多摩川の自然のニュース:2020年4月〜6月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2020年7月〜9月
2020年1月〜3月
2019年10月〜12月
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6月29日 小田急線鉄橋から是政橋までの多摩川右岸
 前回の続きで右岸を溯る。多摩水道橋から上流へ笹が密生している間に作られた抜け道を経て水辺に向かうが、水辺にも草木が密生していて容易に近づけない。その代わり、両方の中間にしっかりした踏み跡が2q近く続く。だいぶ歩いてからようやく新しく広がった礫河原に出る。すでに調布五本松の対岸辺り。そこから上流は中州と水路が入り混じった所で、水中の調査をしたらいろいろな生物が見つかるのではないかと思われる。
 長い踏み跡がようやく本堤と繋がり、天端に出るとちょうど除草の最中。堤防上はサイクリング車がひっきりなしに往来するが、天端が広いので危なくはない。舗装部分の両脇に芝地があるが、いくら延々とそれが続いてもカワラサイコがないところにはない。
 上河原堰横を抜ける新しいサイクリングロードができて危険な車道を通らなくて良くなった。京王相模原線鉄橋まででちょうど1時間、そこから堤防工事中の脇を通り多摩川原橋へ。
 堤防付近のニセアカシア林は先日通ったので、今回は低水護岸から新しくできた広大な礫河原に出て、河原植物でもないかと探しつつ稲城大橋まで。残念ながら特筆すべきものなし。ここからサイクリングロードに出てスーパー堤防を過ぎ、高水敷に降りる。
 河川区域内の樹木伐採が進み、桑の木の下にあったカワラサイコがどこに行ったかわからなくなった。新しく出来た河川敷内の駐車場の少し手前にカワラサイコ3個体が開花、駐車場区域内にあった10個体を守るよう河川管理者に要望しておいたところ、柵で囲って保護されていた。3個体に減っていたのが残念だが、無為に潰されず良かった。京浜河川事務所多摩出張所前のカワラサイコ群落は元気に花をつけている。是政橋直上流のカワラサイコは今年の5月4日に19個体確認できたが、いまは開花しており探しやすく27個体確認できた。
 炎天下8.5q、一部礫河原歩きで我ながらよく頑張った。

6月26日 二子橋から宿河原堰までの多摩川右岸
 今朝は湿度99%、天気予報の最高気温33度とのことだったが、風がありさほど暑くなかった。
 カワラサイコの多摩川右岸の最下流生育地は新二子橋上流で、一昨年は40個体、昨年6月4日は34個体確認できた。しかし昨秋の増水でそのすぐ上流にある平瀬川合流点付近の民家が床下浸水するなどの被害が出たので、カワラサイコ生育地も冠水したと思われる。来て見ると作業用道路などは改修されて新たに砂利が撒かれているが、カワラサイコのある草地は残っていた。しかし確認できたカワラサイコは5個体のみ。周囲はハルシャギクとシナダレスズメガヤが覆っており、減少の最大の原因はこれら帰化植物と思われる。
 ここから上流は堤防上サイクリングロード、高水敷はパークゴルフ場、畑、野球場、荒れ地、テニスコート、民地等々で自然を楽しむ場がほとんどない。東名高速道橋付近に森があったが、堤防改築ですべて伐採された。
 ちなみに右岸でカワラサイコが確認できる次の地点は稲城市地先のニセアカシア林手前、その次は京浜河川事務所多摩出張所付近というように極めて限られている。新二子橋の個体群も来年なくなる可能性を否定できない。左岸は運動場脇の旧低水護岸にあったが草に覆われて絶滅。カワラサイコの左岸最下流個体群は上河原堰付近で、狛江市や世田谷区地先のカワラサイコは絶滅した。

6月24日 上河原堰から府中競艇場地先の多摩川左岸
 過日、上河原堰付近と稲城大橋付近の河原植物調査をしたが、いずれも除草したばかりで刈った草が表面を覆って調査ができなかったための再調査。霧雨。
 予想通り、カワラサイコは草を刈った後から丈が延びたり花が咲いたりしてみつけやすい。合計754個体。今年5月20日は459なのでかなり増えた。堰上流堤防小段もついでに再調査したところ、前回189、今回225で少し増えた。昨年は作業用道路に実生がたくさん出ていたが、今回は1本もない。昨秋の増水後の復旧作業で新たに撒いた砂利が粗くて植物が生える環境ではないためだろう。
 多摩川原橋少し上流の川側にあったカワラサイコはやはり見つからず。増水と護岸工事で消えたのだろう。
 多摩川原橋から稲城大橋までは、見晴らしが良い以外は自然も単調で辛い長い道程。高水敷の作業用道路は砂利道でもう10年草一本生えない。
 稲城大橋上流の小段にカワラサイコがあるが、前回5月24日は除草したばかりで正確な調査不可だった。今回は146個体確認。去年は533なので大幅減。
 府中親水公園から大橋までの高水敷にできた林を現在ブルドーザーやユンボで大規模伐採中。力尽くでの暴力的伐採なので営巣中の野鳥がいたらたまったものではない。
 堤防天端のカワラサイコは前回合計308、今回348で若干増えたが、これは法面に生えているものが開花でみつけやすくなったためと思われる。

6月21日 拝島橋上流200mから多摩大橋までの多摩川両岸
 拝島橋上流右岸約200mの藪の中にラジコン飛行場があり、このおかげでカワラサイコ群落が残っている。カワラサイコ群落に飛行場が出来たのではなく、飛行場が出来たのでカワラサイコが生育することができるという関係なので、この場所に立ち入るにはそれなりの配慮が必要と思い、利用者がまだ来ていないであろう午前早くに行ったが、なんとすでに20人ほどの人が集まり集会を開いていた。除草作業日だったようだ。思えばウイルス感染予防自粛解除後の日曜日で、昨日も観光地等にどっと人出がとニュースになるぐらいなので当然か。代表らしき人にご挨拶し調査させてもらった。除草したばかりだが、周囲は除草していないのでカワラサイコが、4ブロックに分けて19+60+162+345、合計586個体確認できた。2013年度は1919だったが、今年1月は冬のため80。橋の直下でも別のグループがラジコン飛行機を飛ばし始めたが、こちらはまだ2年目なのでカワラサイコはない。
 橋の手前に40年以上前から河原植物があり、今日はカワラサイコ合計365、カワラヨモギ114、カワラケツメイ約400を確認。カワラケツメイはまだ芽が小さいので大きくなればさらに多く確認できると思われる。昨年8月11日調査でカワラサイコ439、カワラヨモギ85、カワラケツメイ232だった。ここは昨秋の増水で作業用道路上を水が走ったらしく大きく抉られたので個体数が若干減ったと思ったが、全体的に見ると大差ないようだ。
 橋を渡り左岸へ。拝島橋上流の公園には少年サッカークラブか何か100人を越える賑わい。堤防上もジョギングや自転車が多い。樹林帯の中の踏み跡を辿り一部藪をかき分け礫河原へ。かつてカワラニガナの群落があったがその後の冠水や高台の藪化で昨今見かけなくなった。いまはきれいに洗われ広大な礫河原に戻る。広すぎて調査も大変だ。いまのところ河原植物は見当たらない。
 高水敷に戻る第二のルートを経て堤防に戻り、下流へ左岸を行く。
 途中、昭島水辺の楽校があった所に寄るが、かろうじて簡易舗装のルートが残っているだけ。
 八高線鉄橋、昭島市営運動場が延々と続く。この一帯は見るべきものがない。多摩大橋を右岸へ渡る。
 右岸の橋のたもとにカワラニガナとカワラケツメイの群落があったが昨秋の増水ですべて流失。1本でも生き残りはないかと探したが見つからなかった。8月にまた来よう。
 オオヨシキリ、ウグイス、ホトトギスの囀り。

6月20日 中央線鉄橋から石田大橋までの多摩川右岸
 日射しは強く暑いが風が爽やか。例年になくあちこちでオオヨシキリの囀りが聞こえる。
 日野橋までは特筆すべきことがない。日野橋復旧工事で使われた低水敷の造成地を視察。ここも来年の夏にはオオブタクサで一面覆われるだろう。橋の少し下流にカワラサイコがあり、一昨年24、昨年10だったが、いま開花時期で見つけやすいこともあり、21個体を確認できた。周囲をかなり他の植物で覆われているが茎を伸ばして頑張って日光を浴びている。
 そこからしばらく下流方面へ高水敷を行くと作業用道路も踏み跡も途絶えるため堤防天端に上がる。中央高速道路橋脇にもカワラサイコがあったが、橋下が橋の補強工事用の資材置き場にされて消えた。さらに下流に進み高水敷に樹木が生えている間の道を行く途中1mほどの蛇。先日対岸の中央高速道橋脇でも1mのシマヘビを見た。
 林を抜けると河川敷内野球場に着く。かつてこの付近の堤防法面にカワラサイコとカワラナデシコがあったのでよくよく見ながら行くと、野球の練習をしている人たちの丁度脇の法面でカワラサイコが花盛り。キャッチボールをしている人のすぐ横でカウント。嫌な爺だと思われただろうが、気にしないもの爺の特権。561個体を確認。そのうち500個体ぐらいが開花中。

6月17日 中央線鉄橋上流から府中四谷橋までの多摩川左岸
 中央線鉄橋上流の高水敷の一箇所約150mにカワラサイコがある。昨今左岸はここから上流には1箇所にしかないので貴重だ。昨秋の増水で冠水したものの合計276個体確認。花が咲いているので見つけやすい。昨年7月2日に227個体、一昨年8月20日134個体だったので徐々に増えている。
 鉄橋をくぐり、残堀川を渡り、復旧した日野橋をくぐり、サイクリング車がひっきりなしに来る堤防上を歩き、一昨年できた緑川排出口付近の造成地を歩く。一面にハルシャギク。
 緑川を渡り住宅地を抜け国立市営運動場へ。水辺に樹林が立ち並ぶが、もう30年ほど前に護岸工事をした際に蛇篭に柳苗を植え込んだのが始まり。いまは柳ではなくニワウルシやヤマグルミ等がほとんど。
 中央高速道橋から高水敷にある草地の間の踏み跡を石田大橋まで。ここで帰ろうと思ったが、また来るのも面倒なので続いて府中四谷橋まで。途中堤内地に大型パチンコ店がある少し上流の作業用道路にカワラサイコ60個体あり。シナダレスズメガヤが繁茂する一帯ながら、この小さなカワラサイコ群落はかなり昔からある。
 風があって気持ちが良かったが、炎天下の長距離で疲れた。しかし地図で確認すると、河口から42qから38qまでなのでたった4q。
 立川上空はオスプレイよりもうるさい5枚羽根のヘリだか飛行機だかわからないヘンな飛行物体が2機飛んでくる。これは米軍ではなく自衛隊か。

6月15日 五日市線鉄橋から睦橋までの多摩川右岸
 1週間のstay homeから突然猛暑の多摩川へはつらい。特に現地に着くまでが。河原は川風があるのでそこそこ涼しい。米軍の大きな輸送機が何機も低空で来るのが気分を害する。
 睦橋上流右岸の高水敷にあるカワラサイコは合計93個体。昨年5月27日調査で223なので大幅減。池への踏み跡で大幅減。
 五日市線鉄橋脇から礫河原に出る踏み跡は、最近釣り人等が来ないのか、途中から完全に藪の中。踏み跡のように見えるのは昨秋の増水で水が流れた跡なので途中で行き止まる。特にブタクサが多い。夏にはもう踏み込めないだろう。ようやく礫河原に出る。すべて洗い流して広大な礫河原となり、河原植物を探すのも大変。いまのところ見つからない。
 先ほどの藪に戻りたくないので下流のツルヨシ群落に突入。3m以上のヨシが密生しオオヨシキリが大騒ぎする中を強引に進む。ようやく橋が近づいた所で水辺に出てしまい少し戻ろうと思ったがもうどこから抜けて来たかわからないので水辺の際にある土を探して辿りやっと睦橋に着く。

6月15日 睦橋から水菅橋までの多摩川左岸
 橋を渡り左岸へ。福生市南公園は普及工事中だがまだまだ手つかず状態。ところがなんと、礫河原にユンボが1台あるので近づいて見たら、多摩橋下流と同様に、礫河原の中に唐突に盛り土をして護岸を造っている! 低水域に裏もなくただ盛り土をして堤防を造るとは、東日本津波防御壁のように異様だ。秋川合流点で河幅が広いとは言え、強引ではないかと思う。
 通行禁止の橋を渡り昭島市域へ。野球場にある水道がオアシスのようで有り難い。
 昭和用水堰下流にサイクリングロードができる前からあった踏み跡沿いに40年以上前からカワラサイコの群落があり、かなり草が茂っているものの合計143個体確認できた。
 勝手に「信玄堤」と読んでいる箇所を過ぎて水菅橋までの堤防法面は除草作業中。お疲れさま。
 オオヨシキリとホオジロの声をあちこちで聞いた。ネジバナがあちこちで満開。

6月7日 友田と長淵(多摩川右岸)
 多摩川橋から上流を見下ろすと水量が多いのか礫河原がなくなっただけなのか、かつて見知った光景とかなり異なる。圏央道橋を通過する車輌と騒音が比較にならないほど増えたことはすでに知っていた。
 友田地区の多摩川礫河原は増水で大変貌。カワラノギクの最後の自生株があった所も地盤ごと流失したが、一帯を囲っていた保護柵のロープだけが残っていた。数年前は2万個体あったカワラニガナは一昨年の増水で大半が流失、それでも2202個体あったが、現在は広大な礫河原を隈無く探したがゼロ。対岸の河辺とここがカワラニガナの多摩川最大分布地だったが、いずれもゼロとなった。
 一旦市街地に出て、次に長淵へ。中上流で昨秋の増水の影響がほとんどなかった唯一の地区で、現時点でわかっている限り、多摩川でカワラニガナが生き残っているのは、先日見た宮ノ下の4個体とここだけ。ここは去年5月19日調査で194個体、今年3月24日調査で65個体確認できた。さて、今日の調査では、河原への入口から下流に12個体(3月に2個体)、上流に509個体(3月に63個体)確認できた。開花株もいくつかあり、すでに種子をつけているものもある。福生市でかつて野鳥観察を続けていたK氏の報告によると、カワラヒワがカワラニガナの実を食べるとか。タンポポ同様小さな冠毛が生えて風で種子を飛ばすのが主と思われるが、ぜひ野鳥にも食べて対岸の河辺や友田で糞をして分布を広めてもらいたい。それにしても、カワラサイコも同じだが、ある所にはたくさん生えているが、見た目ほぼ同じように見える環境でもない所にはまったくない。ここもこのカワラニガナ群落から10mほど離れるともう1本もない。砂利の混ざり具合、排水、土壌成分等々、微妙な違いがあるのだろうか。
 対岸ではオオヨシキリが盛んに囀っている。昨秋の大増水後ツルヨシ群落が増えたためか、今年はオオヨシキリの声をあちこちで聞く。

6月6日 永田地区および永田橋から福生多摩川中央公園前の左岸
 3月下旬に予定していたカワラノギクプロジェクトの播種作業を永田地区旧D〜E工区付近の礫河原で行った。6日前に来た時よりさらにツルヨシ群落が大きくなった。1ヶ月後には播種地がどこかわからなくなるかもしれないが、無事の発芽と生育を祈るばかりである。
 永田橋少し上流にあきる野市の住宅地からの排水溝が新設されたが、そのすぐ横に大きな池ができた。ここに溜まる水が排水溝に抜けて行かないのはなんとも奇妙な光景。
 解散後、柳山公園を経て多摩橋へ。橋のすぐ手前から礫河原に出て河原植物を探したが見つからなかった。中央公園から多摩川に出る小径の先に巨大な堤防が建設中。高さ4mほどあり水辺の低水護岸としては異様な光景。これが完成したら公園から気安く多摩川の水辺に出られなくなるのではないかと危惧される。

6月3日 河辺地先から多摩川橋経由大多摩観光ゴルフ場付近まで
 学校再開で、電車はどこも高校生で混み合う。
 昨秋の台風による増水前はカワラニガナが4350個体あった河辺地先の多摩川左岸の礫河原は植物がすべて根こそぎ流失し、広大な礫河原となった。丈10pもないカワラニガナを捜すのは大変だが根性で隈無く歩き回って調べたが、結局1個体も見つけられなかった。ウサギの糞があちこちにあった。
 林を抜けてBBQ場へ。ここは一面が砂に覆われてBBQには良いかもしれないがカワラニガナは復活しそうにない。対岸の友田も植物が根こそぎ流失して左岸からも様子がよくわかる。
 多摩川橋を渡り右岸へ。大荷田川の先から堤防沿いに下流へ伸びる車道は、民家が数軒あるのみで大多摩観光のゴルフ場で行き止まりなのに通行車が30秒に1台。何しにこんなにたくさん出入りするのだろうか。ゴルフ場入口付近の礫河原にカワラニガナが3102個体あったがこれもすべて流失した。今日はかなり長時間歩いたが収穫ゼロ。草花丘陵からホトトギスの鳴き声が聞こえて来たのが唯一の慰め。ウグイス、キジの声も。
 河辺駅から川に向かう途中にあった大木が切られ、年輪が良く見えたのでザッと数えたら140年を超えていた。帰りに通った小作台小学校前の雑木林にも切り株があり、そこから実生がたくさん出ていたが、切り株の元と生えている実生と種類が違い、出ているのはネムノキんどだった。

5月31日 羽村宮ノ下、堰下橋から永田橋までの右岸
 昨秋の大増水で羽村市の運動場は美事に礫河原に戻ったが、残念ながら大規模復旧工事中。日曜日なので工事休止中ゆえ柵をまたぎ礫河原へ。
 昨年末にカワラノギクの開花株が数本残っていたのでロゼットの生き残りが期待できたが、予想通りその開花株近くに3個体、水辺近くに79個体あり順調に成育している。カワラニガナも4個体あった。
 羽村堰下橋を渡り右岸へ。ヒロハカワラサイコの群落があったところは増水で地盤ごと抉られたが、付近に74個体、旧カワラノギク花壇に27個体生き残っている。除草等のため株が小さく丈も低い。
 運動場は少年野球の試合、水辺は家族連れ等、堤防上はサイクリングとジョギング、犬の散歩者等々で賑わう。
 羽村大橋から下流約500mから始まる堤防の天端にヒロハカワラサイコ10個体、高水敷に35個体。
 ここからいわゆる永田地区A工区に向かうが、HLがいなくなり通行人がないので小径は藪道となった。夏にはもう入れないだろう。A工区も藪がひどく、昨秋カワラノギクの開花株が数本生き残ったがいまはすっかり藪の中。ここから礫河原に出るのにツルヨシの海を泳ぐように必死に藪漕ぎ。ここも夏には通行不能になるだろう。大増水できれいさっぱり洗われた河川敷もいまや半分が植物に覆われている。丈の低いニセアカシアの林に見えるのは、倒れた木の幹から出ている新しい枝で、いずれここから根が出てほんとうの林になるのだろう。カワラノギク播種予定地はかろうじてまだ空き地だが、来年の夏にはツルヨシの覆われそうだ。
 新しくできた排水溝に沿って堤防に出て、永田橋を左岸へ渡る。小さな空き地にカワラノギクのロゼット287。今年の実生はまだ小さくてよくわからない。

5月29日 南武線鉄橋から関戸橋までの多摩川左岸往復
 関戸橋改築工事ならびにその下流の運動場と護岸の改修工事で賑やか。
 堤防法面はだいぶ前に除草が済み、また堤防脇にあった林が一昨年からすべて伐採されたので日当たりが良くなったためか、カワラサイコが堤防法面に下流まで途切れることなく生えている。合計すると2034個体。31.4q付近にカワラナデシコ一株。かつてはこの一体にレンリソウとともにたくさんあったが、いまはない。
 府中市郷土の森地先・大丸用水堰前のBBQする人が大勢いた高水敷はBBQ禁止(「自粛」という名の禁止)で、一帯全て立入禁止。柵に微塵の隙間もない。ここにカワラサイコが200ほどあるが再訪するしかない。
 南武線鉄橋上流水辺は増水で削られたこととその付近の護岸改修工事のため、数百あったカワラサイコは全滅した。
 帰りは堤防天端を歩き、カワラサイコを合計20確認した。
 関戸橋を渡り右岸へ。上流に向かい34.8q杭付近にカワラサイコ3あり(先日も見たが記録し忘れた。)。
 東京都が管理しているカワラノギク播種地では約195個体の実生。密生しすぎているので開花は50ぐらいになるのではないか。いずれにせよすくすくと育っている。カワラサイコは20個体。開花している。
 ダイサギ、カルガモ、トビ、ツバメ、オオヨシキリ等々。そう言えば、川に着いたらいきなりオスプレイが上空に飛んできた。

5月27日 万願寺地先の多摩川
 堤防法面は除草したばかり。すでに調査済みで良かった。今回は高水敷の調査。サッカー場から下流に続く踏み跡もかなり草丈が伸びて迷いそう。途中、昔からカワラサイコが生えている箇所に今日も23個体確認できた。夏は藪が濃くて立ち入りできない場所。
 ラジコン飛行場休憩所前は草丈が伸びて使われていないもよう。カワラサイコ524、カワラヨモギ47、カワラナデシコ1確認。滑走路ではカワラサイコ715、カワラヨモギ16、カワラナデシコ1確認。そこから下流への草地にカワラサイコ137、カワラヨモギ17、カワラナデシコ17。
 上流側造成地は草丈が伸びて立ち入り困難。カワラサイコ34。下流の造成地はカワラサイコ4、カワラヨモギ407。数年後にはここの雑草で一面覆われそうだ。
 元ゴルフ場広場は、下流部が増水で大量の砂が乗ったが、上流部はなんとか無事で、カワラサイコ272、カワラヨモギ5281。その下流の草地にカワラサイコ79、カワラヨモギ527、カワラナデシコ2。
 総計でカワラサイコ1788、カワラヨモギ6295、カワラナデシコ21。昨年は5月2日調査でカワラサイコ591、カワラヨモギ7404、カワラナデシコ22なので、カワラサイコが3倍増え、カワラヨモギは下流広場の増水被害で約1000減少、カワラナデシコは現状維持と言える。
 オオヨシキリ、ホオジロの囀りが盛ん。水防団の人がドローンの飛行練習。

5月24日 是政橋から下流へ30.6qまでの多摩川右岸
 京王線は空いているが南武線はそこそこの乗車率。
 是政橋近くの高水敷にカワラサイコ19個体。京浜河川事務所多摩出張所の前の河原にカワラサイコ群落があり昨秋の冠水で隣の野球場等に流れ着いた枯れ草や流木の溜まり場になっていたが、過日事務所に要望しておいたおかげか無事に残り、除草もされていた。隣の草地の分も合わせて482個体あった。なお、昨年5月13日調査では1029なので半減だが、冠水状況から考えれば良く残ったと思う。
 そこから下流の野球場の先に除草中の空き地があり、「稲城市多目的広場駐車場整備」という立看がある。付近に車が入れる道はないので是政橋から入って来るのだろうか。ここにもカワラサイコが10個体ある。(昨年は32個体)

同日 是政橋から稲城大橋までの多摩川左岸

 外出を控えるため一度にあちこち調査しなければならない。是政橋を左岸へ渡る。
 橋の上流、左岸寄りの礫河原に大きな水溜まりが出来、鯉か何か大きな魚が増水時に入り込んだらしく水中で暴れている様子が橋の上からよくわかる。
 堤防小段はまだ除草されておらず、カワラサイコを、31q地点までに492個体確認。昨年5月25日調査で532なので大きな変化はない。
 広場横の低水護岸付近にカワラサイコ358個体、昨年は444なので、冠水した割りには影響はない。広場は増水で大きく抉られているが。
 堤防に生えるポプラから下流は堤防天端にカワラサイコがある。合計308個体、昨年6月11日に446なので、少し減った。
 親水公園より稲城大橋までは小段にカワラサイコがあるが、ここから下流は除草が終わったばかりで、刈った草が敷き詰められており調査困難。どうにか79個体確認したが、昨年は533なので再調査が必要だ。

同日 稲城大橋から多摩川原橋までの多摩川右岸
 稲城大橋を渡りふたたび右岸へ。この付近の礫河原は増水で草がすっかり流され下流までずっと礫河原が広がる。サイクリングロード付近の林は台風以前に伐採されていたが、昨秋から始まった河川敷内樹木大規模伐採計画により、かつてニリンソウが咲いていたニセアカシア林は3分の2が伐採され、堤防付近の木はすべてなくなった。伐採された木が林の下流部に堆く積まれており不気味なほど。その下流にある野球場脇の林もすべて伐採された。ニセアカシア林の入口付近にあったカワラサイコは10個体残っている。
 多摩川堤防は相変わらず異常なほどの人出で、自転車やジョギング通行が絶えずのんびり堤防を歩けないだけでなく、暑くてもマスクを外していると白い目で見られる。サッカー場や野球場もほぼ解禁状態。まあ、これが本来の姿なのだ。

5月20日 多摩川原橋から上河原堰までの多摩川左岸
 平日に電車に乗ったのは一ヶ月半ぶりだが、横浜線橋本駅はウイルス以前の日常光景そのままで神奈川県は特措解除したのかと思ってしまった。平日でもしかも肌寒い曇り空にも拘わらず多摩川の人出は多い。と他人も私を見てそう思うのだろう。
 除草される前に堤防法面のカワラサイコ等の調査を済ませようと思って来たが手遅れだった。京王相模原線鉄橋から上河原堰まではまさに除草作業中で、小段で調査しているすぐ横の法面を除草車が行き来している。作業員は邪魔臭いなあと思っているだろう。ともかくも除草前の個体数がわかって良かった。189個体で、2019年6月18日調査で193、2018年は179なので、大きな変動はない。正確に言うと、昨秋の大増水で小段まで水が来ているのでかなりの個体が流されたはずだと考えると、この数字は朗報と言うべきだろう。
 他方、上河原堰から下流はきれいに除草が済んでおり、確認できたカワラサイコは439個体だった。昨年は6月中旬の調査のため下の作業用道路に実生がたくさんあったが、それは250ぐらいで、堤防法面には1800個体(実生を含めると2204個体)あったので、4分の1に減ってしまった。6月末に再調査しなければならない。
 多摩川原橋下流100mほどの水際にカワラサイコが9個体あったが、増水で流失、今年1月2日の調査でかろうじて1個体確認できたが、この辺一帯で低水護岸工事が行われたため1個体も見つけられなかった。
 京王相模原線鉄橋付近の運動場にマメカミツレが一面に生え、巨視的に見た湿原に来ている雰囲気。

5月17日 関戸橋から府中四谷橋までの多摩川左岸
 関戸橋を渡って左岸へ。こちらは堤防の除草が終わったばかり。除草されてもなんとか調査はできるが、刈った草が放置されているのでそれに覆われた部分は調査できない。他方、除草のおかげでカワラナデシコが発見しやすくなり、今回28個体確認できた。
 カワラサイコは総計3431個体で、昨年6月25日調査で6924個体だったので大幅減となった。これは上述のように除草の所為でもあるが、堤防小段の踏み跡が増水であちこち抉られたためにカワラサイコも流失したこと、京王線鉄橋付近の作業用道路に新たに砂利が撒かれると同時にニセアカシア林がすべて伐採されたことも若干影響している。
 そう言えば、この修復された作業用道路に脇にあったカワラサイコ数個体の横に小さな赤紙の目印がいくつか差してあった。工事の際に稀少種に気をつけろというマークかもしれない。
 低水敷はアシとオギの原が広がっており、オオヨシキリが数羽盛んに囀り縄張り宣言していた。

5月17日 関戸橋から大栗川合流点までの多摩川右岸
 夏のような暑さ。今日も定例自然観察会予定日だが感染予防のため中止。代わりにいつもがら空きの京王線各駅停車で聖蹟桜ヶ丘へ。
 堤防上は相変わらず凄い人出。
 カワラサイコの調査をする。大栗川合流点までの堤防天端と法面の合計で1743個体確認。昨年5月12日調査では1592個体だったので若干増えた。2018年5月27日調査の2254個体と比べるとまだ少ない。
 いつもはこれで帰宅するが、外出自粛期間中なので、今回はせっかくなのでもう一箇所、府中側も調査した。
 なお、足元の植物ばかり見ているので野鳥を見る余裕がなかったが、セッカの声がよく聞こえた。
 ニガナ、ミヤコグサ、タンポポ、ブタナ、オオキンケイギク、コゴメバオトギリなど黄色の花が辺り一帯を覆うが、礫河原はナヨクサフジが占領し一面の紫。堤防法面にヤセウツぼがひっそりと咲いている。カワラナデシコ4個体確認。

5月7日 片倉城址
 市役所出張所に行ったついでに城址へ。フタリシズカとギンランが咲いていたが、ほかは特記すべきものなし。湿地で麦わらトンボが産卵していた。

5月5日 万願寺地先の多摩川右岸
 外出自粛で計画通りに多摩川へ行けないが、調査対象の河原植物の開花期や過去のデータとの比較をするために調査をそうそう遅らせることもできない。
 多摩川も浅川も堤防上は普段の3倍ぐらいの人出で賑わう。ニセアカシア満開。テリハノイバラ、ハナウド、アマドコロ、コマツヨイグサ、ニガナ、等々。在来植生保護地は、昨秋除草をしなかったようで、去年の枯れ草がたくさん残っている。
 調査対象のカワラサイコは、堤防上で合計562個体確認。昨年5月2日調査で741個体だったので、だいぶ減った。堤防外側の法面に増水で流れ着いた枯れ草が溜まっているので、その影響が出たと思われる。ラジコン飛行場入口付近の堤防法面で昨年は481個体あったのが今日は276なので約半分に減った。

4月30日 片倉城址
 雑木林の斜面はまだヤマブキソウが一面咲いている。花期が長い。チゴユリも。かつて大きな群落があったイチリンソウは見当たらない。
 湿地にはリュウキンカ、芹、キショウブ、コウホネ等。シオカラトンボがたくさん飛び始め、カエルがギゴギゴと鳴いている。
 野鳥かガビチョウの声のみ。
 ヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃの木)が満開。毎年多磨全生園でこの木を見るが、今年は外出自粛で見に行っていない。例年より早い。

4月23日 石橋入緑地
 キンランが花盛り。ほかにホウチャクソウ、チゴユリ、ツボスミレ、ジュウニヒトエなどの雑木林の花も満開。道端にピンク色の濃いハルジオンが咲いていた。

4月19日 程久保川合流点から関戸橋までの多摩川右岸
 今日は、多摩川自然観察会の定例会の日だが、新型ウイルス感染予防のため中止とした。いつまで続くのか。たぶん2年ぐらいかかるだろう。
 感染の危険を冒して多摩川へ行ってもまだ河原植物の発芽が確認しづらいので、流出していないカワラサイコの生存を確認しに出かけた。
 各停の電車はふだんでも1車輌に数人しか乗っていない北野・百草園駅を利用。予想通り3人しかいなかった。ところが、多摩川の堤防上はサイクリング、ジョギング、散歩、犬の散歩、一般通行人と大賑わい。まあ広いから三密にはならないが、のんびり歩けない状態。そんななかで、久しぶりに会員のY氏とばったり出会う。
 府中四谷橋直下にあったカワラサイコ群落は流出し、新芽も見られない。京王線鉄橋上流にある群落は、簡易舗装の道に10、草地に7、少し下流に6個体健在。
 鉄橋下流で東京都が保護管理している河原植物再生区間では、流失を免れたカワラサイコが17個体健在。カワラノギク保護区は地盤ごと流失したが、そのすぐ近くに新たに礫を並べカワラノギクが新たに播種されていた。昨年までの実績からすると発芽・開花が期待できる。
 関戸橋架け替え工事が進行中。旧橋は両岸の土台を残すのみとなったが、右岸橋脚のすぐ脇にカワラサイコが81個体昔からある。工事でここは法面ごと造り替えられる予定だが、なんとか残す方法はないだろうか。

4月15日 片倉城址
 城址の5分ぐらいの上り坂が辛い。確実に体力が落ちた。
 ヤマブキソウが雑木林の下一面に開花。イチリンソウもちらほら咲き始めた。
 湿地ではリュウキンカが開花。40数年前にここが整備された頃にも同じ所で咲いていた。この近くに西洋リュウキンカも咲いているが、後者は花びら(キンポウゲ科なので正しくは萼片)の形が若干異なる。これは近年誰かが植えたと思われる。

4月14日 白銀の丹沢
 
昨日の雨が、丹沢では雪だったようで、蛭ヶ岳が真っ白。左肩に出る白馬がくっきり。

4月12日 海沢 〔会員Jさん投稿〕
 外出自粛の中、家族で海沢〔御嶽山西北の谷〕を訪れました。
 山桜、ミツバツツジ、ヤマブキ、カツラの芽吹き、キブシの花のれん、足元にはアヅマイチゲ、チャルメラソウ、ハシリドコロ、ヨゴレネコノメ、ハナネコノメ、ナガバナスミレサイシン等々綺麗な景色でした(^-^)v ニホンカモシカにも会いました。逃げることもせず新芽を食べていました。


4月11日 石橋入緑地
 遠出ができないのでまた近所くの公園へ。ミツバツチグリ、キンラン、ヤマツツジ、サルトリイバラ、カンアオイなどの花が咲いている。

4月10日 都立長沼公園
 一昨日は西へ向かい、途中丘陵の尾根を南へ辿る。新緑がきれいだが特筆すべきことがない。今日は東へ向かい、都立長沼公園へ。
 浅川に近い長沼小学校〜野猿峠まで多摩川丘陵の雑木林の中に引かれた遊歩道をひたすら登るだけのコース。笹藪続きだがウグイスよりもガビチョウの声が際立つ。ヤブレガサが傘を開いている。
 30年前と何も変わらない風景というのは良いことかも知れない。

4月7日 石橋入緑地
 
広大な多摩丘陵の一角にある谷戸が整備され現在自然公園になっている。遊歩道と池があり、雑木林にはキンラン・ギンランが植栽されているらしい。
 クヌギやコナラの新緑が美しい。昨日行った丘陵稜線もヤマザクラがたくさんあり、北側斜面なのでまだまだ花見が楽しめる。

4月6日 道了堂〜御殿峠〜絹の道
 今朝は、明治時代に武蔵国から横浜へ絹を運んだ道を久しぶりに訪ねた。道了堂に初めて来たときは社殿があったが朽ちていまは敷石のみ。周囲が樹林に囲まれ不気味。
 トサミズキの大木が満開。
 16号バイパスに架かる橋を渡り、多摩丘陵の稜線に続く踏み跡を御殿峠まで辿る。北側斜面はすべて大学の敷地。御殿峠脇に大きな梵鐘。これは南側にある施設内にあり、一般道への出口を探して迷う。
 遣水を経て絹の道を登る。相変わらずの悪路。大雨が降ると川になるからだろう。明治期にここを馬車が通ったとはとても信じられない。

4月5日 片倉城址
 多摩川へ行きたいが電車に乗るのも危険と言われており、自転車で行ける多摩川はまだ河原植物は発芽していない。自室引き籠もりが続くとウイルス以外に健康に良くないので、またまた近所の城址へ。
 カタクリの開花は終わりに近づき、いまはヤマブキソウが満開。来週末にはイチリンソウが咲くだろう。タチツボスミレがあちこちに。自生か植栽かわからないが五月連休頃にはエイザンスミレも見られる。
 丘陵上の本丸に出ると桜がまだ満開。朝9時頃なので人出はまだ少ない。
 城址内にある住吉神社に寄る。鈴の紐が縛られ、「感染諸予防のため」との貼り紙あり。なるほど。ならば明治神宮とか全国の人気神社も同様か。

4月3日 青梅万年橋上流右岸から鮎美橋までの多摩川
 コロナウイルス感染予防で自宅に籠もり体重2キロ増えたうえ足腰が弱った。東急財団から助成を受け、今年度も河原植物調査を開始。例年は越冬ロゼットの成長を見守ることから始めるが、昨年台風19号に伴う大増水で河原植物は地盤ごと流失。まずは発芽しているか否かから調べなければならない。
 万年橋上流右岸約300mの広大な礫河原には約5千個体のカワラニガナがあったが、未だゼロ。
万一発芽したとしても5月連休頃まで待たないと有効な調査ができないことを改めて確認した。
 ウグイスが鳴きトビが青空を舞う。草地にはニリンソウとムラサキケマン。桜はまだ観賞に堪えるほどの満開状態。花見する散策者がそこそこ来ている。
 青梅線の車内も1輌に5人ぐらいの乗車率でウイルス感染のリスクは(たぶん)小さい。

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