多摩川の自然のニュース:2011年4月〜6月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2011年1〜3月
2011年7月〜9月

6月13日 万願寺地先の多摩川 曇り
 午前の小糠雨が止んだが、まだ湿度が高い。堤防のり面在来植生保護のための除草調整区間を見に行った。今年は除草のタイミングが悪かったのか、その手前にいつも生えているコマツヨイグサが少ない。除草調整区間ではレンリソウが終わり、ワレモコウが元気に育っているが、クズその他の草がいよいよ覆い被さり始めている。コオニユリの芽が今年も3本出ている。近くの河原にまとまって生えている所があり、誰かが植えた感じがする、そこから野鳥が種子を運んだのではないか。スズサイコが早くも2本蕾をつけていた。早速除草してもらうことにした。いま除草すれば、夏に生える希少種への影響が少なくて済むからだ。でも、このまま秋まで除草しない実験を久しぶりにやってもよい。但し、その場合にも冬前には必ず刈る必要がある。
 キジ、ツバメ、セッカ、シジュウカラ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

5月29日 青梅市地先の多摩川
 台風の影響下の強雨のなか、青梅・多摩川水辺フォーラム副代表、おうめ環境市民会議代表、本会会員U氏と4人で青梅市地先の多摩川の視察を行った。晴れればもっとあちこち見ることができたが、折からの雨で駆け足の視察となった。
 まずは友田。多摩川の水量が増え、グラウンドに降った雨が階段を川のように流れ落ちる。キササゲが群生する箇所があるが、河辺地先での経験からすると、増水で簡単に流されてしまう植物なので林になるということはないと思う。現在ここは多摩川で最大のカワラニガナの群生地。同時に唯一人の手が入らないカワラノギクの自生地でもある――はずが、ここ10年ほど誰かわからないがこの一帯に遊歩道を造っている人に自生地が破壊されてしまった。知っていてやっているとしたら枯草の処置が乱雑だし知らないとしたら危機的事態である。ロゼットはザッと見て50株以上あるが、実生はわずかしかなく、しかもあまりに小さくて夏の日照りに耐えられるか心許ない。
 次に長淵。左岸の護岸工事に合わせて右岸の造成が行われたが、礫河原再生どころかグランウンド予定地のようになっている。雨水が浸透しないほどに地盤を固めてあるので平時は流路の深掘れを促進し、増水時には流速を強めて下流への被害を大きくすることが懸念される。早急な改善措置が必要だ。
 河辺では、オドリコソウ群落地を見た。近所の住人がこの植物の価値を知らないようで、去年はゴミ捨て場になっていたし、今年は草刈りが行われた。すでに季節外れであるがわずかに開花株が残っていた。
 カワウ、ダイサギ、カルガモ、トビ、カワセミ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、シジュウカラ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ムクドリハシブトガラス。

5月28日 万願寺地先の多摩川右岸 雨
 台風の影響もあって雨が強い。
 去る24日に京浜河川事務所へ、河川環境課、調査課、工務課等の(本会と関係する)職員の多くが一斉に異動になったので顔合わせと、今年度河川工事計画概要の説明を聞くために出掛けた際、堤防のり面除草について尋ねられて初めて、前年度の報告書と今年度の計画書を作っていないことに気づいた。海外出張、震災、猛烈な杉花粉、新年度の多忙等々と重なり、すっかり忘れていた。
 季節ものなので、遅れていっても調査ができないので、雨の中様子を見に行った。周囲の除草はとうに終わっていたが、幸い調査区間は残しておいてくれた。レンリソウやワレモコウなど在来植物はみな元気で、開花しているレンリソウも67株あった。まずは無事で良かった。河川環境課の新任職員に感謝しなければならない。

5月15日 奥多摩むかし道 快晴
 定例自然観察会。年間テーマ「多摩川と街道」に従い、今回は奥多摩湖から奥多摩駅までの青梅街道旧道(通称「むかし道」)を歩いた。絶好の天候で電車もバスもそして「むかし道」も大勢のハイカーで賑わった。「むかし道」を上から氷川まで下るにはバスを「水根」で降りるべきだが、満員で降りられず、トイレのこともあったので奥多摩湖まで乗車。
 湖を見てまず驚いたのは、あまりの水量のなさ。例年の半分ぐらいしかない。たしかに4月は雨の日が少なかった。しかしこれほど水位が下がるのは珍しい。そこで考えられるのが、金町浄水場の放射能汚染による取水制限で多摩川の水を使ったこと、さらに確からしいことは電力不足のため水力発電して水を下流に流してしまったこと。これで梅雨の雨量が少なかったら、この夏は電力不足に加えて水不足になることは、この水量からして間違いない。現段階でこんなに水位を減らして良いのだろうか?
 さて、水根沢に入ると、ウツギ、ノリウツギ、ミズキ、ニガイチゴなどの白い花々。フジは今年は目立たない。途中山の中の民家のあいだを通るので、野草だけでなくさまざまな園芸種の花も楽しめる。快晴で暖かく、空気はさわやか。何と言っても新緑が目にやさしい。道沿いの道祖神や地蔵仏、神社、産業遺蹟などもたくさん見ることができ、飽きることのないコースだ。野鳥の声もいろいろと聞こえるし、クロアゲハがたくさん舞っていた。沢からはカジカガエルの声も聞かれた。
 ツツドリ、キツツキのドラミング、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、キビタキ、オオルリ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。

5月4日 永田地区A工区 晴
 A工区旧造成地の、長年カワラノギクが見られる一帯で選択的除草を行った。カワラノギク・プロジェクト恒例オプション除草。小砂利が多いためか大した除草をしなくても長年カワラノギクの株が絶えない地域で、ピラカンサやテリハノイバラ、イタドリ、ヘクソカズラ、シャボンソウ等々を除去した。
 昨年の再造成地でもロゼットが見られるが、初夏の雑草の繁茂に堪えられるか心配だ。
 永田橋の架け替え工事がほぼ終わり新橋を歩く。右岸の橋上下で行われた礫河原再生事業が良く眺められる。伏流水が流れ出ていた小川が砂利に埋められているのが気になった。ガビチョウがあちこちで囀っている。対岸ではBBQをする若者が大騒ぎしている。堤防のり面はウマノアシガタが満開。
 カワウ、カルガモ、キジ、キジバト、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ガビチョウ。

4月26日 谷地川から日野用水堰までの多摩川右岸
 快晴でやや暑いが、花粉はだいぶ減った気がして、ようやく多摩川歩きを再開できる。
 ずっと気になっていた多摩大橋上下流右岸の造成結果を見てきた。谷地川近くの河川敷造成は昨年春に中途半端に終わったものに追加工事したもの。かつてニセアカシア林があった所は泥と砂利、次に何のためかわからないがチップと刈った草を厚く敷き詰めてあり、一段下がって土と砂利、さらに大石を敷き詰めた層、そして土丹と小さな池群、そして多摩川というぐあいになっている。丸石を敷き詰めて礫河原を再生し河原植物の成育を期待するという計画だが、永田地区の経験がまったく生かされていない。まず石が大きすぎる。さらに石が土に埋まっている。さらには作業が雑で石に泥がかけられている。こういう状況で河原植物が生えるとはまず思えない。永田地区A工区で最後まで草が生えなかった区画にあるのと同様の大石で、また、帰化植物が数ヶ月で繁茂し雑草畑になった再造成区と同様の土壌だからだ。
 土丹が表れている辺りは手つかずでおもしろいが、最近大水で削られていないので霜で崩れて平坦になっている。
 多摩大橋をくぐって上流へ。一面のニセアカシア林がすべて伐採ないし抜根されて八高線鉄橋まで大きな広場になっている。実験地なので、区画に分けられて大石が並べられたり土壌が整備されたりしている。ラジコン飛行場は跡形もない。どうりで、谷地川合流点近くのヘリコプター中心のラジコン飛行場が今回拡張されたように見えたのはおそらくこの所為だろう。
 八高線鉄橋を越えると、昔ながらの平和な光景が続く。礫河原が広がる中州、日野用水堰、カルガモやバンの生息地になっている中州等々。
 まだコガモがいる。他方で夏鳥のオオヨシキリが囀っていた。
 カイツブリ、カワウ、コサギ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、イカルチドリ、イソシギ。キジ、キジバト、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月17日 定例自然観察会――二子橋周辺
 花粉症予防のため可能な限り外歩きは避けたい気分。
 今年度の定例自然観察会のテーマは「多摩川と街道」。今回は大山道を歩いた。
 まずは、すっかりきれいになった二子玉川駅のバスターミナルから北へ大山道行善寺ルート。次太夫堀(丸子川)を渡ると上り道となり、行火坂のすぐ上に浄土宗の行善寺がある。ここからの眺めは世田谷八景に選ばれたそうだが、いまは住宅やマンションの屋根を見るばかり。ケヤキの大木が並ぶ坂を下りて田園都市線を歩道橋で渡ると瀬田アートトンネルに着く。壁面が貼り絵で飾られている。
 さらに西へ進むと玉川大師玉眞院。樹木に覆われてお大師様は目立たないが、本堂地下にある数百の仏像はさらに目立たず、知る人ぞ知る秘境。真っ暗闇を胎内巡りのように手探りで進むと円満大師や四国霊場の仏様が並ぶ。
 旧玉電砧線の駅跡などを見つつ大山道慈眼寺ルートを下って兵庫島へ。汚い池の水がないので安全だ。こんなおもしろくない河川敷に何故続々と人が集まるのか不思議だ。二子橋下流左岸の護岸新設現場を金網越しに見る。
 その後、二子橋を渡り、有料になった右岸のバーベキュー場を見おろしつつ、岡本かのこ記念碑、光明寺、大釜、大山街道ふるさと館、二ヶ領用水などいくつか残る街道スポットを見ながら武蔵溝ノ口駅まで歩いた。
 カワウ、コサギ、カルガモ、イカルチドリ、カワセミ、コゲラ、ヒヨドリ、ツグミ、ウグイス、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。