多摩川の自然のニュース:2018年10月〜12月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2018年4月〜6月
2018年7月〜9月
2019年1月〜3月
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12月28日 等々力大橋予定地から二子玉川までの多摩川左岸
 年末の多忙と風邪罹患で久しぶりの多摩川。我が故郷尾山台から等々力の住宅街を抜けて多摩川へ。1軒の蕎麦屋以外昔あった商店がすべてなくなりショック。湧水が音を立てて流れ出ていたお屋敷もいまやマンション。
 多摩川は強風寒波襲来。等々力大橋建設計画について東京都から丁寧な工事説明を受けてきたので礼儀上現場を見に行く。但し、今回は水際を見るために対岸から見る。
 遠くに富士山や丹沢山塊等が良く見える。二子玉川駅から朝は遥か南アルプスも見えた。
 冬とは思えないほど草が青々としているが河原植物はなく、強風のためセグロセキレイ、ハクセキレイ、トビ、ダイサギ、モズ、ヒヨドリ、スズメしかいない。

12月16日 東秋留駅〜平井川〜多摩橋〜永田橋
 定例自然観察会。曇り空の下寒風が吹き身体が芯まで冷える。昼頃にわずかに顔を出した太陽の暖かさと偉大さを真に有り難いと思った。
 東秋留駅から南に出てすぐに普門寺がある。本堂の屋根が美しい。鐘楼や大木も美事。だが何か物足りない。車道を渡るともう一棟お堂がある。真言宗の寺院で、ここは仏像が拝める。太陽に光彩がかかり美しい。五日市線踏切を渡り二宮神社へ。この一帯で一番高台にあり、初詣に近隣の住民が集まる。境内脇に二宮考古館があり、近隣で発掘された土器や石棒等が展示されている。室内暖房が有り難い。
 続いて玉泉寺。大きな榎の木にエノキダケが生えていたとか。すぐ近くにかつてあった醤油製造所で使っていた大樽を再利用して石仏が祀られている。
 住宅街をしばし抜けると突然大きな鉄橋が目に入る。平井川のヒラタカ橋。ダイサギとアオサギが並んでいる。ここから多摩橋までの河辺の小径は桜並木となっている。静かで自然豊かな川沿いの道が続き、参加者によるとイタチやカワセミを見たとか。
 その静寂を突然破って頭上をオスプレイが飛び立つ。その後もオスプレイは住宅街の上空を何度か旋回して飛行訓練をしている。米軍のやりたい放題で敗戦国%本の政府は何も言えないばかりか、国民を捨ててまで米国に従属する。
 多摩橋下流右岸の耕作地を通り多摩川堤防へ。左岸と比べて堤防が高く途中に藪が茂り河原に出られない。尤も最近右岸に礫河原はないが。昼食中、雲が切れて晴れだしたが、その途中で虹が立った。
 橋を渡り左岸へ。ようやく太陽が顔を出して暖かくなる。オスプレイが飛んでいる。
 終了後、福生駅近くの喫茶店で一休み。来年度の観察会の年間テーマについて決まらなかったが、湧水・用水、あるいは川に近い城址巡りなどの案が出た。2020年に本会創立50年を迎えるので、夏合宿は二代代表故横山理子さんの墓参と青木村探訪にしようという案が出て話が盛り上がった。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、トビ、カワセミ、コゲラ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、シジュウカラ、アオジ、シメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

12月11日 睦橋から拝島橋までの多摩川左岸
 この区間は台風24号による増水の影響がほぼ見られず、ひとが立ち入れない広大な藪や土手からの奥多摩の山々の眺め等々いつもののどかな雰囲気に満ちている。
 昭和用水堰上流の土砂堆積が進み、左岸から見る限りでは湛水域がほぼ見られない。
 昨日は今季最低気温だったそうだが全体では暖冬で、そのせいか未だにジョウビタキもツグミも見かけない。シメの群だけがあちこちで見られた。

12月4日 万願寺地先の多摩川右岸
 時々雨の予想がはずれて良い天気でしかも暑い。石田大橋下流のサッカー場から水辺のほうへ近づくと一面の藪。そこをかき分け下流に向かうと良く踏み固められた径がある。辿ると礫河原再生事業で掘り起こした所に着くがすでに2mを越えるニセアカシアやススキ等で立ち入る気のしない藪と化している。
 ラジコン飛行場を抜けて河原植物群落地へ。シナダレスズメガヤ抜根除去調査中。水辺に向かう。夏には絶対に入れない藪を抜けると台風24号時の増水でできた新たな礫河原に出る。土手方向に戻ろうとしたら伏流水が小川となって流れていて渡れず少し上流へ戻る。
 一段高い所にも礫河原が少しあるが河原植物は見つからない。
 堤防に上がり、日野クリーンセンター前に池を見ると一面の浮き草に蔽われている。そこをカルガモとマガモが泳いでいるが、嘴や身体にいっぱい着いている。良く見ると浮き草を邪魔と思っているだけではなく食べている気配がある。
 日射しが暖かく、コマツヨイグサが数本大きな花をつけている。
 ジョウビタキやツグミなど冬鳥の声はまだ聞かない。

11月26日 谷地川(多摩川42.2q付近)〜多摩大橋左岸〜拝島橋
 多摩大橋から高水敷内に走る作業用道路を下流端までかなり長距離を辿ったら谷地川にぶつかって終わった。河川工事の際はここに仮橋が架けられる。
 多摩大橋上流礫河原のカワラニガナとカワラケツメイは秋の増水の影響を受けていない。
 橋を渡り左岸を遡り拝島橋へ。耐震補強工事が延々と行われている。右岸のカワラヨモギ、カワラサイコ群落はとくに変化なく無事だった。
 冬鳥のコガモが渡ってきていた。ジョウビタキやツグミの声をまだ聞かない。

11月25日 稲城長沼地先〜多摩川原橋までの多摩川右岸
 いつも朝8時半頃から多摩川を歩いているが、今日は数年ぶりに午後から。稲城は、対岸の府中と同様、いまでも用水路が縦横に走っている。
 日射しが暖かく風もなく、スーパー堤防の公園は大勢の市民で賑わう。その堤防下の高水敷は自転車でもこうなるんだと驚くほどのモトクロス場化。
 稲城大橋すぐ下流の礫河原にカワラニガナがあったが、秋の台風による増水で流失。
 ニセアカシア林は葉が落ちて明るい。毎日いるのではと思われるHLらしい婦人が林内の小径に座っている。ラジコン飛行場兼ゴルフ場は珍しく無人なので植物調査をしたが、河原植物は見つからなかった。その下流の運動場はラグビーや野球等でここも大賑わい。
 16時15分、富士山頂に太陽が沈む。

11月20日 府中郵便局地先の多摩川左岸〜関戸橋〜右岸〜百草地先
 府中郵便局地先河川敷内ラジコン飛行基地を抜けると礫河原に出る。一時期播種されたカワラノギクが拡がったことがあったが増水ですべて流失。今年の増水時も増水分が礫河原を横断して左岸方向へ流れた跡が一面に見られる。関戸橋まで水辺を歩き、橋を渡って右岸へ。
 関戸橋架け替え工事と京王線鉄橋上流右岸の低水護岸改修工事のため高水敷は関戸橋から府中四谷橋までほぼすべて工事区域。中州に生えていた河原植物の保全活動として東京都が造った花壇≠ナカワラサイコ68株、カワラノギク開花株130、ロゼット450確認できる。
 京王線鉄橋上流の堤防下にカワラサイコ群落が若干あり保護対策をかつて現地協議した結果、その生育地すべてが工事区域から避けられ保護されている。府中四谷橋付近にも工事用ブロックヤードが造られているが、橋直下にあるカワラサイコには影響がない。京王線鉄橋上流側堤内地の開発工事がだいぶ進んだ。浅川合流点付近で高圧線下の樹木を伐採するという通があった。まだ大丈夫のように見えるが夏に葉が茂ると危険かもしれない。

11月11日 睦橋から多摩橋までの多摩川右岸、永田橋まで左岸
 カワラノギク・プロジェクトで3月にカワラノギクを播種し、9月n72株の発芽・成長が確認されたものの、台風24号による増水で、五日市線鉄橋下流右岸の礫河原に新たに礫が被さり、カワラノギクはすべて流失ないしは埋没した。マーキングした石が見つけられたのは6つのみ。この礫河原とは別に出来ている礫河原で播種した第2ラインでは、開花株3、開花とロゼットがゼットの通商ミックス2株、ロゼット10株の生存が確認された。また、礫河原で9月に確認したカワラニガナ1株は健在だった。この現況を見つつ、来年度の活動について協議した。
 プロジェクト解散後、平井川に沿って上流に向かい、多摩橋を渡って左岸を永田橋まで歩いた。
 アオサギ、ダイサギ、セグロセキレイ、ヒヨドリはいるが、ジョウビタキやツグミはまだ見られない。

11月4日 氏家地先の鬼怒川左岸
 東北新幹線鉄橋下流約200mから500m辺り一帯はカワラノギクが雑草のようにあちこち勝手に生えていておもしろい。もっともこれも地元の人たちが播種したものだそうだが、自然な感じが良い。カワラハハコもあちこちに生えている。相模川のカワラハハコはたびたび増水に遭うためか丈がせいぜい20cmぐらいだが、ここのは50cmぐらいに成長している。ラジコン飛行場の手前の水際への崖の縁に元気な株がまとまって生えていて圧巻。
 ところが、柵が設けられている河原植物保護地区や氏家大橋近くのカワラノギク保護地区では、カワラノギクもカワラハハコももう絶滅寸前で元気のない株がひょろひょろと数点残るだけ。野菜と同じように連作は不可ということだろうか。氏家大橋下流で1箇所30株ほどの小さな群落があった。
 代わりに元気な花を咲かせているのがノコンギク(最後の写真から9,8枚目)とカントウヨメナ(最後から4,5枚目)。多摩川ではめったに見かけなくなったカントウヨメナが国土交通省の出張所付近の土手法面にたくさん生えている。花がやや丸みをおびてかわいらしい。ほかにカワラヨモギ、カワラナデシコなどもあったが、今回はカワラケツメイを見かけなかった。
 それにしても自宅から往復7時間は遠い。当地訪問はこれで3回目だが、ここでも河原植物が年々減っているのが気になる。

11月3日 相模原市立湘南小学校地先の相模川右岸
 相模川では数箇所でカワラノギクを育てているが、ここでは小学生が育てている。新聞に記事が載り、学校のHPにも活動紹介や開花報告等が載っているので、いつか見たいと思っていた。橋本駅からのバスが4時間に1本あるかないかの不便な所だが、10時31分発のバスに乗り、帰りは11時29分のバスに乗った。現地滞在時間30分弱だが、そうしないと次のバスは16時なので大急ぎで。
 とは言え、学校から現地へ行く道がわからず探す。結局学校の敷地に入りプールに沿って川方向へ行くと案内板がある。階段を登ると河岸断崖の縁に出る。相模川ははるか下方に見える。水流は左岸に寄り大きな林を形成する中州の一角に100m×30mぐらいの白く見える空き地がある。よく見るとそれがカワラノギクのお花畑。
 河岸断崖の縁を下流に向かい、新しい堤防に造られた階段を下り、水が流れていない水路を越えてちょっと高台に上がると、そこがお花畑。満開で美事だが、三方林で手前は大雨が降ればすぐに川に復帰しそうな水路なので、カワラノギクが周囲に拡がる可能性はまずありえない。その代わり、この畑が流失することもなさそうで、問題は他の草が繁茂しないようにせっせと草刈りをすることで、その点は子どもたちの努力で補われることと思われる。

11月2日 万年橋上流右岸約2q
 当地の今年度の河原植物調査は4月1日と9月18日に行い、カワラニガナの株数を数えたが、台風24号による増水で水辺に近いこの地区も冠水して大きな影響を受けたに違いない、と思って来てみたら、なんと9月とほとんど変わらない、つまり増水の影響を低水域も含めてほとんど受けていないことがわかった。水辺に向かって一段下がったところに生えているカワラニガナもいっさい流出せず残っている。
 河原への入口から上流に向かってもほぼ同じ状況で、川が大きく曲がるところで若干カワラニガナに冠水した跡が見られる程度だった。
 ということは、台風24号で大きな被害を受けた河原植物は友田のカワラニガナだけのようだ。友田の礫河原上流部は礫ごと流されて、以前よりも低くなったので、次の増水でも簡単に水流ができるだろう。上流から新たに礫を運んで来るまでこの状況は続きそうだ。対岸は樹林化して高さが増しているので、増水したら右岸に集中するにちがいない。

10月30日 相模川神澤地先
 カワラノギク保護のための「畑」でカメラマンが三脚を立てて撮影中。開花株は、ザッと見て一昨年の半分以下、昨年の三分の二ぐらい。
 礫河原は昨年に続き今年も台風24号による増水で全体的に草が減り、カワラハハコも一昨年に比べて10分の1ぐらい。とはいえ絶滅したわけではなく、全体で500株ぐらいはあり、カワラノギクとカワラハハコと兎の糞とが1枚に収まるという理想的な写真も撮れた。
 ニセアカシアやエノキの林をぬけて通る車道はシナダレスズメガヤが繁茂し、カワラハハコは激減。
 「畑」から上流の礫河原にカワラノギクがパラパラと小群落を形成し良い雰囲気。当地はラジコン飛行機が飛びモトクロス練習場もありの自然空間。
 対岸上流に小学生が育てているカワラノギクがあるそうだが、相模川上流は橋脚がほとんどなく行くには橋本駅まで戻り1時間に1本のバスで行くしかないが、いつか見てみたい。モズがよく鳴いていた。

10月28日 永田地区(多摩川右岸)
 カワラノギクプロジェクト秋の公開作業。予定は昨日だったが雨で今日に順延となった。京浜河川事務所と福生市の職員、そして京浜河川事務所から利根川等へ異動した職員も2名も含め、休日にも拘わらず8名参加。ほかに明治大学、市民等参加で今回は開花株数調査。
 長年除草をしてきたA工区は雑草が茂っているが(写真最初の2枚)、かろうじて開花株6、ロゼット11を確認。礫河原に出て、数箇所のブロック中央の杭ないし石を中心に半径2mの開花株、ロゼット、ミックスを数えた。合計実数は開花株73、ロゼット252、ミックス4で、永田地区の推定個体数は開花株約3600、ロゼット約12500、ミックス約200だった。昨年の開花株は9500株、一昨年は11000株、その前は27000株なので、増水等諸般の状況によるが、年々減少していることは確かだ。
 解散後、永田地区のカワラニガナの現況を調べた。6月25日に293株確認したが、今日は74株だった。低水路の礫河原の冠水による影響と思われる。

10月23日 河辺地先の多摩川左岸
 河辺の対岸、友田の礫河原は台風24号に伴う増水で一部礫が流れカワラニガナが壊滅的な打撃を受けたが、こちら側は逆に驚くほど増水の影響がない。以前は増水時に水路ができる左岸沿いの窪地にもほとんど水が来た形跡がなく、ススキやオギ、センダングサなどが倒れず繁茂している。カワラニガナもほぼ無傷で、まだ開花している株もちらほら見られる。
 水辺方向に向かうと、石灰岩がいつもよりも目につく。下流に向かうと、ニセアカシア林と草むらの間に流木や枯れ木やゴミがところどころで大量に溜まっており、いちおう水は被ったらしい。
 さらに下流に向かい、右岸を見ると、カワラニガナの大群落があった礫河原ははるか下に見える。左岸の高水敷が高くなって増水が左岸に乗らずに右岸を削ることになったのだろう。
 青梅市営総合運動場上流端にあるBBQ場のカワラニガナも元気に生き残っている。
 ここから堤内地の車道を上流に戻る。立ち入り困難なほど雑草が密生しており、これらが増水で一挙に流れてくれると良いのだが……。

10月21日 氷川・愛宕山周辺
 定例自然観察会。今年度テーマは「多摩川と周辺の社寺」で、三本杉で有名な奧氷川神社とボコンと突き上がった愛宕山頂上にある神社を詣でた。
 秋の行楽シーズン始まりで奥多摩ホリデー快速は大勢の観光客。うち8割は御岳山駅で下車したが、奥多摩駅前の奥多摩湖や日原渓谷方面行きバス停は長蛇の列。幸いわれわれは駅から徒歩のみなので混雑を気にせずに済んだ。
 まずはビジターセンターで地図をもらい、2階の野生動物ガイドを見てから奧氷川神社に参詣、昭和橋から多摩川と日原川合流点を見て、いよいよ愛宕山への急坂を登る。まあ、登山道とはこんなものだが、ここで凄まじいのは188段の急な階段。下りでなくて良かったと思う。道沿いにヤマジノギク、アキノキリンソウ、キッコウハグマ、カシワバハグマ、ヤクシソウ、センボンヤリ等の花が咲き目を楽しませてくれる。電車内にも外国人が目に付いたが、愛宕山にも中国人や欧米系の顔だちの人なども来ている。頂上には愛宕神社のほかに戦没者慰霊五重塔が建つ。
 山の反対側に下ると直に車道に出て、土砂崩れ防止のためかスギと竹の混合林を見、ノコンギクやツリフネソウ、ミズヒキ、アザミ、シュウメイギク等々の花、ツリバナの実、ホオノキの大きな落ち葉などを路傍に眺めつつ晴天のもと暖かな日射しを浴びながらのんびりと下る。
 青梅街道に出る手前から多摩川右岸に沿った山中の遊歩道を進み、登計橋という名の吊り橋を渡って河原に降りる。昼食後は日原川右岸に沿った遊歩道を上流に向かい北氷川橋を渡って奥多摩駅に戻った。
 秋の山野草はいろいろ楽しめたが、野鳥は少なく、トビ、タカSP、コゲラ、アカゲラ、ヒヨドリ、ハクセキレイ、キセキレイ、カケス、ハシボソガラスぐらいか。

10月16日 友田(多摩川右岸)
 台風24号による増水で友田のカワラニガナ群落は礫ごと流されて壊滅的打撃を受けた。カワラニガナの大群落があった礫河原のうち、下流半分は元の形状は残ったものの泥が大量に溜まり、今後他の植物が繁茂してカワラニガナが生えにくい環境になると思われる。旧流路を越えた高台にも泥水が被った跡が残る。
 この春カワラノギクの新しい群落かと思った植物は夏にカワラノギクではないことがわかったが、いまちょうど満開で約140株が周囲に拡がっている。
 他方、いまや地球上最後のカワラノギク自生地は絶滅寸前となり、藪をかき分けてようやくひょろひょろの開花株8とロゼット6を見出した。近くにあったユウガギクは下状花が細いがきれいだ(写真の白いノギク最後2枚。その前の1枚が自生のカワラノギク。その前数枚はカワラノギクもどき。)

10月8日 阿蘇神社下流多摩川左岸、羽村人道橋〜永田橋右岸
 そろそろ水が引いてきた――とは言え、羽村柴堰はまだ修復されておらず大量の水が下流向かって流れている。
 羽村堰上流左岸の河川敷運動場地先の礫河原も一時全面冠水した模様で、カワラノギクやカワラニガナも泥水を被っている。被ってはいるが株が流失するところまでは行かず、株数はともに夏の調査時と変わらない。ただし、とくにカワラノギクがたくさん生えている所にかなり泥が溜まったので、他の植物が繁茂しやすくなり、このままでは河原植物が徐々に衰頽すると思われる。尤も、当地で「このままでは」と言っても人為の施しようがない。
 羽村堰下橋を渡り右岸へ。河川敷内の密林≠抜けて羽村大橋下流1q地点から右岸堤防上を歩く。ユウガギクがきれいに咲いている。ナンテンハギやツリガネニンジンの花も。この一帯の堤防法面南面は日本在来植物の宝庫だが、地元団体が植物の名札を付けたのに加えて、所々柵を設けた。私見では堤防法面植物は通常通り年に数回除草するだけで維持できるはずで、このように貴重植物の名札と柵を設けたらそこは除草されずかえって絶滅に拍車を掛けかねないと思われる。
 カワラノギク保護の永田地区はいま現地を見ても有効な情報が得られないので遠望するに留めた。

10月2日 浅川(新浅川橋から)
 現在新設工事中の等々力大橋(仮称)に伴う右岸低水護岸設置工事が、昨年予定されていたものの思わぬ増水による河床変動で実施できなかったため、今期改めて業者に発注し直して工事再開することの説明と、高水敷に埋められている川崎市の旧取水管撤去工事の説明を、品川区と川崎市の事務所からはるばる八王子にある東京都合同庁舎まで来ていただいて受けた。この工事に関わる都の担当者はいつも丁寧にしかも詳細に説明をして下さり感謝している。
 さて、わが家からは自転車で15分程の所にあるのでついでに浅川を見に行った。多摩川は台風24号の影響でかなり増水しているが、これは奥多摩湖からの排水に加えて羽村堰等での取水ができなくなったためで、通常の水量に戻るには1ヶ月ほどかかる。これに比べると浅川は台風直撃時はかなり増水したもののすでに半分以下に水量が減っている。
 ムクドリが集結し、ダイサギ、アオサギが水辺に佇み、モズが盛んに叫んでいる。