多摩川の自然のニュース:2012年10月〜12月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2012年1〜3月
【2012年4〜6月
2012年7〜9月
【2013年1〜3月】

11月27日 小作堰下の中州
 人為播種ではあるが、小作堰下の中州に自然状態で生えているカワラノギク群落がある。羽用水の水量が多いし猛烈な藪で立ち入るのが困難だが、ようやく冬枯れが進んで調査することができた。目算で開花株は524。半数以上はすでに種子をたくさんつけているが、開花中のものも200株ほどあって晩秋の野菊を観賞することができた。もちろんロゼットも十数株見られる。

11月25日 日野市万願寺地先の多摩川右岸 快晴
堤防のり面に生える日本在来植生保護のため、2004年から除草時期調整等による調査を行っているが、かつては「形式主義的に年3回除草するのはやめるべきだ」と何度も要望しても聞き入れてもらえなかった堤防のり面の除草が、「事業仕分け」の影響もあって年に2回の除草となり、在来植生保護上必要だから晩秋か初冬に1回除草して欲しいと要望しても、予算が下りないからと聞き入れてもらえなくなった。しかし、8年間の調査(除草時期を変えたり回数を変えたりして実験)の結果、晩秋ないし初冬の除草をするかしないかで翌年の発芽率等が異なることが明らかになっているので、あとは自分で刈るしかない。厳密に言えば違法行為だが。
今年の猛暑もあって、雑草がよく茂り、2時間弱では半分しか刈れなかった。

11月18日 ガス橋から等々力渓谷までの多摩川右岸と左岸 快晴
 定例自然観察会。夕べの強雨はすっかり上がり快晴。純白の富士山が望まれる。
 南武線平間駅から多摩川に出たところ(ガス橋)で、上空の青空を切って20羽ほどのヒメアマツバメが飛んでいる。水面にはヒドリガモの群。ヒメジョオンの花が若干太く色も濃いので新しい外来種かと思ったが、個体差だろう。
 川崎市民マラソンが河川敷内の緊急時避難用道路で行われ、ランナーがいつ切れるとも思えぬほど続々と来る。邪魔しては悪いと草地を歩いたが、途中からゴルフ場となり立入禁止。しかたなく、怒濤の如く迫ってくるランナーとゴルフ場の柵の間を歩くしかない。もう限界というところで、ちょっとの隙を見て道路を横断、堤防天端に出てやっと一安心。
 カントウヨメナが咲いている。丸子橋を左岸へ渡り、台公園脇から枝を伸ばすムラサキシキブやシロダモやアオツヅラフジ等々の実を見つつ、多摩川上流へ。
 元巨人軍グラント付近から、壊れた「岸辺散策路」を歩く。壊れた簡易舗装はでこぼこで歩きにくい。東京首都大学(元武蔵工業大学)の前に大きな中州がある。水辺には竹藪。
 その辺から堤内地に入り、丸子川に即して歩いた後、等々力渓谷へ。私が子どもの頃(50年前)は文字通り渓谷だったが、いまはただのドブ、にもかかわらず、呆れるほど大勢の観光客が切れずに訪れて大賑わいで驚く。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、オオバン、カルガモ、ヒドリガモ、ユリカモメ、ウミネコ。トビ、ハヤブサ、カワセミ、ヒメアマツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、アオジ、スズメ、ハシブトガラス。

10月28日 永田橋上流右岸 雨ときどき曇り
 カワラノギク・プロジェクトの公開作業日。京浜河川事務所職員、明治大学農学部、市民の協働作業に、雨が降っているにもかかわらず約35名参加。
 永田橋上流右岸のB〜E工区を25mメッシュに区分けし、その中心点から半径2m内にあるカワラノギクの開花株とロゼットを数えた。作業中は雨がやんだが、草に着いた露で膝下はびっしょり。数えた開花株は1072、ロゼットは6238で、推定値は開花株が約5万株、ロゼットが30万5千株。A工区内は別途明治大学が数えた。
 永田橋下流すぐのところに開花株2、ロゼット2がある。これが種子をつけて周囲に散ると良いが。
 コサギ、カルガモ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ホオジロ、カワラヒワ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

10月21日 下奥多摩橋から羽村用水堰までの多摩川 夏日のよう
 定例自然観察会。まずは下奥多摩橋から右岸の河原に降りる。少し下流に行くと水が迫って林の中へ回避。しばらくで造成地に着く。ここは対岸の護岸工事に関連してニセアカシア林の伐採が行われたが、ローラで踏み固めたために自然再生とはほど遠い。それでもわずかながらカワラニガナの群落ができつつある。河畔林まで着くと住宅街を歩くしかない。
 友田小学校手前で河原に降りる。先年の増水で大きな池が出来たが、去年の増水時に礫が被って再び礫河原となった。そこでカワラノギクによく似たノギクが一株満開だった。幹や生え際がカワラノギクと異なる。たぶんホソバコンギクだろう。カワラノギクの自生地もあるが、かなり藪に覆われ、来年は生育が危ぶまれる。圏央道橋から住宅街に上がり、小作堰からふたたび水辺へ。堰下流中州のカワラノギクは健在らしい。この辺は河原を歩けないので住宅を抜け、阿蘇神社から河原に降りる。礫河原が広がる。カワラニガナと、地元の人が播種して育ったカワラノギクが開花している。地元の人が造ったカワラノギクの花壇は放置され、3,4株が残るのみとなった。今回あちこちでカワラバッタを目にした。
 カワウ、ダイサギ、カルガモ、トビ、カワセミ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、シジュウカラ、スズメ、オナガ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

10月15日 睦橋上流右岸の多摩川
 まだまだ夏日のような暑さだが、太陽の位置がだいぶ低くなってまぶしい。福生南公園は性懲りもせず車道を川側に奥まで通して、河辺の公園≠フ価値を減じている。その水辺は先年の河道修正で左岸に礫河原が広がっている。右岸はツルヨシとニセアカシアと竹林が広がる。右岸上流は、五日市線鉄橋下流にある野球場へ通じる車道がまっすぐにのびている。かつてこの道と堤防一帯が駐車場と化していたが、鉄橋直下の占用地に駐車場を設ける際、設置を認める代わりに堤防周辺の駐車場化を止めることという条件をつけたら、きちんと約束が守られていてうれしい。この近くに2箇所カワラノギクが植えられていたが雑草生い茂り跡形もない。初めから無理だと思っていた。池を見下ろせるニセアカシア林があるが、何十年と木の大きさが変わらない。たぶん地中に護岸用の礫が敷かれているのだろう。
 五日市線鉄橋下流に広大な礫河原が復活した。まだ河原植物はないが、鉄橋上流左岸にカワラニガナが少しあるからいずれ種子が飛んでくるだろう。下流へ数百メートル下った一段高いところで地形上からして不自然に草丈が短い広場がある。ラジコン飛行場かもしれない。その最下流から睦橋まで続く路がかつてあったがいまは藪に覆われて歩けない。幸い河原を歩けるが、睦橋があと150メートルぐらというところで水が岸辺に迫って通れない。仕方なく、すぐ目の前に橋を見つつ藪こぎを約30分。ようやく釣り堀に出て、橋に戻った。橋から見下ろすとたいしたことはなさそうに見えるが。上流左岸は護岸工事が進行中で、今秋最後の区間の工事が行われる。
 イカルチドリ、ヒヨドリ、モズ、ガビチョウ。アオマツムシの声。
10月中旬なのにまだ初夏のような葉の茂り。誰かがヌルデやニワウルシなどを伐っているようだ。
私は右目が見えず、左目も使い過ぎで良くないが、帰宅して写真を見て初めてバッタがおんぶしていることに気づいた。どうりで逃げないわけだ。

10月7日 万願寺地先の多摩川
 日野高校で多摩川市民学会の準備会があり、ついでに多摩川を見て来た。昼まで雨が降っていたが、やむとさっそくサッカーや野球、ラジコン飛行機などが目に入ってくる。みんな元気だ。猛暑続きのせいか、ヒガンバナがまだ咲いている。ツリガネニンジンやツルボの花とともにマツヨイグサやコウゾリナの花もまだ見られる。在来植生保護地区は雑草が繁茂しすぎで、今秋にも鎌で刈らなければなりそうだ。国土交通省は資金の問題もあってか、これまで年に3回やっていた堤防の除草は全国的に2回に減らされた。しかし、秋に刈っておかないと、今春のようにつぎの新芽の出が悪い。ガビチョウが大きな声で鳴いていた。