多摩川の自然のニュース:2017年10月〜12月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

2018年1月〜3月
2017年7月〜9月
扉のページに戻る


12月29日 高月から滝ヶ原運動場までの秋川・多摩川右岸と滝山城跡
 高月から滝ヶ原までの秋川・多摩川合流点付近は田畑が広がり良い田園風景が残る。この辺は野鳥観察のメッカと言われるが今日はお休みかオオバンとセグロカモメ、カワウ、ダイサギ、トビ、ハシブトガラスしかいない。相変わらずラジコン飛行機が上空を舞う。
 昭和用水堰上流の河川敷で畑を作っている。堰下のグランドキャニオンも相変わらず。
 睦橋上流の礫河原再生で掘った砂利を撒いたはずだが工事前と同じ光景。堰中央から下流方向に礫河原が広く広がってはいるが、堰崩壊の防御にはなっていない。小川を渡り滝山城跡に登る。ハイカーが数人。展望台から昭和用水堰を見下ろす。ふと遠望の住宅地の先に目をやると低山の奧に雪山が見える。カメラでは写らないが双眼鏡で見ると浅間山が見えた。

12月27日 多摩川原橋から上河原堰下流1qの多摩川右岸
 多摩川原橋上流側にある水道橋の橋脚工事が計画されているが、左岸下流高水敷でブロックヤードが造られた段階で本体工事はまだ。水辺にカワヂシャ等の稀少植物があるので保護策をと尋ねられ、水辺は増水等での攪乱が激しいので自然に委ねるしかないと答えたが、実際秋の増水と冬の水涸れで水辺は干上がっており来春芽が出るかはその時になってみないとわからない。
 右岸下流の礫河原も多摩川全体と同様砂が大量に溜まっている。京王相模原線鉄橋上流はオオバンのみ。上河原堰上流の湛水域では数種類のカモが休んでいる。高水敷のニセアカシアの枝にモズがたびたび止まって餌を探している。
 カイツブリ、カワウ、ダコサギ、アオサギ、オオバン、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ミコアイサ♀、キンクロハジロ、ユリカモメ、セグロカモメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、モズ、ツグミ、スズメ。
 多摩川原橋を右岸に戻り下流方向に行くに、車道はトラック等がガードレールぎりぎりを走り危なくて歩けないし、ガードレールをまたぐには高さがある。ガードレールとフェンスの間の隙間は10pぐらいしかなくさすがに腿も脛も入らない。思い切り足を上げてガードレールをまたぐしかない。車道が歩けない以上、せめて1人通れるぐらいの隙間を設けて欲しい。車道は上下車線でいっぱいで歩行者が車道を歩いたら車は片側通れない。このガードレールは数キロに亘り切れ目がなく、多摩川と住宅地を堤防道路が完全に分断している。しかもこれがもう50年近く続いている。

12月25日 宿河原堰右岸
 せせらぎ館で多摩川機能区分検討会が開かれたので、ついでに堰上下流のカモたちを観察した。冷たい北風が強く波が立っている。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ユリカモメ、セグロカモメ。
 検討会は、これまで多摩川流域委員会の分科会だったが、流域委員会が廃止になったために独立の組織となった。おもに自然生態系保持空間の調査・検討を行う。今日は組織改編後最初の会合なので、多摩川の現状把握、礫河原再生事業モニタリング結果報告、今後の大まかな方針の確認をするにとどまった。

12月23日 永田地区と永田橋から多摩橋手前までの多摩川右岸
 カワラノギクプロジェクト。種子採取。この地区のカワラノギクの開花株が年々減少しているが、永田橋付近に分布が移動している。A工区は開花株7で絶滅寸前。
 作業後総会を開き、来年の活動方針を決めた。
 解散後、永田橋から水辺に沿って多摩橋近くの新堤防手前約100mまで歩いてカワラノギク等の調査をしたが、何も見つからなかった。ツルヨシ群落をかき分け踏み分けてもう一息というところで池に両脚ごと落ちた。ここに池と水路があることは過去にも足を突っ込んだのでわかっていたが、それでも子どもの頃良く作った落とし穴のようにきれいにヨシが並んでいる上を踏み抜いた。永田橋まで引き返す途中、近道をしようとして丈3m以上のオギ原に入り突破するのに一大苦労、おまけにセンダングサやセイヨウヌスビトハギ等の種子が服や靴紐に目一杯付き、剥がすのに30分以上かかった。
 カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、カルガモ、トビ、キジ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、スズメ、ハシブトガラス。

12月17日 矢川緑道〜ママ下湧水〜府中用水〜中央高速道橋から立日橋までの多摩川右岸
 定例自然観察会。土木遺蹟として府中用水とその一部谷保堰を見ることが年間テーマのもとでの目的だが、まずは南武線矢川駅から立川方面に歩き踏切を渡って国立第六小学校裏を経て矢川へ。途中あった畑にミミズクとタカの案山子が立っていた。風のためかときどき首が回ってリアル感増す。
 矢川は矢のように流れる川という語源を持つようだが、たしかに水量が豊富でしかも流速が速い。水は透明で湧水を水源とするだけのことはある。カルガモがたくさん居て近づいても逃げないのは餌やりでもしているのだろう。小学校の敷地の一部となっている小さな遊水地を経て用水はさらに住宅地や畑の間を抜けて流れ滝野川学園の敷地内に入る。
 甲州街道を通って段丘の坂を下りるとママ下湧水公園に着く。すぐ近くに水源があり、豊富で温かい水で掘りたての大根を洗っている農家の人やサトイモを洗っている人、さらに金魚鉢に入れるため水汲みに来た人など、用水としての機能を現役で果たしてる。湧水の流れに沿って下流に向かうと滝野川学園を抜けて来た矢川と並行して流れ、府中用水にともに注ぎ込む。ここは3つの流れの合流点となっている。水の中では小魚や少し大きめの魚が泳いでいる。
 用水を遡ると府中用水の別の流れに着く。谷保堰という少々複雑な構造の堰がある。ここを遡り、立入禁止区域を眺めて車道を進むと多摩川の堤防に出る。
 中央高速道橋のたもと。サッカーをする少年、サイクリングや散歩の人などで賑わっている。北風が強くて寒くトイレの存在が有り難い。遠くに丹沢山塊や奥多摩連山が良く見える。富士山は地吹雪で南半分が烟っている。緑川用水の排出口で北風を除けるとぽかぽか天気で暖かい。ハクセキレイやカワセミが近くに飛んでくる。近くのエノキの林でパチパチと音がするので見るとイカルの群がエノキの実を太い嘴で割って食べている音だった。ほかに鵯やシジュウカラ、スズメ、ツグミ、アオサギなども来て野鳥の食堂となっている。
 根川と多摩川の合流点は現在護岸と水門工事中で立ち入れない。住宅地を抜けて立川球場横に至る道にいろいろな石碑が立っている。根川を渡る吊り橋は貝殻橋と言い、かつて海だった頃の蛤の貝殻がたくさん採れたことから名づけられた貝殻坂に因んでいるらしい。日野橋をくぐり、北風が強く吹く高堤防を立日橋まで歩く。水辺ではコガモ、ヒドリガモ、オオバンの群が見られる。
 予定では立川で忘年お茶会を予定していたが、土日休日いつでもがら空きながら明るいカフェを併設する立川駅ビルのパン屋が廃業していたので中止、帰路6人でエキナカのカフェで休憩して解散。
 カワウ、アオサギ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、カワセミ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ツグミ、シジュウカラ、イカル、スズメ、ハシブトガラス。

12月12日 大丸用水堰から是政橋までの多摩川両岸
 南武線南多摩駅前から是政橋までの周辺は昔の面影ゼロで無機の人工島に来たみたいだ。是政橋下流は野鳥の姿が見えないが、上流は大丸用水堰があるため、コサギとカワウの大群のほか、ダイサギ、コガモ、オオバンがあちこちに見られる。河岸沿いの木々にヒヨドリの群れ。大丸用水堰から大栗川合流点へはフェンスで塞がれ通行禁止。増水の度に岸辺が削られ高水敷の幅が徐々に狭まっているが危険というほどではないから治安上の問題かもしれない。
 戻って是政橋を渡る。左岸の橋の付け根にクララの大群落がある。多摩川でクララがあるのはいまやここぐらい。いつ除草されるかわからない。堤外地(川側)ならば河川管理者(京浜河川事務所)に保護してもらえるが堤内地側なので市の占用地かもしれない。高水敷では緊急時用道路整備が進み、排水路に架かる橋が2つ造られている。南武線等の鉄橋付近は、かつては河原植物がたくさん生えていたが、増水のたびに砂が溜まり、夏には立ち入れない藪になった。
 遠くに富士山が見える。遠望では真っ白だが双眼鏡で見ると稜線の雪が溶けている。

12月10日 下奥多摩橋から長淵の多摩川右岸
 東青梅駅から河岸断崖を下る道の脇にとてつもなく大きなバイパス車道が造られつつある。少し先に立派な車道が別にさらにあるのに。古くは山野草も見られた雑木林の斜面は見る影もない。下奥多摩橋から河原に降りたら、カワセミとカイツブリが逃げていった。申し訳ない。橋の上流部は、増水時に被った水が退いたあとに腐って河原一面がドブ臭い。橋の下流はここ数年夏には通り抜けられないツルヨシ群落が冬枯れで通行可能。増水で大量の砂が堆積している。かつてはカワラニガナの大群落があったがいまはこの砂が流れでない限り復元不可能。
 一段高い造成地も増水の影響が受けるよしもなくコセンダングサがびっしり覆っている。長淵プール(夏も使われていない)付近は河川工事情報にあった通り堤防工事中。河原に出られる道は確保してある。水辺を見ると、カイツブリが3羽、そこから少し下流でホシハジロが3羽、水面を出たり入ったりして食事をしている。日射しは温かく、人影はなく静かで、気持ちが良い。対岸の断崖ぎりぎりに聳えるマンションさえなければ。

11月27日 浅川長沼橋〜多摩川・浅川合流点〜京王線鉄橋右岸
 本業で土日出勤が重なり、今月の自然観察会も参加できなかったが、ようやく休日と晴れの日が重なり、自転車で万願寺地先から京王線鉄橋まで往復した。自宅から浅川左岸の堤防に沿って走り万願寺地先まで45分。浅川は両岸とも護岸工事や堤防天端整備工事が延々と続き、来年3月末まで立入禁止区域だらけ。散策その他の利用者が多いのに金属フェンスで長期間川辺に近づけなくても問題とされないのは意見を言う住民が少ないためか、多摩川と異なりすぐ脇に車の少ない生活道路がずっと続いていて日常の不便を感じないためか。いずれにせよ当分忍従の日々が続きそうだ。冬は遠くに丹沢や奥多摩の山々がよく見えて清々しい気分が味わえるのに残念。
 日野市クリーンセンター前の池ではオオバンが騒いでいる。その前の堤防法面の在来植生調査区域はいまやセンダングサとクズで覆われているので、除草をお願いしよう。堤防先端から低水敷に下りて、増水後の状況を視察。せっかくの増水なのに草が流れず、泥水を浴びて泥が溜まっただけで、来春以降河原植物の生育は期待薄だ。
 浅川の堤防に出て高幡橋を右岸に渡り、程久保川を経て多摩川右岸へ。京王線鉄橋直上流の堤内地の大規模造成工事のためダンプカーが多摩川高水敷を走っている。高水敷の一宮公園の利用率が高いため、搬入路の所々に横断箇所が設けられているのは良心的措置。カワラサイコの群生地も工事区域から外されており、交通整理員も多く、全体として良心的な工事だと思われる。
 自転車で行くとあちこちの移動が便利だが、野鳥や足元の植物に目が至らず、ダイサギ、アオサギ、オオバン、トビ、ジョウビタキを確認できただけだった。

11月7日 友田の多摩川右岸
 カワラノギクの唯一の自生地は先の台風による増水でも何ら影響を受けないほどいまは藪に覆われているが、周辺は増水で藪が消失しただろうと期待して行った。
 が、結論を先に言えば、驚くほどこの周辺は何の影響も見られない。大きな礫河原の中間に十年ほど前の増水で大きな流路が出来たが、そこに生える草もほとんど流失していない。ちょっと水が溜まった程度と思われる。羽村堰上流はそこそこ増水の跡が見られるが、ここは何故こんなにも増水の影響がないのだろうか。対岸の水際も草が生い茂り増水の跡が全然見られない。左岸にある細い水路跡を増水が直進したのかもしれない。後日見に行こう。と言うわけで、カワラノギクは開花株が9、ロゼットが22あり、コセンダングサの猛攻撃の中頑張って生き残っている。開花株は永田地区と比べると丈がかなり小さく、環境の厳しさが窺われる。
 小作堰下流の中州にある樹木もほとんど流失していない。下流の中州の上流端が若干冠水しただけのようだ。この中州のカワラノギクの生存を確認したいが、まだ増水しており徒渉は困難だ。

10月30日 睦橋から五日市線鉄橋下流の多摩川右岸
 五日市線鉄橋下流右岸の河原にカワラノギク・プロジェクトがこの3月にカワラノギクを播種し、9月にその実生が約50株見られた箇所を見に行った。
 多摩川はまだかなり増水しているが、羽村取水堰の柴堰が復旧しない限り水量はさほど減らないだろう。福生市南公園地先、睦橋下流左岸の礫河原も冠水、カワラニガナはほぼ流失したと思われる。後日水がひいたら見に行こう。ニワウルシの実が白くびっしりとついて満開の桜のように見える。
 五日市線鉄橋脇から礫河原に出る。礫が洗われてきれいだ。その脇にあるカワラノギク播種地は水が溜まり池になっていた。ここはかつては草が生えていたが、のちに不法ゴルフ場として整備され、2年ぐらい前の増水でそれが削られ窪地になっていた。そこにカワラノギクを播種したわけで、増水で流失ないし池となって水没することは想定内で驚かない。五日市線鉄橋から睦橋の間の礫河原は増水のたびに完全に水没するので、この区間に植物を育てようとしても2年ともたないことは明らかだった。
 台風一過の秋晴れだが、強風は残っており橋の上を歩くのも必死。それでも八高線は行きも帰りも普段通りの運行だった。

10月24日 永田橋から羽村堰上流公園地先までの多摩川両岸
 台風による大雨で増水した多摩川の様子は京浜河川事務所のライブカメラで概略わかるが、福生市のIさんが昨日撮ったかに坂公園から増水の様子が凄まじく、河原植物はどうなったか心配した。結論的に言うと、泥水を被ってはいるものの根こそぎ流失していないというところ。
 永田橋から左岸の遊歩道から永田地区を見ると、礫河原が出ており、生えている植物の様子からして冠水したものの全体的に流失していないことがわかる。双眼鏡で見るとカワラノギクはまばらにしか咲いていない。あとで現地を歩いたが、増水・冠水とは関係なく、今年はカワラノギクの開花株が非常に少ない。羽村堰は柴堰が撤去されているため濁流が葛飾北斎の絵のように巻き上がり凄まじい勢い。
 堰上流の礫河原で播種され現在は自然分布しているカワラノギク群落も半分以上が泥水を浴びたものの根を張り花をつけ、ロゼットも多数残っている。泥がだいぶ溜まり、来年以降の生育がいささか心配だ。堰まで戻り人道橋を渡って右岸へ。オニグルミの実をたくさん拾って持ち帰る人とすれ違う。
 永田地区に入る小径は約30mぐらい冠水している。深い所は50p弱ありそうだが、径の縁を歩けば難なく通過できる。A工区は先日行った除草と通称「ツルハシ隊」の活躍で辺り一帯さっぱりしているが、カワラノギクの開花株は7、ロゼットは6で、先行き危うい。下流に向かい礫河原に出る。堰上流と同様植物は泥水を浴びているが流失はしていない。それにしても、上述のように、増水等があってもなくても今年はカワラノギクの開花が非常に少ない。夏の気候のためとも考えられるが、羽村堰上流の群落はたくさん開花しているから、他の要因があるのだろう。堤防法面は、ナンテンハギ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、アキカラマツなどが咲いている。
 ダイサギ、アオサギ、トビ、キジ、コジュケイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、オナガ、ハシブトガラス。

10月21日 京王線鉄橋から程久保川までの多摩川右岸
 連日の雨でカワラノギクを見に行けない。京王線鉄橋付近で東京都が保全用に育てているカワラノギクは満開。地味が良いのでひときわ元気が良い。
 ところで降りしきる雨にも拘わらず多摩川に来たのはこれを見るためではなく、京王線鉄橋上流右岸の堤内地を宅地その他に造成し併せてスーパー堤防化する工事のための土砂搬入路として多摩川河川敷を使用する計画について自然環境への影響に関し現地確認をするため。カワラサイコが予定地近くにあるが、搬入路にはかからないことがわかりちょっと安心。コンサルタント会社が立てる環境配慮計画を現場の工事担当者がどこまで認識し遵守するかが問題。
 府中四谷橋周辺でヒメアマツバメが20羽ほど舞っていた。雨で増水している。高圧線にカワウがびっしりついている。

10月15日 日野駅〜日野用水〜多摩川右岸日野用水堰
 定例自然観察会。年間テーマの土木遺産として、今年開削450年を迎えた日野用水を視察。ずっと雨で昼食をとる場所がないので昼過ぎに解散。
 日野駅前に流れている用水を見て、明治期に長沼の煉瓦工場で造ったという煉瓦を使った中央線の下をくぐるトンネルを見る。そこから用水を上流へたどる。商店街や住宅、畑などをぬって時に広く時に狭くあるいは一部暗渠となって滔々と流れる用水。カナダモの1cmに満たない小さな白い花がゴミと紛れて可憐に咲いている。栄四丁目の信号から右に入り少し行くと別の用水路に着く。こちらは用水が屋敷の南側を流れているので庭や生け垣と合わせてうまく利用されている。
 しばらく行くと田や畑に沿って流れており、所々に分水のための柵板を差し込む仕掛けが作られている。用水の周りにホトケノザやタネツケバナ、キツネアザミなどの春の花やジュズダマなどが咲いている一方でユウガギクが咲き、刈った稲が干してあったりといろいろ楽しめる。
 東光寺では地域のお囃子が演奏され、小さな子どもが仮面をつけて踊っている。このお寺の境内にはいろいろなものが祀られており、ボケ防止の観音様も立っている。そこから少し北へ歩くとさらに別の用水(下堀)があり、目の前に多摩川の堤防が見える。このコースは春に歩いたらまた別の植物がたくさん見られて楽しそうだ。
 フェンスをクズとアレチウリがびっしりと覆っている谷地川を経てふたたび多摩川の土手へ。天端が新たに舗装され縁に芝が植えられている。堤防越水の際に天端が舗装されているほうが崩落が少し遅れるとの理由で全国的に堤防舗装が始まったが、そうとう怪しい理屈で検証不十分と思われる。下水処理水放出路にカモが十数羽集まっていた。カルガモ以外に一回り小さいカモがいるが遠くて判別不能。大きさからしてヒドリガモかコガモだろう。
 多摩大橋から低水敷に出る。カワラケツメイが数百株黄色の小さな花と真っ黒の鞘を同時につけている。土丹が少し露出している所でカワラニガナ15株あった。近くにカワラバッタも。雨が降っているのですぐに捕まる。せせらぎ≠越えて八高線鉄橋へ。先日は自転車を引きずっていたので見落としたがカワラケツメイが以前と変わらず見られて安心した。
 日野用水堰上流にいつもカイツブリがいるが今日は見られずオオバンが1羽いただけ。ボーッと見ていたら、中州から1羽の鳩大の鳥がほとんど羽ばたきもせずに真っ直ぐに飛んできたかと思うとキジバトを追ってUターン。一瞬だったので種類はわからないが茶色のタカだった。

10月10日 谷地川合流点から日野用水堰までの多摩川右岸
 自宅から自転車で30分、多摩大橋から下流方向に延びる中州(人工清流で分断されているので中州と言える)のかなり奧まで行ったことがあるが、さらに中央線鉄橋方向に長くのびる踏み跡を辿るのは久しぶり。今回は自転車で来たのでずんずん奧へ。最後は藪が厚くなって折り返した。自転車は快適だが小さな野草を見つけるのは難しい。
 多摩大橋上流に広がる造成された低水敷にカワラケツメイが、昨年はかなり数多く見られたが、今年はかなり減った。橋の近くに残っているが、上流方向は夏の乾燥のためか見つからなかった。せせらぎ≠渡り堤防に沿った作業用道路を八高線鉄橋まで進むと所々にカワラケツメイが見られる。せせらぎ℃謔闢れ口にまとまった株があったが、いまは2、3株あるだけ。
 堤防上は舗装道路が整備された。この程度の舗装で4ヶ月も通行止めにする必要があるのか疑問だ。日野用水堰上流の右岸の藪が茂りカモなどが隠れ棲んでいる箇所が見えにくくなった。モズがキイキイと鳴いている。水辺でイカルチドリが飛び立った。

10月8日 程久保川合流点から京王線鉄橋下流の多摩川右岸
 京王線鉄橋上流右岸にある、もと雑木林いま駐車場のかなり広い区画全体がスーパー堤防の住宅地になる計画が進み、工事用資材搬入路として多摩川河川敷を使うとのことで、現地調査をした。
 百草園駅から程久保川に出て合流点に着いてビックリ(正直に言うと、予想通りであまり驚かなかった)。かねて造成されていた花壇で花が満開、こぼれた(?)種子が下流方向まで広がっている。
 モズの高鳴きを聞きつつ、少年野球場と化した市民ひろばを見つつ、府中四谷橋をくぐる。ここにカワラサイコが生き残っていたが、本日も無事に8株見つけられた。そこから100mほど下流に300株ほどカワラサイコがあった所は背丈1mぐらいの草原となった。
 どこかの団体や保育園の運動会など、河川敷にある一宮公園では大勢の市民で賑わっている。工事用搬入路が出来ると市民と河川敷は半年以上分断される。河川環境を「空き地」程度にしか考えない人が行政の中でもまだ大勢いるのだろう。
 それにしても残暑が厳しい。京王線鉄橋に近い所にカワラサイコが大1+小2、さらに大23、そして大1と葉を広げている。堤防を上がる仮スロープ工事がこれらの群落にかからないか、計画書のアバウトな地図ではわからない。堤防法面の南側はスーパー堤防のためすべて埋もれてしまうだろう。
 鉄橋を過ぎるとすぐに関戸橋架け替え工事のため都が明治大学農学部の助言を受けて造ったカワラノギクの畑≠ェあり、元気に育った15株がすでに開花していた。ほかに、カワラニガナ2株、カワラサイコ30株ほどが育っている。自生のカワラケツメイを探そうと思ったが藪がひどくて探せなかった。と、すぐ近くの上空をドローンが飛んでいた。さっきからボーッと突っ立ている人が操っていたのか。多摩川河川敷はドローン禁止だと思うが。

10月1日 多摩川永田地区
 カワラノギク・プロジェクトの公開除草作業。9月18日は大雨の影響で中止・順延となり、本日快晴のもとで気持ちよく作業を進めることができた。
 6月に除草した効果があり、除草しやすく、2時間弱ですっかりきれいになった。種子供給源となるべきカワラノギクの開花株が10株ほどしかないのが気になるが、無事に種子落下・定着することを願うばかり。参加者は京浜河川事務所職員が最も多く、福生市職員2名、明治大学2名、市民は3名にとどまった。
 現地までの堤防法面はツリガネニンジン、ナンテンハギ、アキカラマツが満開。堤防天端にヒロハカワラサイコが5株生き残っている。高水敷に「イノシシ注意」の看板あり。イノシシが多摩川で棲息していることは良いニュース。