多摩川の自然のニュース:2018年4月〜6月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2017年10月〜12月 2018年1月〜3月 2018年7月〜9月
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6月26日 多摩川原橋から是政橋までの多摩川右岸
 今日も猛暑のなかで河原植物調査。多摩川原橋から約400m上流の高水敷にニセアカシア林がある。その入口付近にカワラサイコ11株。開花しているので見つけやすい。
 林の中でハグロトンボがゆらゆらと舞っているが、風がないので木陰ながらあまり涼しくない。林の横に造られたラジコン基地でエンジン音がする。
 稲城大橋周辺の礫河原は増水のたびに形が変わる。かつてカワラハハコ、カワラニガナ、ヒロハカワラサイコがあったがすべて流出した。しかし良く見るとカワラニガナが7株あり、うち3株が開花していた。
 さらに上流へ向かうとスーパー堤防。芝地でカワラサイコがありそうでないので堤外地側の小段を歩く。高圧送電線から上流へカワラサイコが1株、8株、8株と開花株をたよりに発見。むかしから京浜河川事務所多摩出張所地先の、野球場脇にカワラサイコの群落がある。今回はどうかと見ると、野球場脇に320株、踏み跡周辺に169株、以前は草が繁茂していた一角が除草され日当たりが良くなったためさらに418株、合計913株あった。
 そこから是政橋までの礫河原には河原植物が見あたらなかった。堤防法面はヤブカンゾウが満開。
 ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

6月25日 永田地区
 昨日カワラノギク・プロジェクトの除草作業があったが、朝家を出ると折りたたみ傘では間に合わないほどの雨なので引き返し帰宅したが、その後晴れて作業は行われたらしい。昨日は作業のついでに河原植物調査をしようと思っていたので、今日久しぶりの月曜休みで調査に出かけた。気温が35度近くになるとの予想で日射しはかなり厳しいが風があるので倒れるほどではない。
 永田橋を渡り右岸の堤防上を上流へ向かう。ヤブカンゾウとキスゲが花盛り。52q標識付近の堤内地側法面にスズサイコが花をつけている。農工大の調査地でこれとノジトラノオ、レンリソウに標識が立てられている。A工区入口付近の本堤上にヒロハカワラサイコ10株健在。堤外地小段にも30株生き残っている。昨日の朝まで雨だったので水路が出来ていると思い長靴を履いてきたが湿地はなかった。
 A工区は雑草が繁茂し、上流端にかろうじてカワラノギクのロゼットが10株確認できるのみとなった。(明大の調査では15株とあるが。)
 下流の礫河原に出る。カワラノギクのロゼットが無数にありカウントはできない。昨日の除草のおかげか全体にさっぱりして見通しが良い。水辺に近い一帯でカワラニガナがあちこち育っている。大きな開花株や実生まで含めて293個体確認した。カワラノギクはかなり下流にまで広がり、永田橋まで50mない標識杭139番周辺にもロゼットが6株あった。その先に水路がありようやく長靴が役立った。昼食をとりにいつもの三姉妹店に行き立て続けに水を3杯おかわりしてまだ汗が止まらなかった。
 アオサギ、カルガモ、コジュケイ、ホトトギス、イワツバメ、ウグイス、ホオジロ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

6月17日 石神前周辺
 定例自然観察会。年間テーマは「多摩川と周辺の寺社めぐり」で、いまどき若い人でかなり混んだ青梅線を「石神前」駅に降りる。電車の到着時間と集合時間にかなり開きがあり、しかも次の電車は45分後ということで、集合時間より早いが9時7分着で集まった3人で出発。
 まずは駅のすぐ横にある石神社へ。乳が信仰の対象となった大銀杏を見てから青梅街道を横断しブリジストンの研修所へ。入口の楓並木がきれいだ。雨露でズボンを濡らしながら、河原に降りる。ムサシノキスゲが2株花をつけている。礫河原に元気なカワラニガナが76株あった。かつては礫だけだったが、しばらく増水がなかったためツルヨシが繁茂し手礫が露出している部分が小さくなった。対岸の河岸断崖が上流らしい雰囲気を十分醸し出している。イワツバメが数羽水面ぎりぎりに飛び交っている。
 右岸の中学校の通学路になっている人道橋は好文橋を渡る。橋の上からクマノミズキやアカメガシワの花が良く見える。下流の礫河原を見下ろすと、遅刻して来た4人(正確に言うと2人は私たちが集合時間より早めに出発した犠牲者)が礫河原に降りてくるのが見える。橋を渡りヤブムラサキの花や蝋梅の実を見つつ、真言宗梅香山大聖院へ。延命地蔵尊に奉納されている古い絵馬の絵が多様でなかなか面白い。
 交通量の多い吉野街道を渡り、関東札所に数えられる名刹即清寺へ。仁王門も本堂も書院も風情があり立派だ。秩父多摩会国立公園の一角を占め、即清寺の裏に吉野山園地と四国八十八箇所の石仏がある。キビタキの声を聞きつつ園地のきれいな休憩所で昼食。実をたくさんつけたナツハゼやアカシデの実、リョウブの花、ラン科のトンボソウ等々を観察。雨上がりで濡れた山道を下り、車道に出ると大きなハルニレが御神木として祀られている。
 好文橋を渡り左岸に戻り、せっかくなので宿泊施設奥多摩路の下にある河原を観察しようと思ったが、利用者以外立ち入りお断りと職員に言われ仕方なく引き返す。河辺は公有地だと思うが、そこに行くルートが私有地で立ち入れないというのがちょっと悔しいが、全国の海岸の半分以上がこれと同じ状況になっており、場所によっては海岸や河原も私有地化されている所もあり不条理感が拭えない。
 カワウ、アオサギ。キジバト、ホトトギス、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、キビタキ、ホオジロ、ガビチョウ。カジカガエルの声。

6月12日 睦橋から五日市線鉄橋までの多摩川右岸
 昨日の雨は多摩川にはまったく影響がない。河原植物調査。この区間にカワラサイコがある場所は数十年前から変わらない。悪く言えば増えない。林と藪の間の中の小径にカワラサイコ46株、高水敷舗装道北側に45株、南側に17株。北側は除草されていずれも丈は10p以下。南側は除草の逃れて直径30pほどの株に育ち花をたくさんつけている。
 野球場の駐車場になぜかあるカワラニガナも大きく育った株が16、
 カワラノギク・プロジェクトが今年3月24日に礫河原で播種したカワラノギクが芽生えた。まだ小さく1pに満たないが、まず間違いないと思われる之が12株、たぶんというのが10株、合計22株がかろうじて確認できた。
 ネムノキの花が咲き始めた。コオニヤンマ(たぶん)。ホトトギスの叫び声がようやく聞かれた。いつもながら植物調査で地面ばかり見ているので、ツバメ等飛ぶ鳥は確認できない。
 ダイサギ、コジュケイ、ホトトギス、ウグイス、オオヨシキリ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

6月2日 府中四谷橋から関戸橋までの多摩川左岸
 夏の日射し。時折曇るとホッとする。河原植物調査。
 堤防法面、小段、高水敷にカワラサイコがべったり。合計すると堤防法面は2211株、小段247株、高水敷3197株、総計5655株。カワラナデシコが法面と小段に8株。京王線鉄橋下流にある府中市民と東京都造成のカワラノギク畑にロゼット35株。
 カワトンボ。
 オオヨシキリ、セッカ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシブトガラス。ひたすら下を見て調査しているので野鳥は声が耳に届くもののみ。低水敷は一面オギ原なのであちこちでオオヨシキリが大騒ぎして縄張りを競っている。

5月27日 大栗川合流点から程久保川合流点までの多摩川右岸
 河原植物調査。関戸橋架替工事が続く。橋のたもとにカワラサイコの小さな群落が昔からあり、今日も37株の健在を確認。それから本堤防を大栗川合流点まで調査。カワラサイコ1215株確認。いくつか花を咲かせている。
 合流点突端から大丸用水堰方面を見ると、先年来堰より下流右岸は立入禁止になっている理由がわかった。かつて広大な高水敷のあった所がすべて増水で削られ河岸断崖しか残っていないからだ。
 折り返して上流へ戻る。ニガナの大群落。堤外地小段にもカワラサイコがたくさんあり、京王線鉄橋から大栗川合流点まで合計2254株あった。
 京王線鉄橋下流高水敷に造られた、中州にあったカワラサイコ、カワラニガナ、カワラノギクの保存用花壇ではカワラサイコ140株、カワラニガナ0株、カワラノギクは小さいブロックに2株、隣の大きなブロックでは10pぐらいに成長した実生が数えきれないほど。丈20p以上に成長しているのは4株。
 鉄橋をくぐりさらに上流へ。堤内地は大規模造成開発中。この工事のための搬入路を一時多摩川高水敷に敷設したが、車輌待避場は錆びた鉄板を剥がしただけの裸地になった。カワラサイコ17株は無事に残されていた。その先の公園ではこの炎天下「市民マラソン」で河川敷と堤防の貸し切り状態で通行が憚られる状態。その手前に、いまでは多摩川で珍しくなったクララが数株生えて花をつけていた。
 それを無視して突き抜け府中四谷橋へ。高水敷が除草されたついでにカワラサイコの群落がある草むらもすべて刈られているが、良く見ると地面に這いつくばって生き延びているカワラサイコが163株あり、その健気な踏ん張りにちょっと涙が出そうになった。
 ダイサギ、キジ、ツバメ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

5月22日 河口より29qから大丸用水堰までの多摩川左岸
 河原植物調査。南多摩駅で下車し是政橋を渡って左岸へ。堤防天端から小段にかけてカワラサイコがあるが、除草された直後で開花株はない。ポプラの木までにカワラサイコ1132株。
 高水敷の公園の低水護岸近くに716株。過去の調査結果から大きな変化はない。
 ここから下流は除草具合と過去の実績からして河原植物はほとんどないので引き返し、南武線鉄橋上流水辺付近で調査。だいぶ草に覆われたが245株健在。
 排水を新橋で渡り府中市郷土の森公園BBQ場上流縁のニセアカシア林が点在する付近で200株カワラサイコを確認した。
 トビ、イワツバメ、オオヨシキリ、セッカ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

5月20日 医王寺〜味の素工場地先の多摩川右岸〜川崎大師
 定例自然観察会。今年度テーマは多摩川付近の寺社。京急大師線「港町」駅南口から南西方向にお寺の大きな屋根が見える。ここが古刹医王寺だ。山門を入り右手に鐘撞堂がある。池の魚や蟹たちは天敵の鷺が鐘の音に驚き寄り付かないで守られていた。ある時近くに火事があり本堂は炎に包まれたが鐘楼は蟹が何百と集まり泡を吹き守った、それ以来ここの蟹の甲羅は赤いという伝説があり、碑が立っている。
 多摩川沿いはスーパー堤防で高層住宅が建ち並んでいる。堤防補強工事の影響もあり河原の植物は単調だ。冷たい強風が吹き潮の満ちる勢いも合わさって水辺は荒立っているがコアジサシがホバリングからの飛び込みで魚を採っている。
 葡萄や梨のオブジェが飾られた河口水門を過ぎると味の素工場の垣根林が続く。マテバシイのなかに泰山木が混じり白く大きな花を咲かせている。低水敷は群落をなすヒルザキツキミソウの花が風に揺れている。除草された地面に蟹の穴がたくさんある。クロベンケイガニの巣だ。
 河川敷は運動場等になっているが、水辺は林となっており、その木々の奧にHLの住宅や畑、花壇などが透けて見える。本紙前号で上野氏が報告しているウラギクがわずかに確認できる水辺を見てから堤防に上がり、川崎大師へ。会でも過去に何度か来たが、養殖海苔の碑や長十郎梨の碑などを見て駅へ向かった。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、コアジサシ。ツバメ、セグロセキレイ、オオヨシキリ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス。

5月15日 日陰沢〜城山〜小仏峠
 国分寺市民による多摩川を歩く会の例会に参加。高尾駅から小仏行きのバスは臨時増発しても満員。帰りのバスは超満員。外国人は見かけなかったが、山頂も大勢の人で賑わっていた。高尾山はもっと大勢だろう。快晴の夏空だが沢道は空気が爽やか。ウグイスやガビチョウの囀りを聞き、シャガやフタリシズカ、マルバウツギ、コゴメバウツギ、ガクウツギ、ミズキ等々の白い花に囲まれた山道をゆったりと登る。山頂近くでエビネとサイハイランを見た。小仏のバス停手前でハナウドやムサシノキスゲの花を見た。
 歩きやすいと言っても、いちおう登山と言えるぐらいの坂道は続き、山頂からは多摩地域はもちろん新宿のビル群や横浜方面も眺められる。霞がかかり富士山は見えなかったが、下方に相模湖が見えた。

5月12日 睦橋下流右岸・秋川合流点

 河原植物調査。2014年12月に約7000株あったカワラニガナはどうなったか。睦橋の補強工事が終了し工事用仮橋撤去作業のため河辺を歩いて下流に行くことができないため、しばし除草したばかりの堤防を歩き、ニセアカシア林を抜けて水辺に向かう踏み跡を行く。ここは高水敷が広くしかも雑草に蔽われており河辺を行くかこの踏み跡を辿る以外にはまず水辺に近づけない。河川環境改善工事後ラジコン飛行場として使われていた広場は草がだいぶ生えてこれでは飛行機が飛ばせないからいまは使っていないのだろうか。とするとこの踏み跡は釣り人のためか?いずれにせよこの際は有り難い踏み跡を辿って造成地に難なく着く。
 オオキンケイギクのお花畑になっているが、カワラニガナが20株。そこから低水敷に下る礫の斜面に213株。低水敷は増水で流失し、秋川合流点付近までの500m弱の礫河原はきれいに洗われている。合流点はツルヨシに蔽われて近づけないがオオヨシキリが2羽競って縄張り宣言をしている。
 帰りは水際ではなくツルヨシ群落沿いを歩く。所々にカワラニガナの小さな群落があり、増水で生き残った株234。これだけでも周囲の環境が良いので大きな増水さえなければ来年にはまた5000株を越えるだろう。
 カワウ、トビ、キジ、ツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ウグイス、オオヨシキリ、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。ほかにも上空を飛んでいたかもしれないが河原植物調査のため足元しか見ていないので不明。

5月6日 友田から羽村堰下橋までの多摩川右岸
 先日、友田で従来の自生地から離れた所でカワラノギクを2株見つけた、と、明治大学農学部の倉本氏に伝えた所、3日に確認しに行った際にさらに別の所で110株ほどあった、との報告を受け、本日見に行った。カワラノギクを初めて見てから45年、倉本氏たちと多摩川でカワラノギクの播種をして20年以上経つが、ここの株を見ていると、これは確実にカワラノギクだと言えるものが少なく、ほぼカワラノギクにちがいないと言えそうなのが83株、これは違うようなあというのが20数株。もう少し成長を見守るしかない。その近くでカワラニガナを追加で14株。
 来たついでに小作堰をさらに下り大多摩観光ゴルフ場地先の礫河原でカワラニガナ4088株確認。BBQの大きなテントが張られており、その下や周囲に200株ほどありそうだ。
 小作堰下流左岸に見慣れない礫河原が遠望できる。阿蘇神社下辺りも少し様子が変だ。後日確認したい。
 羽村市立博物館地先少し下流にヒロハカワラサイコの群落があり、保護策を講じたらイタドリが繁茂してしまった。かろうじて212株確認。そこから約100m下流にかつてカワラノギクの畑があったが、数年前に絶滅。代わりにヒロハカワラサイコの群落ができて247株確認できたことは思わぬ良き置き土産。
 カワトンボが早飛んでいた。ウグイスやチドリの声、カジカガエルの声がよく聞かれた。マルバウツギの花も満開。湿度が低く爽やかな川歩きだった。

5月2日 万願寺地先の多摩川右岸高水敷
 河原植物調査。今日は曇りで時に風があり暑くないが湿度が高い。昨日の続きで、今日は高水敷の調査。府中本宿床止め横から入るが、夏には藪が猛烈で入れない。
 かつてカワラノギクやカワラハハコのあった秘密の花園は礫がすべて草に覆われたが、カワラナデシコが生き残っており214株あった。
 戻って踏み跡を下流へ進むとラジコン飛行場の少し手前左側に河川環境復元造成地があり、カワラヨモギが1株。次いで隣の少し低い造成地ではカワラサイコ177株、カワラヨモギ1株。ラジコン飛行場はカワラサイコ251、カワラヨモギ2株。手でブーメランのように上空に飛ばし小さなモーターを無線で操縦する飛行機を飛ばす人がいた。音がしないので不思議な感覚。
 カワラナデシコのある中間地帯を抜けて下流へ向かうと一時期不法のゴルフ場と化していた高水敷に、数えるのも気が嫌になるほど無数のカワラヨモギ大群落。100単位で数える。約1万株。多摩川ではカワラヨモギが2箇所でしか確認できていないので貴重だ。
 途中踏み跡を辿って低水敷に向かうとカワラサイコ47、カワラヨモギ21、河原名デス子10あったが、礫河原はまったくなくなっていた。
 この一帯の総計は、カワラサイコ1000株(1株ずつ数え偶然のぴったり数)、カワラヨモギ8594株、カワラナデシコ305株。
 カルガモ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、シジュウカラ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。
 今夜から雨予想。晴耕雨読、さあ本業に取り掛かろう。

5月1日 万願寺地先の多摩川右岸
 今日も快晴で真夏日。気温30度。帽子にサングラス。マスクもしたいがどう見ても怪しくなるのでしない。今日は平日なので少年サッカーは休み。保護者がいつも観覧している堤防法面に車椅子用スロープが造られた。もうちょっと上流か下流に造ればと思うほど現場を知らない者の設計だ。
 堤防法面のカワラサイコは総数783株。開花株はまだ少ない。除草期間調整地区のレンリソウが元気で、開花株は32。池の縁にキショウブとノイバラが満開で綺麗。アマドコロも花盛りで開花株は約120。堤防突端から礫河原へ。カワラニガナがかつて数本あったが、見つからなかった。
 河原植物群落がある高水敷は調査が大変なので後日として炎天下歩いてようやく駅に辿り着く。
 セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月30日 友田地先の多摩川右岸
 河原植物調査。今日も真夏日だが風があり湿度低くて爽やか。友田グラウンドから圏央道橋まで下流方向に礫河原を踏査してカワラニガナ合計2299株、カワラノギクの自生地ではカワラノギクが25株元気に育っていた。
 そこから300m弱離れた礫河原にカワラノギクと思える株が2つあり、カワラノギクであったらなぜここに生えたか謎だ。種子が風で飛ばされてきたという可能性はゼロなので誰かが播種したか靴か服に種子をつけて来たか……。
 ところで、カワラニガナ2299株と言っても5年前は2万株を越えていたので、ここでも激減である。ここでも上流部で礫が動いたりシルトが溜まったりといった原因が想定できるが、最近周囲の礫河原を大きく変化させる増水がなく徐々に樹林化しているのg最大の原因と思われる。
 かつての河原植物調査で株数が多くて難儀した箇所のうち3つが終わった。残る最大の群落があるのは万願寺地先だ。遠からず調べなければならない。そこは複数種類あるのでカウンターが欲しい。
 アオサギ、トビ、セグロセキレイ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月29日 羽村堰上流左岸宮ノ下地先の礫河原
 河原植物調査。夏日。昨年の増水で泥を被って影響が心配されたカワラノギクは予想以上に健在だった。数えている途中であまりに多いので100単位のカウントをしたため誤差が大きいという前提で3847株。カワラニガナはグラウンド側の草地に近い所に河辺同様小さめの株が揃っていたが、総計で2380株。5年前は15869株あったので激減。しかし、礫河原がこのまま落ち着けば今年10月頃には5000株ぐらいに回復すると期待できる。
 セグロセキレイ、コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。カジカガエル。

4月28日 河辺地先の多摩川左岸
 河原植物調査。個人宅の庭か多摩川河川敷の一部か曖昧な箇所に日本在来のオドリコソウ群落があったが、ここを管理している人に稀少植物の自覚がなくただの雑草として処理されていたので、一言教えたほうが良いか迷っていた。放っておいたほうがむしろこれまで同様に生き延びられる可能性が高いからだが、ついに1株もなくなった。少し離れた藪に少数残ってはいるが。ここの踏み跡を辿ると礫河原に出る。
 昨年の増水で礫が洗われ、生き残ったカワラニガナの株はいずれも小さい。小さいながらも花をつけたり早種子をつけているものもある。踏み跡より上流のカワラニガナは合計2914株、草がだいぶ茂り、あるいは増水により流れ着いた枯れ枝等の山が各地にある下流は370株。そこから1q弱下流のBBQ場でほぼ裸地化した広場になんと168株のカワラニガナが生き残っていた。BBQは連休初日でまだ3Pしかいなかったが、多いときは20Pほどになる。
 アオサギ、コジュケイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ガビチョウ。カジカガエル。

4月15日 青梅の多摩川と周辺の社寺
 定例自然観察会。今年度のテーマは「多摩川と周辺の社寺めぐり」。横殴りの雨が降っているので不参加とのメールが届くなか、八王子は雨はぱらぱらと落ちる程度。青梅駅に着くと雨はすっかり上がり、天気予報通り暑くなる気配。参加者4名で出発。
 まずは線路際の大きな垂れ桜で有名な梅岩寺へ。今春は桜の開花が全国的に早く、ここでももちろん花はとうに咲き終わり、ハナミズキが色づいている。青梅街道を奥多摩方面にしばし歩き市指定史跡稲葉家に寄り、さらに森下陣屋跡の熊野宮に詣でる。小さな神社だが、裏に生えるシラカシは市内最古木とか。さらに地名の由来になった青梅のある金剛寺を経て、多摩川万年橋上流左岸の礫河原へ。
 雨による増水が心配されたがなんの影響もなく、カワラニガナ22株(2輪開花)を確認。上流の礫河原は昨年秋の増水で動いたので、かつてあったカワラニガナはほとんど流失した。ウグイスの囀りに混じってカジカガエルの鳴き声が聞こえる。カワセミがいたらしい。カワウ、アオサギ、ダイサギが上空を飛び、キジが叫び、ウグイスとシジュウカラが盛んに囀る。春らしい気分に浸る。対岸の河岸断崖でイヌザクラが満開。崖上の屋敷内をタヌキが歩いていたとか。
 万年橋を右岸へ渡るとお囃子の音が間近に聞こえる。吉野街道に山車が2台集結していた。街道を下流方向に進むと左に壽香寺がある。きれいに整備・清掃されて禅寺の雰囲気。それもその筈、曹洞宗のお寺。参拝や墓参りには良いが自然観察向きではない。
 街道を横断し坂道を南へ登ると駒木野神社に着く。階段がきついが、上から市内がよく見渡せる。女坂を下ると、チゴユリ、イチリンソウ、クサイチゴの大きな白い花が満開。ここはカラスノエンドウよりスズメノエンドウのほうが多い。書き忘れたが駒木野神社に向かう途中の石垣に日本在来のイヌフグリが数株生えていた。
 吉野街道を再び横断し多摩川の河畔林を残した釜の淵公園で昼食をとったあと、園内散策。ホウチャクソウ、ニリンソウ、マムシグサ、フデリンドウなどの花、ウバユリの葉、鮎美橋を渡り左岸では日本在来のオドリコソウが藪のなかでひっそりと咲いている。最後は青梅旧市街にある住吉神社を参拝、ツバメが泥を運んで巣作りに励む青梅駅にて解散。
 それにしても今日は暑かった。夏ももうすぐそこ、という気分。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、トビ、オオタカ(駅から上空を見る)、キジ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、ツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ホオジロ、アオジ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

4月5日 長淵の多摩川右岸
 河原植物調査の第2回。2013年の調査ではカワラニガナが1704株あった。
 ここに来たら必ず買う辛口ジンジャエール100円を駅近くの自販機で得たあと、川へ。下奥多摩橋脇の階段を下り、夏にはツルヨシに覆われまったく通行できないルートをいまは踏み跡を辿って進む。
 10年ほど前に行われた河川改修に伴う造成地は、この時期には小砂利が見えてカワラニガナが広く分布していることを期待させるが、河川敷を隈無く歩いて探しても見つからない。中央にある小径の下流に去年まで群落が確認できたので期待したが、なんと1株も見つからない! 夏には草茫々になるのでもはやカワラニガナは生えられないのかもしれない。
 がっかりしているところで上空に何か列をなして飛んで来るのを見たらオスプレイだった。離着陸の騒音はすさまじいらしいが、上空を飛んでいるだけだといつものヘリや輸送機よりはるかに静かだ。デモンストレーションのためかわざわざもう1周して横田基地へ下りて行った。
 ウグイスが数羽囀っていたが、他の野鳥はカワウ以外にいなかった。

4月1日 青梅万年橋上流1q右岸
 2013/14年度に実施した多摩川の河原植物一斉調査から5年が経つので、今年度と来年度にその追跡調査を行う。前回は多摩川全域(日原川合流点より下流)を隈無く調査したが、人員と暇が足りないので、今回は重点地区を複数回調査することにした。調査対象はカワラノギク、カワラニガナ、カワラハハコ、カワラサイコ、ヒロハカワラサイコ、カワラナデシコ、カワラケツメイ、カワラヨモギで、もちろんついでに他の特筆すべき生物も記録する。幸い、公益財団法人とうきゅう環境財団より一部条件付き(報告書出版費削除)で採択されるとの内示も得た。
 年度初めの調査開始はカワラニガナの大群落があった万年橋上流約1qの右岸の礫河原。万年橋のすぐ上流左岸の礫河原にむかしからカワラニガナがあったが、ここは増水のたびにその数が上下していた。が、ゼロにはならなかった。2013年12月25日にその上流右岸に広がる礫河原を調査したところ、約4500株のカワラニガナが確認された。左岸のカワラニガナの種子供給源はこの右岸の大群落だと思われる。
 そこで今日の調査結果だが、期待通り、約4500株のカワラニガナが確認できた。あまりに多いので1株単位ではなく100株単位で数えたので誤差が大きいと思われるが、目算では2013年以来の群落が維持されていると見える。群落があるところはBBQ場になっているので行楽シーズンにはかなり踏みつけられる恐れがあるが、行楽客が来ないと藪が茂りカワラニガナが衰退するので仕方がない。低水域は増水の影響をもろに受けて植物が定着できない。事実、今日の調査でも定数域には1株も確認できなかった。川に出る小径の上流で5株あったが、他はすべて下流側の一段高いところに群落が集中している。
 河岸断崖に咲くヤマザクラが赤くソメイヨシノと並んで咲いて美しい。
 カワウ、カルガモ、イカルチドリ。トビ、イワツバメ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ハシブトガラス。