多摩川の自然のニュース:2019年7月〜9月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2019年1月〜3月
2019年4月〜6月
2019年10月〜11月

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9月24日 福生多摩川中央公園地先の多摩川右岸
 かつてここにカワラハハコが1株突然姿を現したことを思い出し、二匹目のドジョウを探しに行ったが見つからなかった。かつては広大な礫河原だったが、いまは3分の1がツルヨシやさまざまな植物に覆われている。それでも所々に礫が露出している所があり、そこにカワラニガナの群落がある。15、15、178、106で、5月頃と同じように花をたくさんつけている株もある。公園から礫河原に出るにはいまは1本の小径しかないが、そこから上流へ多摩橋の間の一段高い所にもカワラニガナ107個体ある。この辺にカワラノギクが流れ着いていないか探したが見つからなかった。多摩橋上流右岸には一時期永田地区のカワラノギクの種子が飛んで芽生えたことがあり、最下流は多摩橋のすぐ近くまで来ていたので、礫河原が広がるこの辺に種子が飛んでくるか野鳥の足について広がる可能性はある。11月に開花して目立つようになったらもう一度来て見よう。
 23日のお彼岸にぴたり合うように彼岸花が開花するが、今年は開花が少し遅い気がする。堤内地に入ったら、穂が真っ黒のイネが一面広がる田があった。病気のように見えるが、そうだったら周囲に広まらないように刈り取るだろうから、これは古代米らしい。

9月18日 京王線鉄橋から関戸橋までの多摩川右岸
 東京都が現在架け替え工事中の関戸橋に関して、今秋からの工事で中州を切って瀬替えをするその規模と流路、および環境対策について説明会があったついでに、この工事に関連する河原植物保護地を見てきた。カワラサイコ54個体、カワラノギク今春播種したものの実生約20、昨年のロゼットと成長の早い株35、実生20+α。都の説明によると、中州に播種した実生も数株あるらしい。
 関戸橋右岸付け根にあるカワラサイコ80個体元気に生き残っているが、ここは残念ながら工事で消滅する。

9月16日 日野用水堰上流から多摩大橋までの多摩川右岸
 いつもは朝8時半頃家を出て昼前に調査を終えるが、今日は10時過ぎまで雨だったので行くのを止めようと思っていたところ雨が止んだので午後出かけた。が、やはり午後の日射しの強さは厳しい。カワラケツメイが元気に種子をつけている。ネムノキもそうだが、葉っぱが鳥の羽のようで涼しげだ。
 多摩川で一度絶滅したと思ったカワラハハコをこの夏に発見したので、その後の様子を確認したかったが、河原はどこも似たような光景なので探すのに小1知時間かかった。たった1株なので。まあ元気に花をつけていたが、雌雄異株らしいので今後どんどん増えるということはなさそうだ。

9月14日 友田地先の多摩川右岸
 この一帯も増水の影響はほとんどない。友田運動場から下流の礫河原に出る辺りに枯れ草やゴミが堆積して通行困難だが、礫河原はまったく冠水していない。その為逆に草が生い茂って河原植物の生育には良くない。多摩川で唯一のカワラノギク自生地では、昨年のロゼットが成長した株が1個体のみ。つまり自生のカワラノギクは地球上でたった1個体のみとなった(4枚目の写真)。
 今春の実生は確認できなかった。ホソバコンギクと思われる株は今年も元気に育っている。(最後の写真)

9月12日 五日市線鉄橋下流の多摩川右岸
 睦橋下流左岸の礫河原は水際まで草が生えており、増水の影響がほとんどなかったことがわかる。キクイモ、センニンソウがきれいだ。曇りで湿度が低いので爽やかだが、横田基地からジェット戦闘機が飛び立ち上空を大爆音轟かせて飛行練習3周に続き軍用ヘリコプター、輸送機等々が上空をぐるぐる回り暑苦しい。沖縄や厚木ともどもこれが毎日かと思うと住民の苦しみが身に染みる。
 今春播種したカワラノギクの成育状況を見に行く。クズが覆いつつあるが、負けずに成育している。昨年からのロゼットが3株、いまにも蕾をつけそう。実生は全部で130個体。8月始めの調査で確認した2倍。カワラニガナの大きな株も近くに生えていた。

9月10日 河辺地先の多摩川左岸
 台風は深夜に来たので実感が薄いが、翌日午前11時55分に、遅れて来た5時55分発の電車に乗ってその影響の大きさを実感。中央線車窓から多摩川を見たら予想以上の増水なので、猛暑に拘わらず様子を見に行った。
 河辺は河原植物が豊富なところだが、増水の影響はまったくなかった。今春播種したカワラノギクはやはり1株も芽生えなかった。気温39度、地表温度44度ながらカワラニガナは元気に育っている。
 ちなみに、8月下旬からオーストリアとその周辺諸国の町(ブラチスラヴァ:スロヴァキア、ショプロン:ハンガリー、リュブリアナ:スロヴェニア、ボーツェン:イタリア、ミッテンヴァルト:ドイツ)を歩いていたので、多摩川歩きはしばらくお休みした。下の写真はインスブルックのイン川の様子、右はクフシュタインという町の近くを走る急行列車の車窓から撮った川の様子。洪水ではなく、連日快晴で猛暑の日々が続いていた中でのこの水量。そして列車のこちら側の席から向こう側の席の窓越しに水面が見える迫力。日本だったら列車転覆1分前という光景ではないだろうか。これだけの奔流ながら、海から数千q離れた山奥だから凄い。
http://www11.plala.or.jp/tamast/austria2019.html

8月11日 拝島橋右岸
 今日も猛暑を覚悟したが朝から雲って日射しがない。と言っても涼しいわけではない。
 他の河川では稀少種ではないが多摩川では2箇所でしか確認できていないカワラヨモギの成育具合を見に行った。ここ数日の猛暑続きで草が枯れており、カワラヨモギもあまり元気のない株がどうにか85個体。昨年は52なので少し増えてはいる。カワラサイコはまだ花が咲いており、439個体。去年は378。カワラケツメイは232個体。昨年は16個体なので大幅に増えた。
 近くにラジコン飛行機場が出来た。橋のすぐ脇ということもあって低空飛行だし、騒音は自動車と変わらず、人家等もないので、河原植物群落のほうまで拡張しない限り、良いと思う。誰の迷惑にもならないし。近くに大きな飛行場があるが、あちらの利用者と別グループなのか、最近行っていないがあちらが利用できなくなったのか。その大きな飛行場にカワラサイコがかなりあったので、いつか強風の日にでも確認に行こう。

8月8日 石神前ブリジストン研修所地先の多摩川左岸
 昨年度の調査でカワラニガナが確認できる最上流がここだったので確認に行く。6年前の調査ではそこから少し上流にある保養施設の地先の礫河原でカワラニガナを確認したが、現在そこに立ち入るためには保養施設を利用しなければならず確認できない。
 ブリジストン研修所の敷地に沿って設けられた細い階段を下ると、河原に出る少し前から猛烈な藪に突入する。モンキアゲハが潜んでいた。礫河原は土砂が被った跡が見られ河原植物はなさそうだったが、研修所の芝生の前辺りに少し高くなっている所にカワラニガナが38個体花を咲かせていた。目眩がするほどの猛暑のもと、地表温を測ったら40度を越えた。ここから少し先はツルヨシが繁茂しているが、そのお蔭で流失を免れたカワラニガナが水辺近くに13個体花を咲かせていた。
 渓流をゴムボートが2艘通過した。

8月5日 五日市線鉄橋下流右岸の多摩川
 暑いうえに日射しが強く目が痛い。湿度は若干低く、朝丹沢山塊の奧に富士山が見えた。
 今年4月7日にカワラノギクプロジェクトが播種したカワラノギクの追跡調査。長梅雨でタイミングをつかみ損ねたホトトギスが鳴きながら空をあちこち飛び回っている。センニンソウの白い花がきれいだ。
 礫河原に出ると気温がぐっと高まる。カワラニガナの小群落がいつくか出来ている。1個体だけというのも含めて7箇所、合計49個体。昨年芽生えてロゼットとして残ったカワラノギクが1個体。ツルヨシ群落を越えて堤内地寄りにある流路跡に播種したもので、カワラノギクの芽生えが確認できたのは7箇所、合計59個体。標識番号を記入した大きめの石の周りにはなく、少し離れた小さめの石の周りのほうが発芽率が高い。まとめて播種したのか狭い所に17個体犇めいている所もあり、これはおそらく4株ぐらいに淘汰されるだろう。いずれにせよ、5〜10センチほどの芽生えが確認できたので、逆に河辺で播種したカワラノギクの発芽への期待値は下がった。ツルヨシ群落の中に自生?のオミナエシが咲いていた。
 炎天下礫河原で植生調査をするのも物好きだが、同じく炎天下テニスの練習に励む中学生の部活もまあ物好きだ。

8月2日 河辺地先の多摩川左岸

 今年4月に多摩川カワラノギクプロジェクトが当地でカワラノギクを播種したが、その発芽状況を見に行った。結論を先に言えば、発芽ゼロだった。五日市線鉄橋下流右岸でも一昨年から播種実験をしており、一昨年も昨年も発芽時期が非常に遅かったので諦めるのはまだ早いが今年の長梅雨とこの猛暑で、発芽したとしても生き延びられるか不安要素のほうが大きい。4月に当地でカワラハハコに似た植物を1株確認したが、今日は炎天下1時間ほど探し回ったが見つからなかった。
 実感気温40度ぐらいだが、礫河原を歩くことよりも帰りの河岸断崖の急な階段を上るほうがきつい。蜂蜜たっぷりのワッフルにアイスクリームを乗せフルーツヨーグルトと一緒に食べてやっと生きた心地に戻った。

7月31日 小作堰下流1q右岸
 ようやく梅雨明けで本業も夏休みとなったので早速河原植物調査へ。河川敷に繁茂する樹林の伐採計画があるため、いまはこの区間に1箇所しかないカワラニガナ群落を見に行った。オギやツルヨシが密生している間のわずかな広場に3102個体。昨年5月は4088個体確認したが、35度近い猛暑の中での藪内の調査は厳しいが、必死にやればそれぐらいの数はあると思われる。
 それにしても、ゴルフ場に出入りする車がひっきりなしに狭い通りを通りよそ見して歩けない。

7月28日 信州青木村・別所温泉・塩田平
 今年の水源合宿は、事務局案では最終回の合宿とするため、本会第二代代表で多摩川さらには日本の自然保護運動に多大な貢献をされた故横山理子さんの墓参を行った。
 台風上陸の報のもと、とりあえずは晴れ間の見える東京を満員の新幹線に乗り(大半は軽井沢下車)上田へ。そこからバスで約50分、道の駅あおきで地元特産のおそばで昼食をとっている間に雨が降り始める。新鮮野菜や乾燥茸などさまざまな地元物産を買ったり見たりしたあと、徒歩で国宝三重の塔のある大法寺へ。オミナエシが満開。ニイニイゼミやヒグラシ、アブラゼミの声が聞こえる。
 数十年ぶりの墓参のため墓石を探して30分、ご住職に場所を伺い供養塔すぐ横にあるとわかり、無事に墓参を済ませることができた。かつては墓石の前から村が見下ろせたが、いまは竹林が残念ながら遠望はきかないが、すぐそばに美しさゆえに「見返りの塔」と呼ばれる三重の塔が森の中にひっそりと建ち、自然に溢れた静かな環境は維持されたままで良い。
 ここで車で別所温泉へ向かう組と分かれて徒歩で峠を越えて別所温泉へ2時間弱。菅平の遠望、ネムノキの花咲く浦野川、由緒ありげな越戸神社、リンゴ畑などを見ながら、とは言え蒸し暑くて予想以上に長いだらだら道の峠越え、それでも峠を越えたところで上田電鉄の踏切警報機の音が間近に聞こえ、やっと別所温泉に着いたとホッと一息。尤も駅から宿泊旅館までまた登り坂。
 宿に着いてまずはお茶を数杯、温泉で汗を流す。夜の自然観察は雨で中止。
 ミーティングで、@水源合宿は今回で終了すること、A『緑と清流』を終刊とし『川のしんぶん』をネット版中心にして継続・充実させること、B創立50周年記念は、パーティは開かず、記録中心の文集を発行する、ことなどを話し合った。
 背中を雨に打たれながらの露天風呂。
 翌朝、台風の影響はさしてなく晴れ間が見える朝4時半起床、ヒグラシの合唱を聞きつつ、近くにある北向き観音へ。観音様は薄暗いお堂の中でよく拝めなかったが、代わりに立派な愛染カツラを拝む。
 朝食後安楽寺八角三重塔、常楽寺石塔などを見学後、シャトルバスで前山寺へ。入口の2本の欅の大木に圧倒される。ここから徒歩「5分」と書かれた小径を15分かけて戦没画学生の絵画や遺品が展示されている無言館へ。近くのレストランに空席がなくここで一旦解散。健脚組は歩いて塩田(現在の駅名は塩田町)へ徒歩約35分。お疲れさまでした。
 トビ、ハイタカ、タカsp、キジバト、ホトトギス、アオゲラ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ガビチョウ。
 ニイニイゼミ、アブラゼミ、ヒグラシ、ミンミンゼミ、エゾゼミ。

7月16日 稲城大橋から是政橋までの多摩川右岸
 雨が止んだと思っても霧雨が降っているという日が続く。前から決まっていた京浜河川事務所による河川環境管理計画に関連するヒアリングが稲城の多摩出張所で行われるついでに稲城大橋付近で昨年秋の増水以前まであったカワラニガナが復活していないか見に行った。雨の中礫河原をあちこち探したが残念ながら見つからなかった。
 スーパー堤防公園の上流端付近の堤防法面はアメリカネナシカズラに覆われ一帯黄色くなっている。雨が降っていなければ多少除去しても良いが。
 川の水量は多いがまだ河原植物に被害が及ぶほどではないと思われる。

7月8日 多摩大橋右岸上下流
 そろそろカワラケツメイが数えられる時期になったので多摩大橋右岸へ。予想通り橋の上流ではカワラケツメイ1685、カワラニガナ570、下流ではカワラケツメイ321、カワラニガナ385、合計カワラケツメイ2006、カワラニガナ955。昨年は上下流合計でカワラケツメイ1246、カワラニガナ428で、それぞれ倍増。
 今回さらに橋の下流でカワラハハコの雄株1確認。多摩川では絶滅したと思われるカワラハハコだが、未確定ながら河辺で1個体とここで1個体の2個体復活!?
 カワウ、ダイサギ、トビ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

7月2日 中央線鉄橋上流の多摩川左岸
 梅雨空がちょっと切れたので河原植物調査へ。蒸し暑い。
 堤防横の高水敷で除草がしっかりとなされている約200mにカワラサイコが227個体。昨年8月は134個体。立川市内でカワラサイコが生えているのはこの区間のみ。カワラサイコ自体は珍しくないが、立川市内でここだけというのはそれなりに貴重だと思う。
 中央線の堀割や多摩川河川敷でヤブカンゾウとノカンゾウが満開。