多摩川の自然のニュース:2019年10月〜12月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2020年1月〜3月
2019年8月〜9月

2019年4月〜6月
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12月31日 高月集会場地先の秋川・多摩川合流点から滝山城址へ
 秋川・多摩川合流点より少し上流の秋川に面した堤防の補強工事が行われているのを見に行きついでに合流点から昭和用水堰下流までの多摩川右岸の様子を見た。
 高月地区は田圃や畑が残り加住丘陵から滝山城址、高月城址へと連なる山並みと合わせて昔ながらの田園風景を残している。秋川の低水護岸工事は、堤外地側ではなく堤内地側で行われているため、台風19号に伴う増水の被害は受けていない。
 合流点から昭和用水堰まで広大な礫河原が「自然再生」した。どこかに種子か根が残っていればカワラニガナが復活するのに最適な環境となった。
 滝山城址への急坂を昇る途中、真っ白な大きな鷹が青空を何度も舞っているのに気づいた。太陽光が羽根を透き通らせて不思議な鳥のように見える。白さと大きさ等からしてミサゴだと思われる。
〔と思ったが、日野・八王子カワセミ会のK氏に写真をお送りしたら、なんとこれは鳥形の飛行機だとか。改めて写真をよく見ると、撮った写真のすべてで羽が広がったままで、しかも嘴辺りにプロペラらしきものが見える!〕
 滝山城址から昭和用水堰一帯がよく眺められるが、気温が高く若干霞んでいるので遙か彼方の雪山は見えない。下りに近道するはずが弁天池跡へ入り込んでしまい、急な斜面を3段必死に登ってようやく千畳敷に戻れた。山城の険しさを体験できた。

12月29日 京王線鉄橋から大栗川合流点までの多摩川右岸
 昨日左岸から右岸を遠望したら、大栗川合流点付近で河川工事をしているのが見えたので早速確認に行った。近くで見たら、大栗川の工事に関連して大栗川から車輌等の搬入路が引かれていて、多摩川のカワラサイコ群落にはいっさい影響がないことがわかって安心した。京浜河川事務所よりこの工事計画は知らされていた。
 関戸橋架け替え工事で下流側に設けられる橋脚のため右岸付け根に長年生えていたカワラサイコがある箇所が削られるようだが、よく見ると右岸の橋脚はすでに出来ているのでそこに繋げるだけならうまくやれば掘削が避けられそうに見える。
 来たついでに京王線鉄橋上流を見渡したが、特段の変化はない。鉄橋の近くに東京都が橋脚工事に伴って中州の植物を保護している一角があるが、先の増水で地盤ごと流出しカワラノギクは全滅した。カワラサイコも全滅したと思っていたが、改めてよくよく調べて見たら9株生き残っていた。これだけあれば、来春には倍以上に復活すると見込まれる。

12月28日 府中四谷橋から南武線鉄橋までの多摩川左岸
 府中四谷橋付近から河川敷に入り中州の砂礫を撤去する工事が始まっている。当初計画された搬入路にカワラサイコ群落があるので計画変更を要望し、それが認められて搬入路は橋の上流から橋の下を経て中州へ入っており、カワラサイコ群落は守られた。増水時に若干冠水したようで一部表土が剥がれているが大勢に影響ない。
 低水敷に繁茂していたニセアカシア林がなくなり見通しが良くなった。
 京王線鉄橋付近にトラック等が高水敷を通った跡があり、土が抉れている。上記搬入路が計画通りに造られていたらこうなっていただろう。
 鉄橋下流にあったカワラノギクの畑は荒れており、増水のためではなく自然消滅と思われる。
 関戸橋架け替え工事でサイクリングロードは大きく迂回を強いられている。それでも自転車が猛スピードで次々と走り抜けて行き、ぼんやり歩けない。関戸橋下流の低水敷は増水のため景観が大きく変わったが堤防附近の樹林はあまり減っていない。野球場横にあったニセアカシア林は増水前に治水を理由に伐採されていた。殺風景さはこれも一因している。
 中州の大きなヤナギが数本流されずに高く聳え立っている。右岸の大栗川合流点付近で護岸修復工事が行われている。カワラサイコ群落がごっそり削られているようだ。近日見に行かなくてはならない。府中郷土の森前のBBQ場は増水の影響をまったく受けていない。気のせいか上流に向かってBBQ場が広がったように見える。
 南武線鉄橋上流の野球場の修復工事が始まった。外から砂が持ち込まれているが、こういう客土が大雨で流出して堰付近に堆積するのだろう。モズが尾を振りながら付近の様子を窺っていた。

12月27日 多摩川原橋両岸
 外出ついでに多摩川へ。南武線矢野口駅からさほど遠くない所に多摩川が流れているのでちょっと寄るには都合が良い。
 橋の上下流両岸とも高水敷は増水の影響があまり見られない。左岸下流直下の高水敷の表面が少し削られたことと水際が一部崩壊した程度。この水際にカワラサイコが15株ほどあるが来春にならないと正確にはわからない。強風予想だが午前11時前は無風でむしろ暑かった。

12月25日 浅川合流点から中央線鉄橋までの多摩川右岸
 石田大橋上下流にある野球場とサッカー場が増水で冠水した後、水溜まりが出来て水が抜けないのは地下に原因があるのだろう。石田床止め低水護岸右岸から下流へ向かう踏み跡は例年雑草で覆われなかなか進入できないが、その雑草等が流出するか枯れて周囲に引っかかっているかしてなぎ倒された一方、古くからの踏み跡は土が良く踏み固められているためかしっかりと踏み跡が見えてかなり歩きやすくなった。ラジコン飛行場のカワラサイコやカワラヨモギは元気で増水の影響がまったくないが、そこから約300m下流の不法ゴルフ場のあった一帯は1/3が増水で礫河原に戻るほか、カワラヨモギ群落のある一帯は泥土がびっしり入り込んでいる。この一帯の河原植物は1/3ぐらい減少したが、泥土の影響がもしなければ流失した箇所での自然再生した礫河原が新たな生育地となり、個体数は増える可能性がある。
 堤防に出ると、池の前に超望遠レンズを構えたカメラマン4人が陣取っている。池は下流に広がり、そのまま定着した感じだ。堤防法面日本在来植物保護地区は河川管理者に要望した通りに綺麗に草刈りがなされている。
 時刻がまだ早いので日野橋の工事を見に行く。中央高速自動車道橋より上流左岸に大きな礫河原が出来たので、来夏カワラニガナが復活するのではないかと期待できる。日野橋の凹みはまだ治っていない。まず上流部の河道を修正してからということか、上流部で大規模な工事が行われている。橋の下流右岸にこの地域約5q範囲で唯一カワラサイコの群落がある所は、事前の河川管理者との協議に基づき、無事に現存していることを工事の現場監督氏の立ち会いのもと確認した。
 奥多摩の山々は雪化粧。でもこの冬は暖かい。冬鳥をあまり見かけない。いつもながらのカワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、オオバン、コガモなど。

12月24日 羽村堰上流左岸
 台風19号に伴う大増水後の10月15日にここでカワラノギクの生き残りを1個体確認したが、その後どうなったか気になりつつ多忙で再訪が今になってしまった。
 野球場その他まだ手つかずで10月と変わらぬ光景。礫河原を隈無く探し歩いてカワラノギクを探したところ、細い個体を2地区格3個体ずつ合計6個体確認した。種子をつけたものも3個体あったが、いずれも完熟しておらず種子が落ちて発芽する見込みはまずない。しかし、永田地区のように地盤ごと流失していない箇所が残っていることがこれで確認できるため、カワラニガナも含め来週何らかの発芽があることが期待できる。

12月21日 永田地区の多摩川右岸
 カワラノギク・プロジェクト。例年この時期にカワラノギクの種子採取を行うが、今年は過日の増水で全滅したため、A工区で生き残った個体の現況確認と2020年の活動方針を決める総会のための現地視察を行った。
 永田橋から礫河原に出る間や堆積した砂礫のあちこちに大きなイノシシの足跡や、タヌキ、イタチの足跡、さらに数十年ぶりに見たウサギの糞溜まりを数箇所見つけた。
 A工区で生き残ったカワラノギクはかわいい種子をたくさんつけているが、周囲にかなり泥が流れ込み、種子が自然撒布されても定着し発芽しそうにない。人為を加えて周辺の環境整備を仕様にも手の付けようがない。更新された礫河原のうち大水が出ても容易に流されずまたツルヨシほか他の植物に数年は埋没しない所を4箇所ほど選んで今春に播種する計画を確認した。
 永田橋脇のカワラノギクは健在で種子をたくさんつけているほかロゼットも多い。道路にはみ出た個体はまだ花を付けていた。
 カワウ、カルガモ、オオバン、トビ、キセキレイ、セグロセキレイ。

12月10日 京浜河川事務所多摩出張所前から南武線鉄橋上流までの多摩川右岸と是政橋から競艇場地先までの多摩川左岸
 礫河原の河原植物現状調査を一通り終えたので、次にカワラサイコの現状を確認するため出かけた。まずは国土交通省京浜河川事務所多摩出張所の真ん前にあるカワラサイコ群落を見る。下流に広がる河川敷運動場は冠水により荒れているが、その一帯に流れ着いた流木などが運動場上流端に積まれている。まさにそこがカワラサイコ群落地だと一瞬驚愕したが、よく見ると運動場の境界線とその少し上流の草むらの間は残されておりまさにそこが最も個体数の多い所なので、これは出張所の配慮の賜物かもしれないと思い直した。現場に降りて数えてみると、流木堆積所より下流側に115個体、上流側に45個体のカワラサイコが確認できた。いずれ運動場改修工事が始まるだろうが、その際この一帯が資材置き場等にされないよう、念のために多摩出張所にお願いしておきたい。
 是政橋上流右岸にカワラサイコ1個体新たに発見。是政橋左岸の堤内地側に生えるクララ健在。
 この区間で次にカワラサイコ群落があるのは左岸の南武線鉄橋上流部だが、現在周辺は耐震工事中なので、右岸から遠望することにした。工事区域は厳格に設定されカワラサイコ群落のある一帯は守られているが、水辺なので増水時の冠水と流木で大荒れ状態で生き残ったかどうかは来春まで待たなければならない。次の大群落は是政橋下流左岸の堤防法面と堤外地側小段だが無傷で元気。運動場下流の多目的広場の中央が水流で深く抉られているが、その脇にあるカワラサイコ群落は無傷だった。もう冬なので正確な個体数は不明だが、確認しうる限りでは131個体あった。低水護岸より水辺はかつて樹木が生えていたが、きれいさっぱり流されて礫河原が再生している。

12月8日 青梅万年橋上流多摩川右岸
 多摩川でカワラニガナが生き残っている可能性があるのは残り1箇所。今年4月に3601個体確認した青梅万年橋上流約2qの右岸だ。しかし、10月28日に万年橋から遠望した限りでは礫河原ごと改変した様子で絶望的と見えた。本日ようやく時間を得て現地確認を行った。
 予想通り、かつてBBQ等の跡があった河川敷内の台地はすべて流失し、一面なだらかな傾斜の礫河原と化していた。つまり、カワラニガナが生えていた地盤ごと流失した。このことにより、私の調べた限りで言えば、多摩川のカワラニガナは長淵にある29株のみとなった。今後果たしてなんらかの奇蹟によって復活するか、ある意味では楽しみである。

12月3日 下奥多摩橋から長淵までの多摩川右岸
 台風19号に伴う大増水で多摩川の河原植物は、堤防付近にあるカワラサイコ以外はほぼ流失し壊滅的打撃を被った。カワラノギクは永田地区A工区と永田橋脇、京王線鉄橋左岸でわずかに残ったが、自生は絶滅。カワラヨモギは拝島橋右岸と万願寺地先に、カワラナデシコは万願寺地先と府中四谷に残ったが、カワラハハコはふたたび絶滅。カワラケツメイはいまのところ拝島橋右岸にわずかあるのみ。礫河原に分布するカワラニガナは、最大群生地の河辺と友田で絶滅。わずかな希望は万年橋上流右岸と長淵のみ。ここで見つからなければ、数万株あったカワラニガナは多摩川で絶滅したことになる。
 ようやく仕事休みと晴天とが重なり、まずは長淵へ。下奥多摩橋から川を見下ろす。河岸断崖の林が紅葉。マガモが川面に浮かんで寝ている。カルガモが10羽ぐらい。水はまだ濁っている。橋の右岸から河原に出るが、水際が削られ歩けないので林と藪の中を通る。増水の跡と流木、枯れ枝や草などがあちこちで積み重なって進路を塞ぐ。難行後ようやく造成地へ。一部流水で削られているところもあるが、大半は砂がかなり堆積している。島のように残った芝地の手前で、念願のカワラニガナを発見。周囲を隈無く探し、29株確認できた。
 誰かに見られている気配を感じふと目をあげると木の上にトビが止まっていた。
 トイレ等のある河川敷への入口からの小径の先とその下流端にもかつてカワラニガナがあったが、水辺近くは砂礫地となり、堤防付近も見当たらず。それでもまずは絶滅でなかったことを祝いたい。カワラニガナは開花期が長く丈も低いので、数株あれば復活が期待できる。

11月19日 河辺地先から圏央道橋までの多摩川左岸
 昨日に続き朝雨のち晴れて暖かい。河辺地先の礫河原も河原植物が全滅しただろうことは右岸から見てわかっていたが、いちおう確認に行った。
 河岸断崖に近くに生える樹木や竹も増水で半減、河川敷に広がっていたニセアカシア等のこんもりした林は見事に流失した。残念ながらカワラニガナの大群落もすべて流失した。下流部の竹林は残り、そこに上流からの流木や枯れ草やゴミが詰まって山積している。
 青梅市営僧道運動場前のBBQ場は土が増えたが形状は大して変わらない。運動場のフェンスに枯れ草がたくさんひっかかっている。サッカー場奧の河岸断崖の一部が崩れたので復旧工事をすると河川管理者から連絡があったが、ここが崩れるのは天災というよりも建築許可した当局による人災だと思う。
 冬鳥のツグミが来た。

11月17日 二子玉川左岸
 定例自然観察会日だが今日も本業出勤で欠席。昼頃終わったが滝山城址は遠いので、帰路二子玉川へ増水の影響を見に行った。
 野川合流点で兵庫島入口のため本堤が切れていて増水した水が堤内地に入りメディアで大騒ぎしていたが、あれから約1ヶ月、低水敷に枯れ草やゴミが引っかかっているが、池も高水敷の芝も健在で増水の跡はほとんど見られない。ここは駅のホームの端から多摩川が良く見える。(冬の朝は遠く南アルプスも見える。)

11月12日 拝島自然公園から拝島橋下流までの多摩川両岸
 河川敷にコゴメヤナギの林が残る拝島自然公園周辺は、増水の影響がいっさいない。低水域を含めて河川敷の幅がこの辺は非常に広いので、高水敷まで水が及ばなかったようで、鬼怒川の氏家周辺と同じだ。自然公園に隣接する広場に50名近い人たちがゴルフをしており、いつもかどうかわからないが、サッカー等他の利用はできない。
 低水護岸から低水域は予想通り増水の跡が残り、流れ着いた草や木があちこちにひっかかり、右岸の一部が削られている。ラジコン飛行機が上空を飛んでおり、飛行場は増水しなかったようだ。
 河原植物が残る一角が増水で若干土砂が溜まりあるいは大きく削られた。右岸に渡り高水敷に下りて調べるとカワラケツメイ、カワラサイコは冠水しながらも生き残っているが、カワラヨモギの群落の一部が削られた。
 橋の下流にあるラジコン飛行場が少し大きくなった。橋の下はまだぬかるみ、靴が泥に埋まりそうで気をつけて歩かなければならない。
 橋より下流右岸のニセアカシア林の半分が削られたが、途中に数本水流があり。たぶん下流に向かって歩き通すことはまだできないだろう。左岸の林はほぼ影響なし。快晴で歩くと暑い。
川に出る前、拝島高校付近にとてつもなく太い欅の木があった。

11月10日 東北新幹線鉄橋からゆうゆうパークまでの鬼怒川左岸
 片道4時間弱、宇都宮駅からさらに3駅目の東北線「氏家」駅からタクシーで新幹線鬼怒川鉄橋まで行き、氏家駅に近い(徒歩20分)河川敷内巨大公園「ゆうゆうパーク」まで河原植物を見に行った。
 市民が育てている区画がいくつかあるが、ここのおもしろいのはそこから下流への作業用道路周辺にカワラノギク、カワラハハコ、カワラヨモギがばらばらと自然な感じで生えていること。台風19号による雨の影響は氏家大橋下流の護岸が少し削られた以外はほとんど見られない。水辺に近い所に生えるカワラハハコも無事で、去年とほぼ同じ。氏家大橋上流のカワラノギク保護地区の裸地化と群落衰頽傾向も同じ。途中ラジコン飛行場があったが、いまはパラグライダーの発着所になった。
 氏家大橋から河川敷に数本走る作業用道路や「氏家フットパス」というランニング用の立派な舗装道路などを経て、巨大な河川敷内公園「ゆうゆうパーク」へ。松林や催し場のある広場、小川、そして大小の池。この園内にカワラノギクを育てている花壇があるとネットで見たので探したり散歩中の人に尋ねたりしたがわからず、かといって大きな人工池の向こうだったらかなり遠いので断念して、駅への道をひたすら歩いた。
 上述のように、保護地区とは別に河川敷に河原植物があちこちパラパラと生えている感じがとても良く、もっと近ければ新幹線鉄橋上流の塩谷町地先にもあるというカワラノギクなど探してみたいが、バスもないし宿もないので、年に1度頑張って来るしかない。

11月9日 五日市線鉄橋から睦橋までの多摩川右岸
 カワラノギク・プロジェクトの公開作業日で、予定では五日市線鉄橋下流右岸に播種したカワラノギクの開花個体とロゼットの数を数えるはずだったが、辺り一帯みごとに礫河原再生で礫河原の中央に帯状に広がっていたニセアカシア林もろとも流失。しかしこの区間に関して増水によるすべて流失は想定内なので、来年も異なる条件の下で2か所にカワラノギクを播種する方針を確認した。
 この礫河原は途中から猛烈なオギやツルヨシ群落で冬でも足を踏み入れる気力が削がれる所だったが、増水でそれらの植物は流失するか横倒しになったので睦橋まで歩き通すことができた。釣り堀の池が下流側に延びたが、たぶんここの利用者が砂利を盛ってビニールを被せた橋が造られており、それを利用して堤防に戻ることができた。橋の上から眺めると礫河原は確かに広がったが、下流4分の1ほどアシが残っており、あと少し勢いがあれば一帯全て礫河原になったのに惜しい。柳は早くも新芽を出し、来春にはすっかり元通りの林に戻りそうだ。水辺近くのツルヨシも早青々と新芽を出し復活の兆し。来夏にはもうここは通れなくなるだろう。睦橋下流、右岸寄りの流れが復活して遠くの池まで続いており、良い感じになった。

11月5日 永田地区A工区から多摩橋までの多摩川右岸
 11月2日にカワラノギク・プロジェクトがあり、本来開花株調査すべきところ増水後の現状視察の会となった。私は本業ゆえ不参加だったが、「A工区では開花23株、ロゼット1株を確認」、C工区からE工区は「残念ながらカワラノギクの個体を見つけることはかないませんでした」との報告を受けた。自分で見ないと気が済まない性格なので見に行った。
 堤防からA工区までの林の径は以前から大雨が降ると小川ができるが、現在はA工区付近までずっとぬかるみで長靴でなければ歩行困難。HLもいなくなった。A工区では報告通りカワラノギクが開花、そこから低水域に下りて上流から永田橋まで目を皿のようにしてロゼットを探したが、私も見つけることはできなかった。
 永田橋から多摩橋までの右岸は藪と湿地でふだんは通行困難だが、増水で草が倒れ砂も溜まったので楽に通行できる。とは言え、特に注目すべき生物は何も見つからなかった。多摩橋下流左岸の福生市多摩川中央公園では早々と重機が入って補修工事をしていた。なお、写真1枚目は永田橋脇の花壇に咲くカワラノギク。

11月4日 相模川神澤不動地先の左岸
 多摩川のカワラノギクは壊滅的打撃を被ったが、相模川と鬼怒川のカワラノギクはどうか。ネットで調べると、湘南小学校や三川公園その他で台風後に観察会が開かれており、鬼怒川も河川敷公園で満開との記事が見られる。そこで我が家から比較的近い神澤不動地先のカワラノギクを見に行った。
 予想通り、崖下の野球場は表土が流出して河原状態。モトクロス練習場脇の絶壁の一部が剥がれて大きな土塊が崩落。灌木がかなり流され礫河原が広がった。カワラノギクの畑は一部細粒土が被ったものの概ね無事。ただし数年前に見られた大群落ではなくまばらに咲いているだけ。これは、他の草の生え方やカワラノギクのロゼットの様子等からして、増水・冠水の影響ではなく自然衰頽と思われる。この畑から下流の礫河原にカワラノギクがかなり広く自然分布しカワラハハコの群落もあった所がいまはすべて流失(カワラノギクのロゼットが1株だけ流失を免れた)。
 礫河原が大きく減少し水域が広がったのは増水のためとは言いきれない。灌木が根こそぎ掘られたり流されたりしている。堤内地寄りにあった入江が拡大。カワラノギクの畑まで戻り、野球場脇の車道を辿って下流端へ。ラジコン飛行場は増水の影響をまったく受けていない。崖に付いた細い山道を登り上の集落に出た。
 カワラノギクの畑近くにボートが2艘転がっている。通りかかった地元のおじさんと30分ほど立ち話。ボートは上流のキャンプ場から流れてきたもので、藪の中にあったものをここまで引っ張って来た。近いうちに仲間が引き取りに来る。崖の上に住んでいて、この辺一帯を毎日のように歩いている。グラウンドはうちの土地でおじいさんの代まで畑仕事をしていた。クルミをよく採るが、イノシシが多いから土に埋めておくといったことはできない。鹿も毎日のように見かける。昨日も親子の鹿が4m前を横切った。ハクビシンやヌートリアもいる。池があって蛙が多いからまむしやシマヘビなど1mぐらいのを良く見る。増水すると魚が水溜まりに残されるから朝早く行くけどそれ以上早くにカラスやカワウなどにみな食べられてしまう。ここのカワラノギクは川原さんという人が始めた。上の小学校でも学校で育てているね。ここも飛行場も平らなところは水が来なかった。ホームレスは男女2人いて、増水の時はラジオで知って逃げたらしい。等々。いろいろと興味深い話を聞いたがメモしていないので忘れた。

10月28日 小作堰から万年橋までの多摩川右岸
 小作堰の管理地に敷かれた芝生が剥がれてコンクリート露出。下流の中州は半分以上流出し下流方面の見通しが良くなった。水量はまだ多いし泥水。
 圏央道橋の下に河原に出る小径があるが、その下流にあった広大な藪が冠水してさっぱりした感じ。ニセアカシア林の半分は倒れたり流出したりしてすさまじい光景。林の幅が半減し、広大な礫河原が眼前に広がる。多摩川唯一のカワラノギク自生地もホソバコンギクの群落もすべて、周囲の林や藪ごとすっかり流出し、礫河原となった。上流のカワラニガナ群落もすべて流出。友田小学校崖下は淵となり通行不可。その下流は泥水が溜まって池になっている。左岸の青梅市営総合運動場地先のBBQ場が半分削られた。その奧のニセアカシア林は残念ながら残っている。
 街道に戻って友田小学校横の運動場は立入禁止。柵の脇を抜けて水辺へ。野球場脇の芝地に立入禁止のテープが貼られているので、テープを越えて見に行くと護岸が崩れて芝生がオーバーハング状態で確かに危険だった。
 再び街道に出て長淵へ。ここは草地がそのまま残り冠水していない。低水域がだいぶ削られたようだが、なんとそのすぐ脇で若者が6,7人テントを張ってBBQ等で愉しんでいる。
 下奥多摩橋から見下ろすと、下流側は増水で河川敷内通行不能、上流側はまあ変化なし、調布橋下流の状況は国土交通省のライブカメラで常時見られる。上流右岸の礫河原は半減。鮎美橋下流左岸のニセアカシア林が少し減った。上流のBBQ場は増水が収まれば元の通りになりそう。釜の淵公園は無傷。柳淵橋を渡り上流へ。
 万年橋下流は想定内の景色。上流左岸の礫河原は下流側にある池が川とつながっている。ここのカワラニガナやその上流右岸のカワラニガナ群落もすべて流出したと思われる。望遠する限り。
 さて、カワラノギクに関してまとめると、友田は地盤もろとも流失。羽村堰上流左岸は1株のみ蕾が土砂から出ているが他はすべて流失。永田はA工区の開花18株のみ確認、礫河原はすべて流失(自然環境アカデミーより)。永田橋左岸詰花壇は開花135、ロゼット346。五日市線鉄橋下流右岸は、左岸から望遠する限り地盤もろとも流失。京王線鉄橋下流右岸(東京都による保護地)は地盤もろとも流失。 京王線鉄橋下流左岸(地元市民による花壇)未確認。という状況になった。

10月21日 関戸橋から程久保川までの多摩川右岸
 今日も勤務の帰りに多摩川へ。中河原駅下車関戸橋左岸上流側を見る(下流側は橋架替工事のため歩道なし)、高水敷の草が剥がれて砂利が露出。低水護岸の裏側(高水敷側)が掘られている。中州はだいぶ縮小。主たる流路がさらに右岸寄りとなった。関戸橋架け替え工事のための瀬替え工事が大規模になりそうだ。
 この工事の関係で中州に生えていたカワラノギクの種子を東京都が播種して育てていた「畑」は地盤ごと流出。カワラサイコも。倒れたシナダレスズメガヤを起こして探せばロゼットの1つか2つは生き残っているかもしれない。京王線鉄橋上流に以前から自生していたカワラサイコは流出せず残っている。
 一宮公園等は冠水して表土があちこちで剥がれている。とくに作業用道路として簡易舗装されている部分があちこちで削られている。府中四谷橋直下のカワラサイコは見つからなかったが、周囲の草がそのまま残っているので根茎は流失していないと思われる。
 浅川合流点付近の樹木がかなり流されて礫河原が広がり、40年ほど前に多摩動物公園のクロトキが遊びに来ていた頃の様相に似ている。当時はカワラノギクもあった。程久保川人工ワンドは雑草が流れて機能回復。程久保川は水辺に近い草がほとんど流れていないのであまり増水しなかったらしい。

10月20日 永田橋脇多摩川左岸
 休日出勤で自然観察会を欠席したが、帰りに福生市の永田橋へ寄った。福生・昭島を拠点として活動する自然環境アカデミーのNさんが永田橋脇の空き地にカワラノギクがまとまって咲いているとの情報を下さり、その確認に行った。同アカデミーのIさんによると去年もあったとか。この脇は何度も歩いたが死角でまったく気づかなかった。数えてみると、夕方なので正確ではないが、開花株135、ロゼット346個体あった。ロゼットはいずれも大きく元気なので、誰かがうっかり除草しない限り来年秋には辺り一面カワラノギクのお花畑になりそう。もしそうなったら目立つので、失われる可能性が高まりそうだ。

10月19日 日野橋から浅川合流点までの多摩川右岸
 10時頃に雨が止み日が射し始めたので書を置き、川へ。この時間から行くとしたら、と考え、「ぐにゃぐにゃ」になったと言われる日野橋を見てから万願寺地先の河原植物群生地の安否確認を。
 日野橋で一部凹んでいるのは左岸寄りだった。右岸寄りの橋脚に大きな流木が引っかかっており、また、下流側も凹んでいるから、推測通り、たんなる増水ではなく流木がぶつかりその勢いで橋脚の根が浚われたのではないだろうか。
 中央高速道橋上下流の河川敷内樹林は残っている。石田大橋上流の野球場、下流のサッカー場は表土が剥がれている。その先の意味不明な柵に流木と雑草が大量にひっかかっている。増水はここから下流の堤防寄りにはあまり進入しなかったらしい。その代わり、林の上流部に大量の枯れ木・枯れ草が引っかかり積み上がっている。
 ラジコン飛行場と河原植物群生地は、入口の林内が少し荒れているが、高水敷はほぼ無事だった。
 日野クリーンセンター地先の池は3倍以上の大きさとなり下流の林から奧の池が透けて見える。カイツブリが遊んでいた。増水時に魚類がこの池に逃げ込んでいるのかもしれない。
 合流点堤防先の再生礫河原地区は増水でまだ水没中。
 浅川に出て見ると、堤防脇の林や草地はそのままで中央に増水した川が流れている。キジが慌てて飛び立つ。モズが盛んに高鳴きしている。

10月15日 阿蘇神社下から水菅橋までの多摩川左岸
 羽村阿蘇神社参道下の高水敷に広がる宮ノ下運動場がほとんどすべて礫河原に戻った。低水敷礫河原との境にあったニセアカシア林もほぼなくなり、広大な礫河原が再生した。低水敷に地元市民が播種して自然分布していたカワラノギクも当然跡形もない。良く見ると蕾を数個つけたカワラノギクが1株のみ半分埋まった土から頭を出していた。カワラニガナ群落ももちろん跡形もない。
 羽村堰の柴堰は流され奔流が見事。右岸の池なども壊れて砂地となった。堰下橋から羽村大橋の間は大きな変化なし。もちろん水量は多いが礫の動きや護岸崩壊等はない。永田地区のカワラノギクとカワラニガナが分布している礫河原はすべて水没し(いまは水が引いている)たが、残念ながら草地が流れず、水が引いてみると増水前と見かけはほとんど変わらない。十数年前のように草が全部流れてくれたら良かったが、左岸寄りに深掘れしているので草を押し流すほどの水流が右岸に向かわなかったのだろう。永田橋下流右岸の草地も、草が倒れているが根は残っているので来春には草地が復活するだろう。
 多摩橋下流左岸の礫河原で先月カワラニガナをたくさん確認したが、一帯すべて「礫河原再生」となった。五日市線鉄橋下流右岸の礫河原にカワラノギクを播種し、この夏100株ほど発芽したが、ここも礫河原すべて水没。草木もほとんど流れて睦橋付近まですべて「礫河原再生」となった。
 睦橋下流左岸の福生市南公園は3度目の壊滅的被災。河原に人工公園を造ること自体間違いであり税金の無駄遣いだから公園再建を放棄するよう市長に何度か訴えたが無視されて再建、結局また大被害を被った。今回は住宅地側に流れる排水溝のフェンスも半分以上流失。昭島市の水鳥公園に入る橋が辛うじて残っている(通行止めになっているが通れる)。秋川合流点から昭和用水堰上流にかけての広大な礫河原が復活。以上のように見てくると、永田地区だけ草が流れなかったのがつくづく残念に思われる。

10月13日 中央線鉄橋から日野用水堰までの多摩川右岸
 台風19号に伴う大雨の影響すなわち多摩川の増水状況は国土交通省のライブカメラで刻々と伝えられ、とりわけ12日からは水量がどんどん増して礫河原どころか高水敷すべてが水没。昨年に引き続き調査した河原植物は、堤防法面のカワラサイコ以外はほぼ全滅したと思われる。永田地区のカワラノギクも壊滅的打撃を被ったと思われる。またゼロからの復活を期待したい。
 今日は朝から台風一過の晴天なのでさっそく見に行こうと思ったが、電車が昼まで運休なので、とりあえず自転車で行ける多摩大橋から拝島橋辺りを見ようと出発。自宅から16号バイパスの歩道に入り、ノンブレーキで一気に走り下りて約50mで突然自転車が止まって前転とんぼ返りで顔から土砂に突っ込んだ。なんと歩道の脇が土砂崩れで、そこに猛スピードで突っ込んだのだった。幸い自宅まで徒歩10分ぐらいのところなので、誰にも見られずに帰宅。顔を含め上半身泥だらけで唇が腫れた。
 午後になって電車が動き始めたので、とりあえず日野駅まで行き、中央線鉄橋から日野用水堰まで堤防上を歩いた。大岳山を中心に奥多摩の山がくっきり見える。中州や高水敷に生えていた森≠ェ増水で流失したため遠くまで良く見える。八高線鉄橋が上流からも下流からも丸裸で見えるのは珍しい。この鉄橋は列車転落防止の枠がなく線路だけなので強風の時は恐い。さすがに今日はゆっくり鉄橋を渡っていた。日野用水堰上流の中州の木や草も流されだいぶすけすけになった。下水排出溝の泡がやけに多いなと思ったが、たぶん流れ出る先の多摩川の水量が多く下水が排出されず循環しているためだろう。

10月1日 万願寺地先の多摩川右岸
 まだまだ暑い。去年・今年と多摩川全域で河原植物調査をしているので、万願寺地先も5月連休ぶりになってしまった。
 かつて年3回行われていた堤防法面の除草が全国的に2回となったのでかなり草が茂っている。ツリガネニンジンがあちこちで咲いている。日本在来植物保護のため除草時期を調整してもらっている区域はそれ以外の地域よりもクズがよけいに繁茂しており、今秋は他の地区と一緒に除草してもらいたい。
 開花が遅れた彼岸花があちこちで真紅の花を咲かせている。
 礫河原の様子を見るためまずは浅川合流点に向かったが、ほぼ一面礫が見えないほど草が茂っている。ここから礫河原を上流へ遡ろうと計画していたが、多い茂る草で前進できない。増水時の流路を辿って行くと池に着いて先へ進めず撤退。堤防脇の池付近からカワラヨモギ群落のある高水敷に出て、そこから礫河原へ出ようと思ったらここも草が茂って入り込めず。水辺近くにカワラケツメイの小群落があり、今年も健在。「健在」とは言え、数えたら96個体なので、かなり少ない。
 シナダレスズメガヤとクズが繁茂している草地を進むとラジコン飛行場に出る。そこからさらに上流へ草原をかき分けて進んだが、途中から踏み跡も途絶えて藪に覆われここでも撤退。
 ラジコン・ヘリを飛ばしていた人と立ち話。本会のHPも良く見ているとか。名乗ってご挨拶しようと思ったがちょっと気が引けて失礼してしまった。以前はラジコン飛行場に否定的な意見も書いたが、10年ほど前に或るブログに「独善的」と批判されて反省。それ以来現状把握に留め、他の利用形態に対する否定的意見を書くことはやめた。ラジコン飛行場に関して言えば、昔のように絨毯を敷かれることもなく、ここでも拝島橋上流右岸の一角でも飛行場がなければ一歩も立ち入れない藪になるよりか河原植物が多く生える現状からすれば良いと思う。
 オナガが群をなしてニセアカシア林を飛び回っている。ガビチョウの声。アオサギが飛び立つ。