多摩川の自然のニュース:2013年1月〜3月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2012年1〜3月
【2012年4〜6月
2012年7〜9月
【2012年10〜12月】
2013年4月〜6月

3月25日 羽村堰から永田橋までの多摩川右岸
 かつてない暖かい日が続き、桜はすでに八分咲きから満開。しかし必ず「花冷え」が続き、今日がまさにその日で寒く、雨も本降りとなった。
 羽村大橋下流左岸で低水護岸工事が予定されており、その影響が右岸に及びそうで心配。通称「K13」地区は残念ながらカワラノギクは昨秋から見つからない。しかしここはカワラヨモギが自生し、コシオガマの群落もあり、ここは護らなければならない。
 この付近にあるカタクリとニリンソウの群落は、雨が降っていたため花が閉じていたが健在だった。
 永田橋下流左岸の低水護岸工事は終了し、右岸の工事用道路もほぼ元に戻されていた。
 カワウ、ダイサギ、マガモ、イカルチドリ、コジュケイ、キジバト、イワツバメ、ツグミ、ウグイス、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

3月17日 京王多摩川から宿河原堰までの多摩川左岸
 
定例自然観察会。若者向けのイベントが開かれるらしい競輪場京王閣を横に見つつ多摩川へ。春の暖かい日が続き、運動場も堤防上も大勢の人で賑わう。上河原堰の改築とその上流左岸の低水護岸工事、そして中州の撤去工事などで水辺に近づけない。オオバンが水面だけでなく、陸地に上がって餌を探している。カルガモやマガモ、カワウなどがいるが、水が流線型に流れ落ちる以前の光景はもはや見られない。
 ウグイスが3、4羽へたながら鳴き競っていた。シジュウカラの囀りも聞こえる。狛江市境付近は水辺に柳が数本立ち並び小さな池や小川が点在して、雨が降る季節には楽しめそうだ。
 西河原公園の桜は開花まであと少し。水の流れが大きく変わり五本松付近で左岸ぶつかるうえに、宿河原堰が転倒堰となったために水流が速くなって中州が流出し、左岸も徐々に削られて危険度が増しているようだ。その水辺にコブハクチョウの幼鳥が一羽。
 多摩水道橋付近の池はずいぶん小さくなった。小田急線鉄橋付近の土手のヒメウズは健在だった。そこから下流は運動場や「自由ひろば」に大勢の市民が遊んでいた。
 午後は、狛江南部センターにて総会を開催し、併せて、会員のFさんが撮影した昨年4月の観察会のビデオ、その他のビデオを鑑賞した。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、オオバン、コブハクチョウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ。トビ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ウグイス、シジュウカラ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

3月12日 宿河原堰右岸
 
機能空間区分検討分科会がせせらぎ館で開かれたので、ついでに堰周辺を傍観した。河津桜が満開。柳がかなりたくさん芽を出している。国立付近の多摩川でツバメを見たというニュースが流れてきた。
 会議では、谷地川合流点付近造成地、多摩大橋上流右岸ハリエンジュ対策実験地、昭和用水堰下流右岸、日野万願寺地先自然再生工事のモニタリング結果ないしは工事経過の説明があり、今後の方針として浅川合流点付近の礫河原再生計画についての概要説明があった。

3月8日 多摩川大橋から八高線鉄橋
 
多摩川・浅川河道管理検討会に、機能空間区分検討分科会委員が参加して、現地視察と意見交換を行った。治水上とくに危険度の高い多摩川大橋下流から八高線鉄橋付近までを現地視察。河床が2m以上低下し、左岸堤防付近で局所的深掘れが進行していたり、橋脚の護床工の一部が流出したり、とくに頻繁に利用している八高線の鉄橋下がこんなに危険な状態かと恐ろしくなるような実態を、河川工学的見地から確認。その後の会議は、非常に詳細なデータが提示され、専門家の意見をいろいろと聞くことができて大いに参考になった。
 ハリエンジュの除去実験はおおむね成功していると思われるが、それが「自然生態系保持空間再生」になるかと言われると、大いに疑問としか言いようがない。
 河原で、へたながらウグイスが囀っていた。ヒバリも高く舞い上がって囀っていた。ヤッケを脱ぎたいくらいに暑かったが、脱ぐと服に花粉がつくので我慢した。
いる。春の芽生えを助けるためなのであまり遅くなったら効果がない。花粉飛散のなか、残りの除草に向かった。花粉はわからないが強い北風が吹き荒れ、グラウンドの砂塵が舞い上がって凄まじい。それでも野鳥を撮るカメラマンが十人ほど来ている。
 堤防法面の除草を幅5mほど大鎌で行い、いちおう終了。除草をしなかった所との芽生え等の比較をするためで、やり残ったわけではない。
 不法ゴルフ場(河川敷が無断でゴルフ場化した時に河川管理者がさっそく柵を設けたが、いつの間にか柵の意味が変わってゴルフ場利用者が自分の縄張りを主張するためのものとなり、今回の工事で国がそれを撤去しようとしたら、利用者が「所有権」を主張したため工事開始が遅れたそうだ。)からラジコン飛行場(そのど真ん中を工事用搬入路が走っているにもかかわらず今日も4人のラジコン飛行機愛好者が来ていた)、そしてサッカー場まで歩く。水辺のニセアカシアとニワウルシの林が伐採・伐根され、礫河原再生が試みられる。その通りになるかオオブタクサ林になるかは誰もわからない。

2月20日 永田橋下流右岸
 
永田橋下流左岸の護岸工事のため、護岸ブロックを作製するヤードが低水敷に設置されているが、そこへ出入りする仮設道路がそのままでは、本来この地区で目指されたカワラノギクを代表とする河原植物が再生できない可能性が高い。
 そこで、工事終了後に仮設道路として踏み固めた所をほぐしてもらうと同時に、次年度も継続して行われる左岸の護岸工事のためにブロック製作ヤードを同じ箇所に設けたら、いつまで経っても河原植物の再生等が期待できないため、他により適切な場所はないかについて、河川管理者と研究者と一緒に現地で協議した。
 その結果、現在使用している仮設道路は原状復帰させること、次年度のブロック製作ヤードは、現在どんど焼き等が行われている広場から丈が5メートル近くに繁茂するオオブタクサが生える辺りに設置する案を検討することにした。

2月3日 京王多摩川から二子玉川までの多摩川左岸 暖かい
 
国分寺市民の「多摩川を歩く会」の定例会。平均年齢が比較的高いにもかかわらず歩行距離はいつも多摩川の自然を守る会の倍という健脚揃い18名。最初に大映角川撮影所に寄り、日活撮影所とともに映画産業隆盛の往時を忍ぶ。多摩川では、上河原堰上下流で、堰改築にともない河川工事中(低水護岸工事、中州撤去工事等)。堰下流、調布市が買い取った高水敷周辺は「耐寒マラソン大会」で小中学生とその保護者で賑わう。調布五本松、狛江五本松等を経てひたすら下流へ。かつて多摩川の水路は狛江五本松の上流で左岸にぶつかってリバウンドしていたが、そこの護岸工事後流れが変わり五本松下流で左岸に迫るようになったうえ、上河原堰と宿河原堰がともに転倒堰となったために水力を抑える機能が無くなり流力が強くなって危険が増した、と堤防際に住む会員のSさんが怒っていたが、現地で見るとうなずける。
 昨日ほどではないが、今日の暖かく、会の参加者は18名、多摩川には大勢の市民が散策したり、ジョギング、サイクリング、スポーツ等々で来ていた。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、オオバン、ハクチョウsp、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、セグロカモメ。トビ、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。
 兵庫島に、「多摩川・ドナウ友好の碑」が立っている。世田谷区とオーストリアのウィーン・デーブリング区とが姉妹都市ゆえに、とドイツ語で書かれている。

1月29日 万願寺地先の多摩川右岸
 
在来植生の保護と調査のため除草調整している堤防法面だが、昨今の河川行政の傾向として冬の除草が行われず、前年の枯れ草が春の芽吹きの阻害物となっている。昨年12月に自分で刈ったが半分しか刈れなかった。そこで今日はその続きを除草したが、10mで疲れ、また、枯れ草で目を突いて痛いので、終わり。
 河川工事はまだ始まっていない。なので、いつも通りに、ラジコン飛行機が飛び、ゴルファーが球を打ち、野鳥カメラマンが望遠レンズを並べ、ドラマーの練習音が周囲に響く、穏やかな一日だった。

1月20日 福生中央公園から睦橋までの多摩川左岸
 
定例自然観察会。穏やかな日和だったが、午後から冷たい強風。今回は、先月同様、歩行区間が短いので、福生中央公園地先の礫河原をじっくりと観察した。とは言え、どんど焼きをした後の炭をぶちまけた河原や、右岸の堤防付近に生えていた灌木をすべて伐採したあとの光景とか、点在するHLホーム、その他はツルヨシ等々。めぼしいものとしては、カワラナデシコが1株、そして、誰かが播種したものかどうかわからないが種子をつけたカワラノギクが7株。
 五日市線鉄橋から睦橋までは大規模な低水護岸工事と河道改修工事中。左岸の低水護岸工事は3年目でようやく終了だが、治水上の問題はわからないが、自然的にも景観的にもじつにつまらない高水敷ができた。右岸は「礫河原再生」という名目でニセアカシア林が伐採されて礫河原が拡張されつつあるが、要するに流路を左岸寄りから中央に移す治水工事だ。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、タカsp、カワセミ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ウグイス、エナガ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

1月8日 石田大橋から日野クリーンセンター地先の多摩川右岸と睦橋左岸
 
浅川合流点、正確には石田大橋から日野クリーンセンター地先の多摩川右岸で河川工事が行われるため、資材等搬入路その他について河川管理者ほか関係者と現地視察に行った。
 集合時間前に石田大橋右岸上流へ行った。かつてカワセミがよく見られた池は、下流部にわずかに残るのみとなった。その小さな水たまりにもコガモが休んでいた。起伏を越えるとアレチウリが茂った跡地に出る。一歩足を踏み入れると表面から中へ足が入ってかなりの藪こぎを強いられる。ようやく水辺が見えるところにたどり着くが、斜面が急すぎて降りられず、ふたたび猛烈な藪こぎをしてグラウンドに戻った。
 石田大橋から搬入路予定地を歩き、ラジコン飛行機場、さらに不法ゴルフ場まで進む。工事はここまで行われ、河原植物を守りつつニワウルシやニセアカシア、シナダレスズメガヤ等を除去する計画。問題はその「河原植物を守る」という目的と矛盾しない工事が可能かにある。なお、初耳だったのは、ゴルフ場を囲む木杭とロープは河川管理者ではなくゴルフをしている人が造ったそうだ。(尤も、最初にロープを張ったのは河川管理者であるのは間違いない。)
 つづいて、睦橋周辺の河川改修工事現場を視察した。ここはすでに工事が進んでおり、五日市線鉄橋から秋川合流点までの右岸が大きく削られた。
 カワウ、ダイサギ、コガモ、トビ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。(なぜか一昨日とほぼ同じ。)

1月6日 永田橋から多摩橋までの両岸
 
永田橋下流左岸の福生南公園脇で護岸工事が行われることになったので、工事視察を兼ねて河原植物の様子を見に行った。この工事について事前に河川管理者から情報を得ていたが、本務が忙しく熟読して現地視察をする時間がとれず、海外出張も重なり、いまになってしまった。そして、手遅れだった。わかっているだけでもカワラノギクが2株工事でつぶされ、今後河原植物が再生することが期待された礫河原は掘り返されたりダンプで踏み潰されたりしているからだ。幸いだったのは、種子をつけたカワラノギクを新たに2株見つけたこと。また、永田橋近くにある、カワラノギクの種子付き株1つとロゼット1つが残っていたこと。(別のヒメムカシヨモギのロゼットが小石を並べて守られていて近くにあるカワラノギクのロゼットはそのままだった点は苦笑を禁じえなかった。)
 それにしても、永田橋下流右岸は、2010年11月17日付で河川管理者から与えられた河川工事情報には、「多摩川右岸52q付近と44q付近における、自然再生のためのハリエンジュ抑制試験区と礫河原再生を行う工事」とあるのに、ここを工事現場にする感覚が理解できない。
 (追記。8日に関係者から聞いた話によると、作成したブロックを現場に運ぶ最短地であるというコストの問題があることと、このヤードは造成地ではなく、後で自然にできた中州部分だから造成の主旨に反しないということだった。しかし、ブロックヤードまでの搬入路は明らかに礫河原再生地である。)
 かつては泥湿地で歩き通せなかった右岸に礫が堆積し(これは、小作堰浚渫で採取した土砂を羽村大橋下に撒いた産物)、楽に歩いて多摩橋下流まで行けるようになった。これに応じてカワラノギクも下流方向へ分布することが、ほんらいは、見込まれる。
 カワウ、ダイサギ、カルガモ、ヒドリガモ、トビ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。

1月2日 中央線鉄橋から日野用水堰までの多摩川右岸 快晴
 12月は公私多忙のうえ海外出張もあり、多摩川へ行けなかった。毎年1月2日は「多摩川初詣」と決めている。場所もほぼ例年通り。
 中央線鉄橋近くに、昔懐かしい特急列車の車両や「やまびこ」号が走るとのことで鉄ちゃんカメラマンが7,8人三脚を立てて待っている。鉄橋をくぐると奥多摩の連山が遠望できる。今年は雪が見えない。
 とくに変わったところもなく、多摩大橋を抜け、ラジコン飛行機愛好者15名ほど(下の写真6枚目)を見つつ、八高線鉄橋も抜けて、日野用水堰へ。コガモが約75羽群をなして水面を泳いでいる。午前11時頃から風が吹き始める。それまでは穏やかな日和だった。今年一年多摩川の自然に悪いことが起こらないようにと念じつつ、今年の多摩川初詣を終えた。
 カイツブリ、ダイサギ、オオバン、コガモ。トビ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、オナガ、ハシブトガラス。