多摩川の自然のニュース:2019年01月〜03月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2019年4月〜6月
018年10月〜12月
2018年7月〜9月

3月25日 片倉城址公園
 日野橋架替工事計画のための自然環境調査報告を受けに外出したついでに、わが家の近くにある片倉城址公園に寄った。先日はアズマイチゲやミスミソウが満開だったが、それらはすっかり消えて、いまはキブシとアブラチャンの花が満開。雑木林の下にはあちこちにカタクリの花が咲いている。かつては一面ピンクになるほど群生していたが、いまはあちこちにばらばらに生えている。どちらが自然らしいかは何とも言えない。最近あちこちで目につくようになった外来種のヒメリュウキンカが湿性花園にびっしり生えている。

3月17日 狛江弁天池から西河原公民館まで
 定例自然観察会。今年度の年間テーマは「多摩川とその周辺の社寺」で、小田急線狛江駅からまず東へ路地を抜けると小さな谷田部神社がある。神社というより小祠というところ。ここに寄るのはこの小祠に参拝するためではなく、社のすぐ裏にある半径4mほどの円形の溝(池と言うべきか)が、いまはほとんど暗渠になっている岩戸川の水源だから。近くの路地もかつては小川だったのだろうなと思わせる曲線を描いているところがあちこちにある。小さな階段はかつて洗い場だったかもしれない。
 狛江駅に戻りすぐ西に接する弁天池に向かう。一部保護地区になっており、いつも公開されている池とともに貴重な緑地となっている。この緑地は故横山理子さんも含め地元市民による保護運動の成果としt残されたもの。この緑地に続き立派な鐘楼や山門のある雲松山泉龍寺がある。本堂に掛かる大きな鰐口は叩くと鐘に劣らない大きく太い音が響く。山門から南に向かい三中正門を左に曲がり住宅地の路地を入ると亀塚古墳がある。大きな石碑が立っており、案内板に張られた古い写真を見ると、周囲は湿地に囲まれていたことがわかる。
 さらに住宅街を抜け、「鎌倉橋」という古橋の一部を見つつ大通りに出ると、むいから民家園はすぐそこだ。古民家と庭は子どもたちの遊び場になっている。ここで昼食。
 続く西河原自然公園を経て和泉小学校脇にある伊豆見神社に向かう。大きな由緒ある神社で、隣に兜塚古墳がある。そうこうしているうちに午後の総会の時間になったので、多摩川歩きは解散後とした。

3月10日 片倉
 いま川に行っても野鳥は別として河原植物に動きがないのと花粉と雨とで多摩川に行く気がせず、ニュースがない。ほぼ毎日自室に籠もって仕事をしていると背中が曲がるので気晴らしに片倉城址公園へ行った。自宅から徒歩10分ちょっとだが、年に一度ぐらいしか行かない。予想通りカメラを持った人、超望遠レンズを構える人、柵を越えて花の写真を撮る人、それを注意する人、等々大勢いる。もちろん散策する人や子連れや通行住民もいる。
 ここに来て40年以上になるが、初めて城址公園に来た時はまだ自然公園として整備されたばかりだった。カタクリやカイコバイモ、ヤマブキソウ、ニリンソウ、イチリンソウ、ヤマネコノメ等々があちこちで見られたが、数年前に見たセツブンソウや、今日見たアズマイチゲやミスミソウはなかった。誰かが植えたものと思われる。池にアオサギがいたが近くに人がいても逃げないから置物かと思った。しかしときどき首を動かすのでほんものだった。
 ついでに、一昨日の朝、わが家の庭から撮った丹沢の光景を1枚。

2月28日 六郷橋下流左岸
 久しぶりの本降り雨の中、京浜河川事務所が行っているヒヌマイトトンボ生息環境再生工事を視察する。当日開かれた第2回多摩川機能空間区分検討会の一環として行われた現地視察で、現在行われているのは河口から5q地点。「高水敷側に横断幅6m、現況地盤から0.3m程度掘削し、干潮時でも水たまりが残るヨシ原を整備する」工事が2月下旬に行われた。今後3年間モニタリングを実施し、その効果を検証する。なお、2018年6月下旬から7月上旬の調査で確認された個体数の最大値は82頭とのこと。

2月12日 大丸用水堰右岸〜是政橋〜左岸堤防
 京浜河川事務所多摩出張所管内河川区域内の樹木を治水目的で伐採するという計画(本紙前号)があり、伐採時に自然への影響が心配される箇所のうち、是政橋下流左岸堤防付近でカワラサイコの生育が損なわれそうな箇所につき、事務所職員ならびに委託業者と現地確認をした。該当樹木は数本しかないが、伐採時に堤防側に倒さないよう依頼した。ポプラの高木が2本あるが、市民から伐採しないようにという要望があるらしい。なお、書類には治水上危険があるためと書かれているが、口頭での説明では高水敷にある緊急河川敷道路阻害樹木というように主旨が変わっている箇所がある。この現地確認に、本会古参リーダーのYさんが数年ぶりに参加した。
 ついでに大丸用水堰右岸の様子を見た。下水処理水排水口の工事中。堰の上流はるか彼方にカモの大群が見えるが、種類はわからない。かろうじてコガモとオナガガモとオオバンとカイツブリはわかる。グラウンドにツグミが数羽。是政橋北端にクララが生えているが、昨秋伐採されたものの切り株が残っている。

2月8日 浅川合流点から日野橋までの多摩川右岸
 寒風吹き荒ぶが、超低速の観察会と異なり一人では超高速で歩くので身体の寒さは感じられない。
 石田大橋下流の床止め右岸の藪の中に踏み跡があるので辿って行くと林の中にキャンプファイアー場のような穴があったり朽ち木で遊んだ跡があったりする。さらに進むと踏み跡は消えて最後はいつも通りの藪こぎでメインの踏み跡に戻る。ラジコン飛行場は強風のためか無人。
 下流のカワラヨモギ群落地はシナダレスズメガヤ駆除の試験場。
 堤防に上がると、脇の池から浮き草が消えている。地元の市民団体が駆除したのか自然に枯れたのか不明。堤防法面の日本在来植物保護調査のための除草調整区間はきれいに除草されている。来春の発芽が期待できる。
 上流の日野橋まで行く。途中、中欧高速道橋下で、日野橋架替工事のための環境アセスメントを続けている東京都移植の調査員と出会う。今冬はタヒバリが多いようだとのこと。私の調査ではツグミが全然確認できなかったが、今日は万願寺地先の高水敷と中欧高速道橋付近で見ることができた。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、カルガモ、トビ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

1月31日 奥多摩橋から好文橋までの多摩川右岸
 二俣尾の奥多摩橋と石神前の好文橋の間の左岸に奥多摩路という保養施設があり、その下に拡がる礫河原にかつて河原植物があったので調査をしたいが、ここは施設関係者か利用者以外立入禁止なので、対岸上流にあるBBQ場の様子を見に行った。5年前の調査では河原植物が見つからなかったが、今日も1株もなかった。少しの増水で礫河原全体が冠水するからだと思われる。少し高台はBBQと駐車場だ。
 住宅街を抜けて好文橋に出て左岸に渡る。河原植物だけでなく、野鳥もカワウとダイサギとセグロセキレイとヒヨドリ以外見られなかった。

1月27日 府中四谷橋から立日橋までの多摩川左岸
 快晴で強風のおかげで、真っ白な富士山がくっきりと見える。多摩川堤防から見ると、正確に言って、見える「ところもある」と言うべきか。多摩丘陵や右岸の高層ビルなどに何度も遠望が妨げられる。富士山と手前の丹沢山塊を良く見るには中央線鉄橋上流左岸か青梅線拝島駅が良さそうだ。
 さて、冷たい強風が吹き荒れる中、河原植物を探して高水敷をひたすら歩く。しかし、この季節は冬枯れ色一色なので見分けにくく、結局1株も見つからなかった。もともとないのか見つけられなかっただけかは不明。初夏に出直そう。府中四谷橋架橋の際に1万株ほどあったカワラノギクはすべて工事と増水により流出・生滅し、何度か復元も試みたが、いまは河川敷の形状が変わって河原植物が生える環境ではない。いつもながらの藪漕ぎで堤防付近の踏み跡に戻り、シナダレスズメガヤが蔓延る高水敷を黙々と上流へと歩く。国立市と立川市の境付近に流れ出る根川の合流点で行われていた新堤工事が完成し、雰囲気がずいぶんと変わった。今秋頃から工事が始まる日野橋架け替えが終わる頃には付近の光景はさらに大きく変わるだろう。
 川面に浮かぶのはオオバンばかり、わずかにコガモの群れ。その他、マガモ、アオサギ、ダイサギ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。青く澄んだ空を見上げると20羽ほどのヒメアマツバメが飛び交っていた。

1月23日 宿河原堰上下流右岸
 明治大学生田校舎で開かれたカワラノギクプロジェクト連絡会(今年の方針等は別掲)に参加したついでに、宿河原堰周辺を歩いた。やや風があるものの快晴で暖かい。
 堰上流の川面にはカンムリカイツブリとカイツブリ、堰下流では、カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ユリカモメ、トビ、ハシブトガラス。昨今多摩川中流に湛水域が少ないのでカモを見る機会がなかなかないが、ここで久しぶりにカモ類を間近にじっくりと観察することができた。

1月20日 等々力渓谷から多摩川台公園までの多摩川左岸
 定例自然観察会。大井町線等々力駅から住宅街の路地に入ると、等々力渓谷の上流端・谷沢川の接続点に「水車跡」という石碑が立っている。詳細不明だが,川はかなり下を流れているので、当時上り下りが大変だっただろう。
 商店街に戻り,少し南に行って右折するとゴルフ橋がある。かつては螺旋階段だったがいまは立派な単純な階段。ここから下流は渓谷の左岸を歩くが、湧水が浸み出て冬はそれが凍り滑って危険だったが、いまはコンクリートの簀の子が敷き詰められ、渓谷散策者だけでなく住民の一般通路として使われ歩行者数が意外に多い。不動の滝周辺から不動尊本殿は私の子ども時代(隣町がわが故郷)とさほど違わない。欅やコナラ等の大木が何本も天をめがけて伸びているが、さすがに桜は古木となった。
 多摩川に出ると春の日射しが暖かい。湿度も適度にあるのか山の遠望は楽しめない。川面ではコガモ、オオバン、カイツブリ、ユリカモメが目に付く。下流ではヒドリガモやカルガモ、ダイサギ、コサギも見られた。世田谷区と大田区の境界付近の高水敷の水際は篠竹が密生して帯をなしている。この中にHLが数軒ある。グラウンドは野球少年で埋まっている。
 旧巨人軍グラウンド辺りから多摩川台公園に上がる。ここには蓬?山古墳から亀甲山古墳までの間にさらに8つの古墳が並んでいる。最大の亀甲山古墳は発掘調査されていないが、他の古墳で発掘された須恵器や埴輪、装身具などが園内の博物館に展示されている。台公園から多摩川が良く見渡せるが、かつては中州がよい具合にあって「川」の字形を成していた。東横線脇にある多摩川浅間神社は鎌倉時代創建とのことだが、かつては暗い感じだった。いまは結婚式場の屋上が多摩川を見渡せる大展望台となり、本殿から笙や太鼓が演奏され参詣者が絶えない賑やかさ。多摩川駅近くに手作り鮎焼き屋さんがあるが、この店は50年以上前からそのまま。
 等々力渓谷から台公園、鮎焼きまで、60年以上前と大差ない所と大違いまでいろいろあって興味が絶えなかった。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ユリカモメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ハシブトガラス。〔アオゲラ、ツグミ〕

1月14日 友田〜小作堰までの多摩川右岸
 今日は風もなく暖かい。御嶽山(右の尖り)から大岳山までの稜線がきれいに見える。
 いまやこの世で唯一のカワラノギク自生地では、種子を付けた株が13、ロゼットがたった1株。藪化が進み,種子が発芽するかもおぼつかない。かつて増水でこの辺り一帯がすべて洗われた時、たった3株になった自生のカワラノギクがその後500株以上に増えたこともあったので、奇蹟を信じたいが、当時とは自然環境が異なりすぎる。
 若芽も成長株もカワラノギクそっくりのホソバコンギクは種子も,他のキク科植物と比べると良く似ている。(上2枚はカワラノギク、下2枚はホソバコンギク)
 小作堰上流はかなり礫が堆積しており、近々浚渫が行われる予定。キンクロハジロが6羽。他にはカワウ、セグロセキレイ、シジュウカラ、カワラヒワなど。

1月2日 多摩大橋から中央線鉄橋までの多摩川右岸
 毎年恒例の初多摩川歩きではほぼこの区間を歩いている。
 多摩大橋下流300mの下水処理水排水溝から途中右に大きな池を覗き、人工せせらぎ水路を横断し、広大なオギ原を抜けると土丹露出の低水敷に出る。以前あった踏み跡よりかなり下流で、土丹に出た所を良く覚えておかないと帰路が断たれて大変なことになる。出た所の右手にちょうど大きな池が出来ているので覚えやすい。土丹の造形、ミニグランドキャニオン≠ェ一時期増水で崩れていたが、美事に復活していて、被写体に事欠かない。上流にダイサギの小群、下流にオオバンの小群。広大な土丹の所々になぜか深い渓谷≠ェ走り、草木が茂っている。河原植物は見あたらないが、夏にはカワラケツメイが見られるはず。
 堤防に戻り下流へ。ラジコン飛行場にカワラサイコが生えている場合が多いので踏み跡を辿って入ってみると人の気配。「ここは自分たちが造った」という人がゴルフ練習をしていた。芝が良く茂っていてカワラサイコの生える隙がない。正月休みか野鳥の姿も見えない。
 谷地川を橋で渡り中央線鉄橋まで暖かな日射しの下をぶらぶらと歩く。静かな正月の多摩川歩きだった。