多摩川の自然のニュース:2020年7月〜9月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。


2020年9月〜12月
2020年4月〜6月
2020年1月〜3月
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9月29日 多摩水道橋から京王多摩川までの多摩川左岸
 涼しい多摩川歩き。多摩水道橋上流左岸の低水護岸に砂利が埋められた。堤防法面はクズとアレチウリが覆う。
 調布五本松前の礫河原で河原植物を探すが見つからず。高水敷の緊急時用道路を歩くのはつまらない。藪に覆われたワンド跡。上河原堰ではコサギが1羽。

9月28日 拝島橋右岸から八高線鉄橋までの多摩川左岸
 雨が続き10日ぶりの多摩川行きとなった。少し秋めいて空気が澄み奥多摩の山並みがきれいだ。
 右岸で河原植物調査。カワラサイコ240、カワラヨモギ108、カワラケツメイ137。6月には365、134,400だったので大きな変化はない。橋下流の新しいラジコン飛行場にはまだ河原植物は見つからない。
 橋を渡り左岸へ。真紅の彼岸花がきれいだ。キクイモも良い。
 八高線の車窓から多摩川を見下ろしつついつか行きたいと思っていたがようやく実現した。第三紀層露出はだいぶ減ったが、なかなかおもしろい。特筆すべき植物は見つからなかったが被写体は豊富だ。シオカラトンボとアカトンボがたくさん飛んでいる。

9月18日 河辺(多摩川左岸)
 友田の対岸でカワラニガナの大群落があった河辺地区でも見逃しか新たな芽生えがあるかもしれないと期待して出かける。今年度3度目。河原に出来た林の大半が流失して広大な礫河原になったが、友田と同様にニセアカシアやネムノキの復活が速く、オオブタクサその他の植物もだいぶ繁茂している。
 広大な礫河原の中で10p丈の植物を見つけるのだからごろごろ石の上を縦横に歩き回らなければならない。で、結局河原植物は何も見つからなかった。代わりに園芸植物がちょこちょこ花を咲かせている。
 気温は35.8度、蒸し暑い。

9月17日 友田(多摩川右岸)
 多摩橋のすぐ上流にある人道橋の上流右岸に小さいながら礫河原があったが、流路が変わって林の脇まで深そうな水流が迫っている。
 圏央道橋下の河原に出る踏み跡周辺のブタクサが3mを越えて林の中を歩いている感じだ。
 かつて中州のように礫河原の間に林があったが、昨秋の増水ですべて流失し、広大な礫河原となった、のは夏前までで、いまはツルヨシやニセアカシア等々が繁茂してどこから藪漕ぎせずに河原に出られるかが問題。とは言え過去の経験からして直にルートを見つけて砂利山を登る。
 上流方向へ広大な礫河原が広がり、昨秋の増水まではカワラニガナの大群落があったがすべて流失した。だが、あれだけあったのだから1本ぐらいは生き残りはないだろうかと藪も含めて隅々まで歩き回った成果があった! カワラニガナが14個体生き残っていた。うち10個体は花を咲かせており、これが種子をつけて周囲に散ってくれれば2年後ぐらいにはかなり広く分布するだろうとひたすら期待する。
 これで一挙に気が入り二匹目のどじょうを探したが、この一群だけしか見つからなかった。
 今日も気温は39度。

9月13日 永田地区
 カワラノギク・プロジェクトの公開作業で、6月に播種した地区B〜Fの除草を行い、合わせて個体数を数えた。数は500強だが、大きくても10p弱なので今秋の開花は期待できない。曇り空であまり汗をかかずに済んだ。
 終了後、自然に出来たカワラノギクの花壇≠ヨ。今秋開花しそうな個体が125、実生ないしロゼットが70。土質はあまり良くない。大粒の雨が降ってきた。

9月10日 東秋川橋上流秋川左岸から多摩川合流点、睦橋
 先日高月へ行く途中で通った東秋川橋上流にカワラニガナがあったのを思い出したので、念のために見に行った。ここは低水敷を整地して有料BBQ等場にしている。その上流端にカワラニガナがあったが、昨秋の増水で冠水したらしいことは礫の具合からわかり、残念ながら見つからなかった。代わりにカワラケツメイを4個体見つけた。
 ここから秋川を下って多摩川合流点へ。かつて気持ちの良い遊歩道だったが、いまは藪同然。多摩川の堤防天端も除草されておらず昨晩の雨の露で靴がびしょ濡れとなった。
 睦橋から下流を見ると、礫河原に盛り土するナンセンスな作業がまだ行われていた。大雨が降ったら大量の土砂が流出することは間違いなく、治水上危険極まりないと思うが、何を考えているのやら。
 〔追伸。その後京浜河川事務所から伝えられたところによると、これは川から公園内に流れ込んだ土を、ゴミなどを除去して川に戻す作業だとか。しかし、それを言うなら、山や堤内地から土が川へ入り込んだので、さらに川の外に出すべきであろう。いずれにせよ、この大量の土がいずれ流出して堰周辺でヘドロとして溜まったり、礫河原の上に溜まって河川区域の樹林化を推進することとなり、治水上大問題になるはずである。〕

9月9日 多摩川原橋から是政橋までの多摩川右岸
 京浜河川事務所多摩出張所前のカワラサイコ群落保護のため現地協議。ついでに多摩川原橋から上流の河原植物調査をする。
 ニセアカシア林入口のカワラサイコは、周囲が除草され剥き出しながら10個体確認。ニセアカシア林の半分以上が治水のため伐採されたが、堤防法面に1〜2mのひこばえがびっしりと再生。
 稲城大橋下流に広がる礫河原へ。なにしろ広いので気温40度強の炎天下を縦横に調べるのもつらいので、適当にジグザグ歩きで、カワラケツメイを1個体確認。ほかは特筆すべきものなく、橋の下で休憩し昼食。
 堤防沿いに上流へ。スーパー堤防が切れる辺りから高水敷に降りる。かつてはカワラサイコがちらほらあったが草が茂って全滅。新たに造られた駐車場入口にもあって柵で囲って守ってもらったが環境に合わないのか誰かに貴重種と思われて抜かれたのか、消滅。
 是政橋から稲城市の運動場まで低水護岸工事がこの冬行われる予定で、周囲一帯すべて工事区域に入るとのことで、カワラサイコ群落の保護について現地協議。群落中心部のみかろうじて守られることになった。周囲全て数えると319個体あるが、250個体ほど守られる予定。残りの一部は深く補って下流のしかるべき所に移植するが、成功するかどうかは不明。
 ついでに礫河原に出て、一通り見て回って上流にルートを見つけて堤防に出ようと思ったが、結局猛烈な藪漕ぎ。

9月5日 永田地区の多摩川右岸
 カワラノギクPJが播種した結果調査をしている福生市のIさんたちの報告を受け、その後の生育状況と私が8月初旬に行った調査箇所との照合等を行うため、連日になるが今夜から台風の絵影響で天気が悪くなりそうなので出かけた。日射は暑いが温度計は36度ぐらいで大したことはない。今春出来た排水路脇も草が茂って大変とのことだったがまったく問題なく通過して礫河原へ。奇蹟でカワラノギクやカワラニガナが生き残っていないかを見つつ播種地へ。播種したのがコロナの影響で遅れたためいまだに1pからせいぜい5pしか成長しておらず今秋の開花は無理だろう。8月初旬と比べて日照りのせいで実生もかなり減った気がする。

9月4日 高月集会所前秋川から昭和用水堰下流右岸
 台風の影響らしい天気が続いたが今日は快晴で富士山が見える。青空の色も濃い。
 八王子市高月には一面の田圃が広がり、稲の実つまり米がたわわに実っている。根本にはオモダカの花があちこちで咲いている。トンボが飛び交う。
 秋川の堤防は除草の最中。その少し下流で多摩川の管轄となる。昨年末に造成したコンクリート護岸の周囲の芝養生のため立入禁止のロープがずっと張られているが2mを越す雑草は刈らなくて良いのだろうか。
 秋川脇の礫河原に降りたいが、途中の藪が激しくてやめる。下流に行くに連れて藪は林になりアレチウリで一面覆われた所もある。
 30年ほど前に国が造った水辺公園入口から水辺に出るルートが昔から2本あり、それを辿って礫河原に出る。八王子・日野カワセミ会のK氏からカワラケツメイが1株あったとの連絡を戴き見に来たのだが、確かに約300mの小さな礫河原にカワラケツメイが2+3+2=計7個体あり、いずれも黄色の花をつけている。
 昭和用水堰を乗り越えて下り、下流に続く広い礫河原を調査。最下流端でカワラケツメイ1個体発見。堰上流のもここのも少しの増水で流出すると思われる。鬱蒼と茂る竹林の間になんとなく径らしきものが見えたので近づくとHLと思われる男性が水浴をしていた。気温35.7度、気持ち良さそうだ。
 堰まで戻り、滑りやすい赤土(水溜まりは水深3mほど)を慎重に歩いて踏み跡に辿りつく。
 ふたたび水田の脇を経てバス停へ。トビが上空を気持ち良さそうに旋回している。バス停付近は風があって気持ち良いがこれは自然の風ではなくトラックが疾駆して起こす強風で帽子が飛ばされる。

8月30日 石田大橋から立日橋までの多摩川右岸
 体感的に今年一番の暑さ。多摩川高水敷の気温は49.1度、湿度29。
 中央高速道橋の上流右岸に礫河原があったが増水で消滅して現在は水域に。代わりに下流に大きな礫河原が出来て石田大橋付近まで延びている。河原植物がありそうなので炎天下を根性で歩き回るが成果はゼロ。ザボンソウが1株きれいに花を咲かせていた。中央高速道橋は耐震補強工事中で柵の中に入ると警報がピーピー鳴ったが無視して通る。
 堤防天端もさして涼しくない。日野橋近くのカワラサイコは健在。ツバメが盛んに飛び交っている。

8月28日 府中四谷橋から関戸橋までの多摩川左岸
 万願寺地先の高水敷に生えるカワラナデシコは今夏開花しそうもないが他ではどうだろうと、府中四谷橋下流左岸へ見に行く。ここも同じように蕾がたくさんついているが夏枯れで咲きそうもない。9月中旬にもう一度見に来よう。カワラサイコは元気だ。
 低水敷は一年のオギやツルヨシ、ブタクサなどでとても立ち入れないが、1箇所工事用車輌の入口があり、水流を中断して中州状態の所へ入れる。増水以前は広大なオギ原だったが、堤防寄り3分の1を残してすべて礫河原となった。1q×500mはありそうな広大な河原で10p丈のカワラニガナがあるかないかを気温36度の炎天下で探すのは無謀・無駄とも思えるが、ないとは言いきれない。上流の一角で花をたくさんつけたカワラケツメイを1株見つけた。たぶんワルナスビと思われるが市販のミニトマトより大きいトマトが実っている株がいくつかあった。クコも赤い実と花をたくさんつけている。ビロードモウズイカもいくつか。下流端の少し高台にカワラケツメイがもう1株。
 堤防小段に戻り関戸橋まで、橋を渡り右岸へ。堤防天端にあるカワラサイコ4株健在、そのすぐ近くに新たに5個体確認。京王線鉄橋直下の東京都による河原植物育成地ではカワラサイコ19、播種し成長したカワラノギク164個体、今回はきれいに除草されていた。

8月26日 万願寺地先の多摩川右岸
 まだまだ十分猛暑。炎天下グラウンドでは女子大生が20人強ラクロスの練習。
 堤防法面はクズがだいぶ覆っている。その間を縫ってツリガネニンジンとワレモコウが花を咲かせている。
 ラジコン飛行場を経て高水敷の草地へ。連日の猛暑で草がだいぶ焼けているが、カワラサイコは根が深いので元気に葉を伸ばしている。他方、カワラナデシコは蕾を付けながらも開花できずに夏枯れしている。年々個体数も減っており、今日は10個体しか確認できなかった。
 クズとブタクサの「林」が背丈を越え無理に突破するとポロシャツが汚れて洗っても落ちなくなる。造成地に出てかつてカワラケツメイがあった所を探すとどうにか7個体確認できたが、葉が水涸れで縮れている。カワラヨモギは元気に育っている。
 池にはアオサギとカルガモが涼んでいる。
 雨の日以外ほぼ毎日ドラムの練習をする人、同一人物かどうか知らないがもう10年以上来ている。気温は28度〜34度。

8月24日 臨川庭園地先の礫河原から和田橋までの多摩川左岸
 10時頃に太陽が照りつけるまでは秋の気配を感じさせるひんやりとした風が肌に気持ち良かった。
 青梅駅までの電車はウィルス感染予防意識が感じられる静かで落ち着いた雰囲気だったが、青梅から奥多摩行きに乗り換えた途端、ハイキングに行く大学生や中高年グループ等々のお祭り気分でギョッとする。幸い今日は青梅駅から1駅目で降りる。
 急な坂道をどんどん下り、臨川庭園横を抜けて礫河原へ。ここは青梅万年橋上流約2qの右岸から折々眺めている対岸にあたり、右岸カワラニガナが5000ほどあった(増水前)ので、対岸にも少しはあるのではと期待するが、数年前に当地を調査した際には1個体も見つからなかったので、あればラッキーというところ。結果は河原植物はいっさい見つからなかった。石灰岩があちこちに転がっている。上流から流れてきたのだろう。かつては河辺辺りにも石灰岩がたくさん流れてきていたが、最近は万年橋上流でないとあまり見られない。
 ここは増水前から、どこかからか流れ着いた護岸ブロックが点在し、河原での彫刻展かあるいはモランの出現かと思わせるが、数は少し減ったもののまだおもしろい。
 臨川庭園横から坂の上り下りが激しい住宅街等を経て、上流の和田橋へ。この辺は水辺に降りられる所がない。駅も遠いので右岸の少し先にある吉野街道まで坂を登り、バスで青梅駅まで戻った。

8月20日 長淵(多摩川右岸)
 河原の気温38.44度。8月に入ってからの猛暑で草があちおちで日焼けしており、多摩川で絶滅危惧種第一級のカワラニガナも6月7日の調査時と比較して半減した。下流部で12個体あった箇所は3個体、上流部の509個体あった箇所は249個体と半減。この群落が元となって長淵全体に広まり、さらに対岸の河辺へ、そしてさらに右岸下流の友田へと広がるとしたら10年はかかりそうだ。

8月18日 和泉多摩川から二子玉川までの多摩川左岸
 猛暑だが、鞄に付けた温度計で37.78度なので涼しいほう。風があり暑さは苦にならないが、堤防上をひたすら歩くのはさほどおもしろくない。
 小田急線鉄橋脇にあった狛江市の野球場がなくなった。狛江水害以前からある「自由ひろば」はそのまま。
 高水敷にある災害時緊急道路が昨秋の増水で一部抉られたままで、無用の長物だとわかる。映画撮影用?の車が河川敷内私有地に置かれてもう40年ぐらい。
 警視庁交通安全指導所のコースに炎天下バイクに乗ったまま動かない人が数人いるので訓練も大変だなと思ったが、良く見たら人形だった。
 かつて除草期間調整で守った二子玉川上流河川敷公園の一角にあった低水護岸脇のカワラサイコは数年前から藪に覆われ生存不明。
 兵庫島脇の人工せせらぎで子ども連れが大勢遊んでいる。野川でも。こんな汚い川で子どもたちが可哀想だ。
 目当ての河原植物はなし。

8月16日 大丸用水堰左岸
 府中市郷土の森の地先、大丸用水堰左岸の高水敷はBBQをする人で賑わうが、新型コロナ感染防止対策として4月から周囲一帯全面封鎖されている。私有地でもないのに一切隙間なくフェンスが張り巡らされている。政府はGO TOキャンペーンで外出を奨励しているが、何を根拠にこれほど厳重に河川敷立入を禁止しているのか理解できない。堤防脇にある水道水も感染防止の名目で止められており、40度近い炎天下熱中症に注意しマメに水分をと呼び掛ける市の放送に矛盾している。
 これほどナンセンスな立入禁止区域だが、1箇所抜け穴があり、そこから高水敷に入り、カワラサイコの生育状況を調査した。BBQ客など人の立ち入りがいっさいないのでカワラサイコは生育範囲を広げているのではと期待したが、連日の猛暑でむしろ草が焼けており、BBQ客の少ない下流側の芝地に11個体、砂利道に1個体あるのみで、昨年まであった小さな群落は消滅した。閉鎖区間の上流端近くに大きな株が1つあった。最後に藪を抜ければ脱出できるはずだったが、フェンスが補強されて水中まで延びており、結局元来た道を引き返し、例の抜け穴から脱出した。
 堤防法面にカワラサイコとともにカワラナデシコが数個体あったので開花状況を見るため現地に向かったが、あまりの猛暑ゆえ、途中で断念した。(腰の高さで39.47度。
 ダイサギ、コサギ、アオサギ、セッカ、など。

8月14日 睦橋下流左岸から多摩橋までの多摩川左岸
 猛暑(39.45度)だが川風があり気持ちが良い。
 睦橋下流左岸の河川敷にある福生市南公園前の礫河原に「なんでこんなところに!?」という土盛りが造られていたが、その後どうなったか、河原植物調査のついでに見に行った。盛り土はほぼ終わっていたが、少し大きめの増水があったらあっさり流出して下流にヘドロを積むだけだろう。もしかしたら、増水で破壊された公園から出る土砂の一時置き場かとも思ったが、仮置き場なら公園内にいくらでも場所があり、わざわざこの季節に増水の影響を受けやすい礫河原に置くことはないだろう。睦橋まで引き返す。この間河原植物なし。
 秋川合流点にも行きたいが、少なくとも川沿いには行けないことが対岸からも確認できる。かつては秋川と合流する脇の堤防から凄まじいツルヨシ等の群落をかいくぐって行くルートがあったが、昨今その奧でラジコン飛行機を飛ばす人がいなくなり、増水後はたぶんルートがないばかりか、途中に数本水路があるのではないかと思われ、晩秋以降に行くことにしよう。
 睦橋をくぐり、堤防上を上流へと溯り、五日市線鉄橋を経て福生市多摩川中央公園へ。上空を旋回する米軍輸送機もやっといなくなった。
 多摩橋下流の礫河原に唐突に造られた堤防は、なんと雑草が生い茂って、はてどこだっけ?とわからないほど周囲の環境に溶け込んでいた。しかし、上流に行って振り返るとやはり礫河原に突き出た河流障害物だった。礫河原にはBBQ跡があちこちにあり。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、チドリSP、ホオジロ、等々。

8月9日 程久保川から京王線鉄橋までの多摩川右岸
 「夏が去るのがつくづく惜しい」と鳴くツクツクホウシは近年8月早々鳴き始めるが、多摩川で今日初めて聞いた。
 程久保川から関戸橋にかけての右岸堤防は散策者が多い。グラウンドでは女子ラクロス部の学生が密集して練習中。
 程久保川ワンド入口付近に除草の跡。何のためか? 堤防フェンス沿いの灌木がすべて伐採されたが、代わりアレチウリの繁茂、手入れ不行き届きではないか。
 京王線鉄橋上流に長年生き残っているカワラサイコ群落、本年4月19日調査では23個体だったのが路上の新しい実生が増えて38に、鉄橋下流の東京都が育てた群落は20から28に増えた。
 都が今春播種したカワラノギクは195発芽し、いまは74に減ったが生き残った株はみな50pほどに成長し、今秋の開花が期待できる。
 コサギ、ダイサギ、ウグイス、セッカ、ホオジロなど。

8月8日 多摩大橋下流から谷地川合流点付近の多摩川右岸
 晴耕雨読とは言え、昨日は最高気温36度との予想だったので外出を控えた。今日は曇りで、街中は暑いが河原は風が通って涼しい。
 先日、多摩大橋上下流の礫河原を歩いたが、そこに出る前に通る堤防近くの空き地にカワラケツメイがありそうに見えたので、今日はそこと前回概略を掴むだけだった箇所を再訪した。堤防近くの作業用ヤードに予想通り、カワラケツメイが2個体あり、2個体あるということは周囲にもっとあるはずと思い探すと、その奧に3、せせらぎ水路側に51個体、他2で、合計58個体確認できた。
 せせらぎ水路を渡り、水路に沿って延々と続く道路を下流に向かってキョロキョロ植物を探しながら進み、先日カワラケツメイを134個体見つけた箇所を重点調査。前回よりも丈が延びているので見つけやすい。4地区に分けて数え、合計731個体確認できた。さらにその奧の造成地は、前回292個体確認したが、再度奧まで徹底調査し、奧は一面びっしりカワラケツメイが生えており正確には数えられないが、可能な限り注意深く数えて、合計2093個体確認した。道路際にある10個体を合わせて、今日この一帯で確認したカワラケツメイは合計2892、見落としを勘案して約3000。これだけあっても、多摩川でカワラケツメイの群落がある箇所は全部で6箇所のみ(わかっている限りで)なので、多摩川では絶滅危惧種に入る。
 アオサギ、カルガモ、ツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、など。鋭角三角錐のジェット戦闘機が2機、轟音のもと飛び去った。速すぎて写真に撮れない。

8月6日 永田地区(多摩川右岸)
 礫河原の温度と湿度を測ろうと思って出したら、1分も経たないうちに目盛りが飛んだ。この温湿計は50度以上は測れないらしい。脇に置いた鋏が熱くて触れない。
 永田橋上流右岸の通称「永田地区」に今年6月6日にカワラノギクを播種したが、その生育状況を見に行く。礫河原に開けた箇所に1個体、そこからツルヨシをかき分けて播種した区画4つを調べたが、そのうちC地区に実生350個体、B地区に3個体、A地区とD地区は0だった。最上流の礫河原に試し播きした所に5、合計359個体確認できた。播種した時期が遅いせいもあり、まだ小さく、地表温度50度以上湿度30以下でいつまで耐えられるか。
 ついでに昨年流失した箇所に生き残りがないか調べたが見つからなかった。
 今日もすぐ頭の上を米軍輸送機が30回ほど旋回して不快指数を高めた。

8月3日 河辺地先の多摩川左岸
 礫河原の気温43.1度、湿度35%。それよりも上空を何周もする米軍機のほうが暑苦しい。
 当地は昨年夏までカワラニガナの大群落地だったが、今年6月3日の調査ではゼロ。カワラニガナは2,3株あれば周囲に10から20個体は見つかるが、どこかから種子が飛んで来て発芽する場合は当然たった1本なので見つけるのが難しい。その偶然か奇蹟を期待して炎天下礫河原のジグザグ歩きで探すが、今日も収穫ゼロだった。奇蹟を期待して次は10月末に来よう。
 ウグイスとガビチョウの大合唱。
 キササゲがたくさん実を付けているので、来年は倍以上に増えているだろう。

8月2日 羽村宮ノ下の多摩川左岸
 多摩川に出る前に大きな水田が広がり、春はチューリップ、そして初夏に大賀ハスの花が咲き有名だが、大賀ハスを育てている一角はいまは一区画しかない。時期遅れながらいくつかきれいな花を咲かせていた。
 多摩川高水敷は大増水ですべて流された野球場の復旧工事が終わったが、無駄な公共事業の典型だ。いずれまたすべて流失するか冠水する。すぐ下に羽村取水堰があるのでこの一帯は水が溜まるからだ。
 カワラニガナの大群落はすべて流失し、今年5月31日にかろうじて4個体の生き残りが確認できた。その実生が育ったのか、今日は9個体に増えていた。まだ同じ場所にかたまってあるだけだが、徐々に周囲に広がって欲しい。
 カワラノギクは、昨秋生き残りを確認できた一角に大きく成長した個体2とロゼット1あり、このほかにまとまって生き残った一角にカワラノギク73個体確認できた。5月末に79だったので少し減った。今秋花がたくさん咲きそうなので個体群の継続が期待できるが、水辺に近いのが少々気がかり。鞄につけた温湿計を見たら、気温43.9度、湿度41パーセントだった。でも風が爽やかだ。
 礫河原が広がったためBBQや花火の跡(後始末をしていない跡)があちこちにあり気がかり。

8月1日 多摩大橋上下流から日野用水堰右岸
 長い梅雨がようやく明けた。晴耕雨読、さっそく多摩川へ。日射しは強いが久しぶりの日光なので気持ちが良い。たまに来る風が少しひやりとする。
 多摩大橋上下流一帯はカワラニガナとカワラケツメイの群落があったが、昨秋の増水ですべて流失。今年6月に調査したが河原植物は見つからなかった。いまはカワラケツメイがだいぶ成長しているので見つけやすいが、この一帯隈無く探したが見つからない。
 上流へ、せせらぎ水路に沿った作業用道路を歩く。八高線鉄橋下流にかねてからカワラケツメイが数株あった所があるので気をつけて見たら50個体確認できた。せせらぎ水路取り入れ口にもいくらかあったが先年の工事ですべてなくなったが、用は2個体確認できた。そこから八高線鉄橋まで新しく低水護岸が造られた。その周辺に敷き詰められた土砂に草が生え始めているが、その中にもカワラケツメイがあり、鉄橋上流の小段までに11+22+8=41個体点々と生えている。カワラケツメイが生えていた所から土砂を採って持って来たのだろうか。かつてはここにはなかった。
 かなり整備された堤防天端の道を上流へ日野用水堰上流まで。数週間ステイホーム状態だったので、ミンミンゼミとニイニイゼミの鳴き声にちょっと感動する。
 炎天下の多摩川の高水敷は、ほとんど人が通らないが、ごくたまにすれ違う人がみなマスクをしていてちょっと呆れる。調布の堤防天端のように人出が多いならともかく。野鳥保護のためだろうか。

7月26日 雷雨上がりの高尾山
 
16時頃、雷雨が過ぎて、外が少し明るくなった。見ると、高尾山の上空に黒い雲、下には白い雲が沸き、幻想的な光景なので写真を撮る。
 毎日よく雨が降る。晴耕雨読で多摩川に行く予定が、7月はたった3回の多摩川行きとなった。
 その理由はおもに2つあり、1つはなんと言っても連日の雨で、ニュースによると、7月に一日一度も雨が降らなかった日は東京はたった1日、横浜はなんと0日だとか。
 礫河原は猛暑になるので夏は午前中に調査を済ませることにしているが、草丈が2メートル以上に茂る中での藪漕ぎもあるので、朝8時までに雨が止んでいないと、のちに晴れてもびしょ濡れになる。そんなわけで、朝7時に多摩川へ行くか行かないかを決めている。昼頃から晴れても猛暑ゆえ行かない。
 理由のもう1つは、7月は河原植物のいわば端境期だからだ。カワラサイコの調査は5月から6月の開花期に行くのが一番発見しやすく効率的で、カワラノギク(多摩川の自生株は絶滅)は11月の開花期が一番見つけやすい。カワラケツメイ(多摩川では稀少)は7月中旬から10月、カワラニガナとカワラヨモギ(いずれも多摩川で絶滅危惧)は5月から11月が調査適期というわけで、7月に小雨の中を無理に調査に出る必要がない。
 以上の2つの理由以外に所用と感染予防があるのは言うまでもない。

7月12日 多摩大橋から中央線鉄橋までの多摩川右岸
 雨が降らなければ多摩川へという日々を送っているが、毎日雨が降るので結局1週間ぶりとなった。湿度が低いので快適と天気予報で言っていたが、十分以上に蒸し暑い。真夏だ。
 今日は堤防天端をぶらぶらとというつもりでいたが、下水処理水排出口から高水敷に出て広い作業用道路に入ると、河原植物がありそうな気配がしてつい深入りしてどんどん奧へ。暑いし帰りが大変なのでそろそろ折り返そうかと思った足元にカワラケツメイがあった。数年前にこの辺にいくつか群落があったので、ここにあるなら付近にもと探し始めて結局作業用道路の最後まで行くことになった。途中、新しく出来た造成地でカワラケツメイが286個体、先ほどの道路上に102個体、その近くに52個体、その他で合計444個体確認。付近にまだ見落としが50ぐらいはあるかもしれない。興味深いのは、以前からある作業用路周辺にはまったくなく、新しい造成地にのみあるという点。他の植物との競争に負けるのだろうか。
 さて、多摩大橋まで戻るのは嫌なので右に新しくできた道路を進んだら、なんと谷地川合流点の堤防天端に出られた。途中に「せせらぎ水路」という人口河川があるはずだがおかしいなと思って調べたら、水路の先端は水涸れで多摩川まで通じていないことがわかった。
 さて、谷地川を越えて10年程前カワラケツメイがいっぱいあった谷地川沿いの踏み跡を歩いたがここ数年と同様1本も見つからない。
 堤防に上がり、汗だくで中央線鉄橋脇から日野駅へ向かった。ウグイスとセッカとガビチョウの声が際立っていた。カワトンボがあちこちに。

7月5日 石神前ブリジストン研修所前の多摩川左岸
 カワラニガナを確認できる多摩川最上流地は、過去の調査では奥多摩路という保養施設前の礫河原だったが、現在施設利用者以外立入不可なので、現状はわからない。そこを除く昨年8月8日の調査では、石神前のブリジストン研修所前の礫河原で51個体確認できた。だが、昨秋の大増水でどうなったか。
 梅雨の合間の曇天に見に行った。河原に降りる階段があるが、最後の河原に出る所が猛烈な藪だった。増水のおかげで藪が流されそこは無事に通れた。「川面霧立ち」という歌のように、好文橋辺りから下流に向けて川面の上だけ濃い霧が出ており幻想的風景。そこを子どもを乗せたカヌーが数艇荒波を乗り越えて下って来る。冠水してきれいに洗われた礫河原にカワラニガナは見つけられなかった。
 帰りは蛇でも出そうな湿った階段を避けてブリジストンの敷地内を経て帰ろうと思っていたら、敷地から親子連れ12人が降りてきた。施設利用者かもしれないので、私有地立入を咎められても嫌なのでまた蜘蛛の巣をかき分けながら湿った階段を登った。

7月2日 万年橋上流両岸から調布橋までの多摩川
 昨夜遅くまで風雨が激しかったが、朝から夏空で日射しが強い。一面の礫河原。
 青梅万年橋から上流約300mの礫河原にカワラニガナが5000個体ほどあったが昨秋の増水ですべて流失。今年4月にも調査したが生き残りも再生もなし。今日も残念ながらなし。左岸は若干草が生え、生き残りがありそうな雰囲気だが、隈無く探しても見つからず。
 柳淵橋を渡り釜の淵公園を経て住宅と吉野街道を経て調布橋へ。途中で林を抜けて河原に出る道があるが、河原があるかどうか不明だったのでまずは調布橋へ。予想通り、右岸上流の礫河原は半減ないしは3分の1になった。
 ウグイスの声だけがあちこちから聞こえる。

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