多摩川の自然のニュース:2012年1月〜3月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2012年4〜6月
2011年1〜3月
2011年4〜6月
2011年7〜12月

3月28日 多摩川原橋から稲城大橋までの多摩川右岸
 登戸で会議があったついでに、矢野口で下車。駅周辺が大変貌してびっくりだが、地先の多摩川はほとんど変化がなかった。グラウンドがあり、低水護岸の先は広い礫河原、上流に向かってオギ原、そこに点在するヤナギ。さらに上流に向かうとラジコン飛行場、そして整備されたニセアカシア林とその中の遊歩道。「東京府」の石柱は崩壊寸前だが、まだあった。なくなったのはホームレスホーム。この辺は公園もコンビニもなく、代わりにラジコン飛行機がぶんぶん飛んでいたら住みにくいだろう。笹藪が繁茂しているのでウグイスのさえずりが聞かれる。稲城大橋を越えると、スーパー堤防に着く。上空をたくさんのイワツバメが飛び交っている。
 イワツバメ、ツグミ、ウグイス、ムクドリ。

3月18日 津久井道から狛江五本松までの多摩川
 定例自然観察会、今年度のテーマは「多摩川と街道」で今日が最終回。今回は、津久井道旧道を少しだが歩いた。他の街道と較べると、碑はあちこちに建っているものの、昔の面影を垣間見られるものはいまやほとんどない。
 多摩川に出る。小田急線の鉄橋が視界を遮る。下流に二ヶ領宿河原堰が遠望できる。上流には多摩水道橋(いまは水道が通っていないので名前だけ)。水辺はいまだに違和感が消えない巨石護岸群。
 多摩水道橋を渡って左岸へ。都立狛江高校前の河原には数十年間消えたことのない池が残っている。ヒキガエルの卵と、孵ったばかりのオタマが見える。土手にはツクシが出ている。ツバメはまだ見えないが、ウグイスがホーホケキョとさえずっている。狛江五本松から西河原公園に入り、昼食。午後は2012年度の多摩川の自然を守る会総会を開いた。
 カイツブリ、カンムリカイツブリ?、カワウ、コサギ、オオバン、ヒドリガモ、セグロカモメ。カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、、ハシブトガラス。

3月16日 多摩川機能空間検討分科会 せせらぎ館
 河川環境管理計画の丸八空間つまり自然生態系機能空間の維持管理のあり方を検討する多摩川流域委員会部会の会合が開き、今年の冬から工事を始める予定の、睦橋右岸周辺の河川改修とその残土処理地について、および浅川合流点付近の多摩川右岸におけるニセアカシアとシナダレスズメガヤの除去計画について、協議した。
 せせらぎ館は二ヶ領用水宿河原堰脇にあるので、帰路、堰周辺やその上流右岸にある通称「できちゃったビオトープ」(ただし、できちゃったものは土砂が溜まったり水が抜けたり水が腐ったりといろいろなことがあり、いまある池は人工的に造成したもの)などを見た。
 カイツブリ、カワウ、カルガモ、コガモ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、ムクドリなど。

3月10日 河川生態学術研究会多摩川グループ市民合同発表会 永田倶楽部
 フィールドワークのあと、14時半より総合討論。東大の知花武佳さんが、永田地区周辺の古い写真や地図、航空写真等を見ながら、河川工学的な解説をされた。日本の中央構造線から多摩川のみならず四国に及ぶ地学的な構造の話も含めて、さまざまな知見が得られ、明治大学の学生が大勢参加していたが、彼らにとってだけでなく参加者一同贅沢な学習の機会だったのではないかと思われた。現在の河川の表面的な見かけからではわからない複雑であるがゆえにたいへん興味深い内部構造があることがわかった。
 福生市の市民が撮った古い写真を見ると、かつては川底がかなり高かったようで、永田橋がまだ流れ橋のようなものだった頃、両岸と河川敷の高さがほとんど変わらないのには驚いた。いまははるか下に河原が見下ろせる。
 私たちが活動を始めたのは1970年からだが、1990年頃まではまだこの付近の河原も樹林化していなかった。見かけは1989年撮影の写真と現在とあまり変わらないが、樹林化の問題と、もうひとつ、かつてのは自然にできた光景だが、現在の光景は人工的に造成されたものないしはその派生形態にすぎないという点が決定的に異なる。1989年頃はまだカワラノギクが左岸からも見えたし、群落のあるところと水辺の高さがあまり違わなかった。
右2枚は1989年撮影。

2月29日 万願寺地先の多摩川
 未明からの雪が降り続き、八王子で積雪10pを越え、軽自動車が軽い坂道を上れず難儀していた。日野は八王子と比べると雪が若干少ない。多摩川は一面の雪景色で美しい。こんな日でも犬をつれた夫婦や散歩者、カメラマンを見かけた。野鳥はヒヨドリしか見かけなかった。

2月19日 日向和田・神代橋下の多摩川・吉野梅郷
 定例自然観察会。今回のメインは青梅街道と吉野街道。運悪く青梅マラソンの日となり、行きも帰りも電車は満員。2万人近いランナーというから、街道を横切って駅に向かうにもランナーの列がなかなか途切れない。神代橋を渡るとその先は、昨日から始まったという青梅梅祭り。しかし今年は寒気が抜けず梅などの開花は遅い。まして青梅は都心よりも2週間ほど開花が遅いので、まだ紅梅が2、3本蕾をほころばせたばかり。観梅記には入場料を取る梅の郷もまだ無料。蝋梅ばかりが目だったが、ツチグリや樹木の冬芽を観察するにはこんな気候でも不自由はない。多摩川河原では溜まりに水が凍っている。久しぶりにジョウビタキの姿を見る。カエデの種子がたくさん落ちていて拾って高い所から落とすとくるくる回ってきれいだ。
 トビ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ツグミ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、カワラヒワ、ムクドリ。

2月13日 中央線鉄橋上流から立日橋までの多摩川左岸
 2月11日13時頃、日野市栄町地先の多摩川河川敷で野火が出て、約6万uを消失したとのニュースを受けて、さっそく現地を見に行った。日野市栄町と言っても、中央線鉄橋周辺は市境が左岸にあり、左岸に広大に広がるオギ原は日野市に属する。野火が出た場所は、中央線の車窓から良く見える上流直下で、過去にも数度野火で大きく焼けたことがある。HLが2軒あり、そこからの出火か、逆にこれに対する嫌がらせの放火か、ふだん釣り人がいないところなので原因が多少気になる。オギ原の半分近くから水際までよく焼けている。幸いHLホームは焼けていなかったが怖かっただろうと思う。昼間なので逃げることはできたと思うが。
 中央線の上を用水が横断しているのに初めて気がついた。
 中央線鉄橋下流の礫河原に上流部から流れ着いた土丹の塊がいくつかあり、なぜか見事に真っ白なものがある。土丹は地中にあるときは古層としての固さを保持しているが、地表に出てしまうとボロボロと崩れてしまう。なので、治水上は、これが露出することを危険視するようだ。
 カワウ、コサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、トビ、セグロセキレイ、モズ、ツグミ、シジュウカラ(盛んに囀っていた。ああ春だなという感じ)、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2月1日 睦橋右岸、昭和用水堰右岸、拝島橋の多摩川
 睦橋上流左岸で現在行われている護岸工事と絡めて、右岸の河川敷を一部削り、流路を右岸寄りにするとともに、礫河原を再生する計画があり、それに伴って出る余分な礫や土砂を、昨年の台風による増水で大きく抉られた、昭和用水堰下流直下を補強するために利用するという計画の現地視察。福生南公園脇や拝島橋上流右岸等いくつかの候補地があるがいずれもメリットが少なく、逆に昭和用水堰直下は治水上緊急性を要する。堰の改修は東京都と昭島市が窓口となっている用水組合の管轄だが、継ぎ足してできた堰で綻びが各所でかなり目立つが、取水に直接関係がない右岸側の回収はおろそかになりがちらしい。睦橋周辺右岸の水際は、10mぐらい掘らないと礫が出てこないようだが、この付近を調査したことのある東大院生の話では堤防に近づくに従って一定の礫が溜まっており、水際に少ないのは一般的だとか。
拝島橋から右岸上流方面の様子

1月15日 大栗川・乞田川・関戸橋〜是政橋までの多摩川左岸
 定例自然観察会。太陽が出ないと底冷えすることを実感。まずは、今年度テーマである「街道」の1つへ川崎街道へ。九頭竜碑を見て大栗川へ。カワセミが飛ぶ。次に鎌倉街道旧道と新道を経て、乞田川へ。新橋建設現場の溜まりにミコアイサが1羽。こんなに身近に見るのは初めて。
 大栗川を下り、どんど焼きが始まる直前(身体の芯から冷えていたので火にあたりたかった)の多摩中学校を脇に見て多摩川へ。拡張されて便利になったはずの関戸橋は歩道がいまは片側にしかなく上流側に周り、カワラノギクのあった中州を眺めつつ左岸へ。
 野球場の下流端にあった河原植物群落は消えて草丈が延びたオギ原を抜け、うるさいラジコンヘリ(この基地があるところがマツムシの生息地だった)を上空に見つつ大丸用水堰へ。BBQ等のせいかニセアカシア等の林が消えて広場になっている。堰上流の中州の樹木が激減して野鳥の姿が見えない。猛スピードで次々と突進してくるサイクリング車を避けつつ是政橋へ。多摩川では超希少種のクララが、なぜか道路脇に数十本生えていた。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ミコアイサ、イカルチドリ、イソシギ。トビ、カワセミ、コゲラ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。

1月10日 羽村堰から羽村大橋下流までの多摩川右岸
 昨年秋の増水で、堰近くにあったカワラノギクの保護地区が地盤ごと流失したとか、長年続くカワラノギク自生地が危機的状況にあるとかという情報を得ながら、多忙で現地を見る機会が得られなかったが、ようやく果たせた。残念ながら情報の通りだった。数年前に人為的に播種された2箇所は種子をつけた株が10株以上見られた。
 なお、堰は損壊修復工事が行われている。削岩機の音がすさまじいが、もっとすさまじいのが6編隊の米軍機が羽村・福生上空で何周も飛行訓練(?)している爆音。もっとも沖縄とは比べられないのかもしれないが。
 カイツブリ、ダイサギ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、カシラダカ、カワラヒワ、ハシブトガラス。

1月3日 中央線鉄橋右岸から立日橋左岸までの多摩川
 とくに変わったところなし。立日橋直下の湿地帯が増水で流されたまま。橋から富士山のシルエットがきれいに見えた。
 カワウ、カイツブリ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、セグロセキレイ。