは、「人からコンクリートへ」に戻ったアベノミクスにおる以外には考えられない。護岸工事で市民の生活を守りますと大きな看板に書かれているが、この区間の護岸は上部だし、堤内地は遊水地と下水処理場が広がるばかりで、危険な市民生活はここにはない。
 護岸工事と関連して日野用水堰上流で瀬替えをするため、中州の一部が削られた。アシだけが残されたことは野鳥にとっては良かった。
 さて、日野用水堰上流は野鳥が安心して過ごせる数少ない一帯で、オオバン、カイツブリなどの常駐以外にコガモ、キンクロハジロ、オカヨシガモも見られる。上空にはノスリが舞っている。ほかに、カワウ、ダイサギ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ツグミ、ヒヨドリ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。
 ついでながら。今日は風が冷たい。八王子片倉にはまだ日陰に雪が残るのでよけいに寒い。なので手袋なしではつらい。と、そこにメジロが3羽すぐ近くの枝に止まった。ちょっと飛びそうにないので、手袋をはずし鞄からカメラを取り出して、さあ、と思った瞬間飛び去った。残念。その日の帰路。兵衛川の橋を渡った瞬間、目の橋に緑色の動くものが目に入った。見ると、カワセミがすぐ近くの護岸に止まった。陽がよくあたってコバルトブルーが輝いている。さっそく手袋をはずして、鞄のなかのカメラを探し出し、さあ、と思ったら、もういなかった。残念。

1月27日 石神前から二俣尾までの多摩川右岸
 石神前の「おくたま路」前にある礫河原にカワラニガナがあるが、その対岸にも広い礫河原があり、前から気になっていたので見に行った。結論は河原植物なし。左岸から見るといつもBBQ客などで賑わっていたし河原に車両が入り込んでいるから礫が踏み固められており、河原植物が生える状況ではない。予想通りの結果だが、確認しないでは落ち着かない。
 この礫河原の上流端から見る奥多摩橋は絵になる。事実この橋は土木学会が土木遺産として選奨している。奥多摩橋上流にも礫河原があるし、石神前のブリジストン研修所前には広大な礫河原があるが、ともに冠水頻度が高いためか河原植物は見られない。
 ウグイスの地鳴き、シジュウカラの群れ、セグロセキレイとキセキレイ。
 自宅からの行く帰りに八高線の車窓から多摩川を見下ろすと、上流は日野用水堰下流右岸の護岸工事、下流は多摩大橋までの樹木伐採が進んでいるのが見られる。この冬は多摩川各地で大規模土木工事が行われているが、これもアベノミクス公共工事全開の一現象であるにちがいない。

1月19日 大栗川合流点先から程久保川合流点までの多摩川右岸
 定例自然観察会。聖蹟桜ヶ丘駅から関戸橋上流の河原に出る。耳が痛くなるほどの冷たい強風が吹きまくり、手袋やフードなしではいられない。
 そんななか、左岸寄りの流れに白鳥が5羽。双眼鏡で見ると、コハクチョウと思われる親鳥3羽と灰色がかった幼鳥2羽。白鳥は毎年見られるが5羽一緒にいるのを見るのは初めて。
 大栗川合流点から現在は陸続きの中州に入り下流端まで。草が冬枯れしているこの季節以外は絶対に踏み込めない所を強引に突っ切ると、枯れ草に乗れるように見えて足が潜り、しかも一歩ごとに凄まじい土埃が立つ。苦労して踏み込んだ割に合うめぼしいものはない。
 堤防に戻るとふたたび強風。雪化粧した奥多摩の山々が見える。時間があるので関戸橋上流の中州に入り、カワラノギクを見て枯れ荻原の中に身を隠すと風がなく日射しが暖かい。京王線鉄橋上流の中州は、右岸寄りの流れが干上がって陸続き。程久保川から市街地に入って風が弱まりやっと身体が休まる。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、コハクチョウ、コガモ、イソシギ。トビ、ノスリ、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、メジロ、スズメ、ハシブトガラス。

1月12日 大師橋から六郷橋までの多摩川右岸
 国分寺市民による多摩川を歩く会に参加。まずは川崎大師へ。大師はまだ正月の賑わい衰えずすごい人出で、屋台や出店で門前商店街は大賑わい。境内も屋台が並び、多摩川梨の碑を探すのもやっと。東門前駅前を経て干潟館へ。ここも子どもたちで賑わっている。大師橋旧橋の碑を見て上流へ。あちこちで堤防護岸工事進行中。それでも河川敷は野球やサッカーをする少年たち、ラジコンヘリコプター、家庭菜園、HL、そして散策する人等で賑わう。対岸ではどんど焼きをしている。水面では水上スキー。
 帰路、旧東海道を歩き、昨年オープンしたという東海道かわさき宿交流館を見学した。川崎宿や六郷の渡しなどのほか、東海道五十三次の版画を見ることができた。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、カルガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、シギSP、ユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ。トビ、セグロセキレイ、スズメ、ハシブトガラス。

1月7日 関戸橋上流中州と立日橋上流右岸
 関戸橋の架替ならびに改修が計画されており、中州のカワラノギクとカワラニガナがどの程度あるいはどのようにして守れるかについて考えるため、都の職員と現地を歩いた。いずれも仮橋架橋予定地および瀬替え予定地に重なるため、何も手を打たなければいずれも全滅することは間違いない。まずは保護植物がどこにあるかを教えて近道をして帰ろうとシナダレスズメガヤの群落を通り抜けようとして唖然。そこに種子をたくさんつけたカワラノギクが67株あった! 周囲を仔細に調べたところロゼットが1つもないので、左岸で花壇を作っている人たちがここで種子散布をしたものかもしれない。ルーツはともかくとして、ここでは自然なかたちで生育しているので、このまま定着して欲しいと思う。
 帰路、立日橋に寄って、カワラニガナを再調査し、5株確認できた。
 コサギ、アオサギ、カワウ、トビ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ。

1月2日 立日橋から谷地川までの多摩川右岸
 毎年恒例正月の多摩川歩き始め。穏やかな日和で歩くとちょっと汗ばむ。立日橋上下流の護岸工事現場から上流へ。昨年12月に歩いたばかりでおおきな変化はなく、谷地川から上流の多摩川右岸高水敷の樹木伐採もまだ始まっていない。(八高線鉄橋から多摩大橋までは伐採が済んで景色が一変した)工事車搬入用の仮橋が谷地川に架かっており便利なので渡ったが、そこから先の工事がまだ始まっていないので、川を渡ってすぎに行き止まり。近くにカワラケツメイの群落が約1500株(先月確認)、その近くにも200株、100株と点在している。
 ダイサギ、アオサギ、セグロセキレイ、タヒバリ、……野鳥もまだ正月休みのようだ。