多摩川の自然のニュース:2011年1月〜3月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2010年10〜12月


3月20日 京王多摩川から狛江五本松までの多摩川左岸
 
定例自然観察会と総会。快晴。停電と余震と原発で開催が危ぶまれたが、何事もなくいつも通りに行われた。
 最初に調布市郷土博物館へ。縄文時代はともかくとして、戦後の物品はいずれも自分で見聞きした懐かしいものばかり。これも展示物かと思える古いNECのPCが資料検索用に置かれていた。
 次に、京王多摩川駅横にあるフラワーパーク「アンジェ」へ。パンジーその他年中どこの公園でも見られるものを別にすると、いまの季節のメインはモクレン。さまざまな品種の木が植えられ、開花しているものも蕾のものもある。モクレン系は蕾も見るに値する。そうこうしている間に早11時半となったので、急いで多摩川へ。
 春の日差しが暖かく、河川敷にも堤防上にも大勢のひとが出てボール投げをしたり散策やサイクリング等々を楽しんでいる。時折専門のサイクリング車が迫ってきて危ない。堤防上をうろちょろしていると「危ないですよ」と彼らに注意されてムッと来るが、思えば確かに彼らは危険な存在だから発言に間違いはない。上河原堰のナイヤガラの滝≠ヘ今年で見納め。現在右岸側の改修が行われているが、今年の秋から右岸側の工事が予定されている。
 狛江五本松脇の堤内地にある西河原公民館で総会が行われた。42年も活動を続けていると、取りたてて「活動方針案」なるものを提示することもないので、来年度の自然観察会案と会計報告を行ったあと、参加者の近況を語り合った。西河原公園の樹木がすべて不様に剪定されているが、情報によると永田橋下流左岸の福生市柳山公園のクヌギやケヤキも丸坊主だとか。
 カイツブリ、カワウ、オオバン、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2月20日 府中郷土の森とその地先の多摩川左岸〜是政橋右岸 曇り、寒い
 定例自然観察会。今年度のテーマは「多摩川と博物館・美術館」で、前回の川崎市民ミュージアムと府中郷土の森は絶対欠かせない場所だった。川崎のそれはまったく期待はずれだったが、こちらは十分見応えがあった。
 最初に多摩川ふれあい教室がある「学校」へ。10年ぶりの訪問だが、展示内容が見違えるほど充実していた。「学校」内ではほかに詩人の村野四郎の四郎の特別展を開催中だった。村野四郎の詩はむかしから読んでいたが府中の実業家だとは知らなかった。園内は紅白の梅が満開でメジロがたくさん花の蜜を吸いに来ていた。ただ、人出が多いため野鳥はあまり見かけなかった。今日のような寒い日や雨の日などにお弁当を食べる場所がないのがここの最大の欠陥だと思う。
 午後は多摩川に出る。水が淀んで野鳥が一羽もいない。大丸用水堰の改築工事のためで、他面、休日が工事で休みのためふだん絶対に立ち入れない川の真ん中まで歩いて行けた。中州の自然を守るために水路を設けるよう要望しておいたが、その通りになっていて良かった。水流が集められている右岸側にはたくさんのカモが来ていた。是政橋右岸つけ根も工事中だったが、それよりもすさまじいのは是政橋から川崎街道へぬける道路の拡幅工事だった。これが竣工したらこの辺り一帯の景色は一変するだろう。
 カイツブリ、カワウ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ。トビ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒメアマツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、メジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

1月16日 等々力緑地から丸子橋までの多摩川右岸 快晴、のち晴れ。寒風吹き荒ぶ
 定例自然観察会。
 武蔵小杉駅からバスに乗り川崎市民ミュージアム前で下車。10時前ではまだ開館していないおそれがあったのと、すぐ近くに「まんが寺」として有名なお寺があるとのことで、まずはそちらへ向かった。武蔵小杉からのバスだと1つ手前の「とどろきアリーナ前」で降りると近い。住宅を抜けると右に宮内中学校があるが、その向かいに12世紀に創建されたという春日神社がある。指定保存樹の高木がたくさん残るなかなか風情のある神社で、そこからもう一つ別の社を抜けると常楽寺の境内に入る。住宅街にあるのに春日神社から常楽寺一体は別世界のようで、常楽寺の境内は一面に苔が生えた良い感じのお庭ができあがっている。裏には古いお墓がたくさんある。本堂は予想したよりも小さい。この中にある襖絵などが有名だが、堂内見学は予約制であることを今朝知ったので間に合わない。境内には筆塚や漫画家の碑文などもあり、寄った価値は十分あった。
 その後、本命の市民ミュージアムに入ったが、ただ広いだけでどこになにがどうあるかがわからず、ようやくたどり着いた展示もレプリカばかりでとくに新しい情報は得られず、ここはまったくの期待はずれだった。隣の「ふるさとの森」はもっと名ばかりの公園で、次の「釣池」で柵越しにカイツブリやヨシガモ、カワセミ、ゴイサギ、ウミネコを見て、少し気分を取り戻す。しかし、釣池の名の通り、畔の木の枝に釣り糸がたくさんひっかかっているのが気になった。カワウ除けなのか下手な釣り人の仕業かわからないが、いずれにせよ野鳥にとって透明で切れない釣り糸が恐怖のもとであることはかわらない。一刻も早く残骸を除去するか残酷な駆除手段をやめるかすべきだ。
 池の周囲の歩道を歩きつつ、間近にキジバト、シジュウカラ、コゲラ、そしてサザンカの蜜を吸うメジロを見ることができた。
 さて、多摩川に出ると寒風がいっそう強くなる。野球少年が大勢グラウンドを駆け回っている。水辺から等々力水辺の楽校≠ノ指定されている、魚濫川と多摩川本川との間に出来た中州を視察。水辺にセグロセキレイとイカルチドリが数羽いた。調布堰に近づくとカンムリカイツブリ、コガモなどが現れ、堰下ではさらにヒドリガモとハシビロガモが見られた。とにかく寒い一日だった。
 カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、ゴイサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、イカルチドリ、ウミネコ。トビ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

1月10日 多摩川中央公園から永田橋までの多摩川左岸 快晴、強い北からの寒風
 永田橋下流右岸の河川改修工事が昨年11月早々から始まっているという情報を得ていたが、多忙で確認できなかった。寒風吹き荒び奥多摩や丹沢の山々がよく見えた。確かに工事はすでに終盤にかかっていた。永田橋から見おろす限りでは礫河原というよりも土と砂が多くカワラノギクが自然分布する以前にコセンダングサやオオブタクサ、さらにはクズが繁茂するのではないかと思われるが、工事が進んでいる現況ではそうならないよう祈るだけである。
 永田橋は今春には竣工するようだ。
 ついでに田村酒造に寄ったが、ここは昔から休日は休業で酒は買えなかった。
 カワウ、ダイサギ、セグロセキレイ、スズメ。たったこれだけ……。野鳥も寒いのだろう。

1月4日 睦橋から昭和用水堰までの多摩川左岸 晴れ
 近くで会議があったのでついでに多摩川散歩。福生市南公園から礫河原に下りる。他にも子ども連れなど数組。この公園と川との一体性が良いのに、市職員にはそれが理解できないらしい。下流に向かって踏み跡が続き、秋川合流点近くからさらに昭和用水堰手前まで続いている。あまりに人気がないので少々不安になる。野生動物等がではなく追剥ぎがいないかと。ただし、最も驚いたのはかわいそうな野鳥たちでバタバタを逃げ去っていく。
 特記すべきことはとくにないのがある意味で平和だ。福生市南公園では正月休みの親子連れが大勢凧揚げやボール投げなどの遊びに来ている。栴檀のきれいな実が青空に向けたくさんついている。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、カルガモ、イソシギ。トビ、キジバト、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

1月2日 中央線鉄橋から日野用水堰までの多摩川右岸 快晴
 毎年多摩川歩き初めはこのコースと決めている。
 かつては中央線鉄橋下の土丹から眺める上流方面と奥多摩の山々が絶景だったが、河川改修後は絵にならない。八王子で「キューピー山」と呼ばれる大岳の山容だけが昔と変わらない。谷地川が多摩川河川区域に入り込む手前の堤防のり面にカワラノギクそっくりの種子をつけた菊が1本生えていて驚く。谷地川合流点付近の河原の改修工事が始まっている。堤内地の砂利洗い場付近から流れ出る堀川を一部利用して水質と河川環境を改善しようとする工事が行われている。遠く水辺に野鳥カメラマンが2名、下流のラジコン飛行場に7名、上流のに15名集まり飛行機を飛ばしている。下水処理水流出口にカルガモとコガモがたくさん群れている。水が温かいからか何か餌があるからかわからない。
 八高線鉄橋を越えると少し静かになり、冬枯れした樹木を写生している人、野鳥を眺めている人、犬の散歩者等々が静かな正月の多摩川散策を楽しんでいる。日野用水堰上にカワウが30羽ほど休んでいる。その上の中州の水辺はヒメガマの群落、その根元にオオバンとコガモが寝ている。さらに上流にもオオバンが20羽。全身が黒いとどうもカラスやカワウと同じイメージで見えてしまう。バンは最近めったに見ない。日野用水堰右岸堤防から眺める上流方向の景色は多摩川で三本指に入ると思う。先年の大増水で形状が大きく変わったが、少しもとに戻ってきた。堰を見ると、堰改築に際し情熱的に仕事に励んでいたUさんという都の職員を思い出す。難病に罹ったあと快復し停年退職されたと思うが、お元気だろうか。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、オオバン40、カルガモ、コガモ。トビ、ノスリ、コジュケイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、カシラダカ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。