多摩川の自然のニュース:2014年10月〜12月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。


2015年1月〜3月
2014年7月〜9月
2014年4月〜6月

2014年1月〜3月

12月26日 睦橋下流右岸〜秋川合流点
 葦等が冬枯れてようやく藪を突破できる季節となった。睦橋から水辺の礫河原を歩き、礫が一旦途切れた所で少し高い草地に上がると、ラジコン飛行場らしき広場がある。そこを抜けて礫と草が半々ぐらいの平地にカワラニガナがたくさん生えている。745+789+354+371+213株。コセンダングサの大群落に悩まされつつさらに下流へ。草の間にもカワラニガナがあり、推定100。そこから一段低地に密生しているツルヨシ群落を強行突破して広大な礫河原へ。そこから秋川合流点までかつてカワラニガナの大群落地だったが、いまも健在だった。黒紫色の葉を茂らせた株が無数に広がる。最初は1株ずつ数えていたが、そのうち10株ずつ、さらには100株ずつで数えて約7000株。最初にカワラニガナを確認した地点まで戻り、さらに水辺に近い礫河原を歩く。さらに500株ほどの群落があった。この区域のカワラニガナは約15000株で誤差500ぐらい。とにかくもカワラニガナ群落が無事でなによりだった。
 ダイサギ、トビ、セグロセキレイ。足元ばかり見ていたので野鳥は???

12月23日 永田橋上下流右岸
 カワラノギク・プロジェクトによるカワラノギク種子採取。永田地区C〜D工区にて1株につき5球を各自6株より種子採取。大増水で地区一帯のカワラノギクが流失した場合の保険のため。終了後、A工区のカワラノギク保全地区を見ながら、市民の会の総会を開き、2015年はA工区の除草を3回6、7、9月に実施、そして開花調査と種子採取を行うことを決めた。またA工区の保全方法について協議した。
 会終了後、永田橋下流の河川工事を見に行く。計画では搬入路にかかることになっていたカワラノギクのロゼットが無事であることを確認。さらに下流でカワラノギクやカワラニガナの現存も確認できた。
 カワウ、ノスリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、エナガ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。

11月25日 関戸橋周辺
 関戸橋の架け替え工事が予定されており、まずは測量のための除草が近日行われる。周辺の自然生態調査はすでになされており、環境対策はそれぞれの分野の専門家と相談して決めている由。今後の具体的な進め方について現地で説明を受けた。瀬替えは中州中央の旧河道を利用して流す計画とのことで稀少河原植物群落地を直撃することは必須で、その対応は今後さらに協議することにした。この工事は約15年かかるそうで、詳細な工事区域等は毎年少しずつ決められるゆえいま個別具体的な対策を決めても仕方のない面があるからだ。
 ついでに左岸のカワラノギクの様子を見に行った。花壇は33株。ロゼットが1本もないのがこの花壇の特徴。下流の植栽地は分布が少し広がり、個体数も53と大幅に増えた。いずれも種子をたくさんつけている。ただし、周囲は草地なのでそう広く分布することはないと思われる。その少し上流の低水敷にカワラノギクが93株広く分布している。カワラノギクの生育に適した礫河原なので今後さらに広がると思われるが、増水時に冠水した跡も見られるので、増水の程度によっては全滅する恐れもある。

11月23日 小作堰下中州
 今回は用水の水量が少ないのか、側壁の痛みが深くなって水漏れが増えたのか、用水脇を濡れずに歩けた。去年と同じ高台まで踏み跡が続き、やはりそこから先は踏み跡がない。覚悟を決めて猛烈な藪漕ぎ。去年は1時間かかったが、今年は40分で済んだ。カワラノギクの開花期は過ぎて種子だけだが、下流の個体群が24、上流平地個体群が54、少し高台にある個体群が32、合計110株あった。草がだいぶ茂っているが去年と比べてさほど減った感じはない。しかし、去年の記録を見て唖然とした。下流の個体群が407、上流個体群が536とある。一桁違う。幸いロゼットがいくつかあるし、裸地も若干あるので来年も消滅することはないと思うが、衰退傾向にあるのは確かかもしれない。
 ダイサギ、アオサギ、カルガモ。

11月16日 睦橋から五日市線鉄橋までの多摩川右岸
 定例自然観察会。秋晴れというか初冬の空。富士山は霞んで微かにしか見えないが丹沢山塊から奥多摩の山並みが拝島駅から良く見える。
 睦橋から今年度の主題である土手歩き。もっとも堤防天端は少年野球関係者が多く見るべき自然もないので、川側の高水敷内遊歩道に沿って上流へ。ところどころカワラサイコの群落や冬枯れたブタナの種子などなど。カントウタンポポが咲いていた。遊歩道右脇は種子をいっぱい付けたコセンダングサの大群落で一歩も踏み込めない。
 野球場脇の駐車場の縁にカワラニガナが1株。駐車場の小砂利を河原と間違えたのだろうか。
 河原に出るとここも猛烈なコセンダングサ。衣服に種子を付けずに歩くなどまったく不可能。なんとかコセンダングサの少ない所を縫って礫だけの河原に着き昼食。近くにいくつか花を咲かせたカワラニガナがある。カワラバッタも見られる。帰りは礫だけの河原を通ってふたたび堤防へ。
 睦橋上流に点在する池のいくつかは水が減ってゴミ捨て場同然。釣り堀になっている池の近くでカワセミ。
 睦橋は耐震補強工事が始まる所で下草が刈られている。そこにもカワラニガナが1株。
 橋から下流方向に続く水路跡を辿って池まで行ったが、特記すべきものはなかった。
 ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、キジバト、カワセミ、コゲラ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ウグイス、シジュウカラ、エナガ、アオジ、ハシブトガラス。

11月9日 相模川左岸神沢不動尊地先
 天気予報は午後から雨だったが自宅付近はすでに本降り。ところが現地は明るい曇り空で、昼には一時期太陽が照った。国分寺市民の多摩川を歩く会の人たちとカワラノギクとカワラハハコを見に行った。
 耕作地のカワラノギクは昨年より数が少なく花も元気が足りないように見えたが、礫河原には昨年よりもかなり広範囲に広がっている。礫河原の水辺付近は増水で水が被った跡があるが、カワラハハコも昨年同期より数倍増え、場所によっては一面カワラハハコで覆われている所もあった。ここのカワラノギクは、多摩川で見るものよりも花の色が濃いものが多い。
 車道跡を辿って下流に進むとさらに下に堰があるのか湖のように水面が広がり、周囲の林も湖畔の雰囲気。
 他にカワラサイコがあったが、カワラニガナはなかった。
 カワウ、アオサギ、コガモ、キジ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

11月9日 関戸橋上流中州
 相模川行が早く終わり雨も降らず長靴を履いてもいるので、多忙でなかなか行けなかった関戸橋上流中州へ。カワラノギクの開花個体はトータルで50。昨年まとまって咲いていた草むらに今年はたった5株。その他はあちこちに散らばって咲いており、来年度以降の分布を考えると良い傾向かもしれない。増水で冠水したせいたカワラニガナは激減した。

11月9日 片倉
 自宅近くのクズが茂っている所でカンタンが2匹、低音でルルルルと名演奏を繰り広げていた。

11月2日 圏央道橋右岸から永田橋左岸
 多摩川唯一のカワラノギク自生地が私的遊歩道で荒らされ危機的状況。開花18、ロゼット10だが、何らかの対策が必要。羽村堰上流左岸の礫河原には人為播種されたものが自然分布し、開花414+24株。群落から少し離れた所に1本ある株の丈は130p。堰下橋を渡って右岸へ。市民の会の花壇はだいぶ寂れた感じだが187株開花。そこから少し上流の窪地は草が茂って絶滅したと思ったが2株開花。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、イカルチドリ、キジバト、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、スズメ、ハシブトガラス。


10月27日 立日橋直上流右岸
 橋脚工事のため、カワラニガナの小群落を守る対策を京浜河川事務所および施工業者と打ち合わせ。しかし小群落は消滅していた。代わりに京浜のK氏に教えられた藪の置くの砂礫広場にカワラニガナがなんと358株もあった。何らかの仕方で保護し工事後に復元できる措置を施す予定。
 ついでに、浅川合流点まで歩く。立日橋と日野橋の間の河川敷にあった林がユンボで伐採されつつある。これも護岸工事のためらしい。その他は大きな変化なし。カワラケツメイは19株しか見つけられなかった。
堤防のり面は冬前に除草してもらう予定。そうしないと来春の日本在来植生の芽生えが悪い。
 アオサギ、トビ、モズ、ジョウビタキが目立った。

10月26日 永田地区および永田橋下流右岸
 カワラノギク・プロジェクト。開花個体数調査。除草の時もこれぐらい参加者がいたらと思わせる50人以上の参加者。相模川でカワラノギクを育てているグループ約10名も参加。
 永田C工区から永田橋までの25mメッシュ25箇所の調査(半径2m)で、数えた株数は開花個体が924、ロゼットが4812、ミックスが132。辺り一面カワラノギクの花が広がり壮観だが、多摩川全体からするとここだけが例外で、自生地で約30、その他すべて合わせても500株前後と思われ絶滅危惧は変わらない。
 午後は永田橋下流を見に行く、多摩橋付近の低水護岸工事のためこの地区では最下流にあるカワラノギクが刈り取られることになった。その周囲にカワラニガナも160株ほどあった。工事区域外でカワラノギクが8株、ロゼット1株。
 モズが盛んに鳴いていた。ジョウビタキもぼちぼち来ている。

10月19日 二子玉川上流左岸
 定例自然観察会。土手の自然観察が年間テーマなので、兵庫島に渡ってからずっと野川沿いに上流へおもに土手を歩く。
 野川には鮎と思われる小魚がたくさん泳いでいる。白い花が目立つシャクチリソバ(牧野富太郎命名というから昨今の帰化植物ではない)、無数の実をつけたノイバラ、等々。
 途中、野川を渡る立派な橋脚や車返し、階段護岸等が柵で閉ざされ数年放置されている箇所がある。柵をくぐって中に入ると周囲に広がる野球場やサッカー場、兵庫島等々が一望に見渡せる。階段護岸にはススキやセイタカアワダチソウ、セイバンモロコシ、その他牧草などがたくさん生えて護岸緑化のように見える。
 運動場がなくなる手前の高水敷に旧低水護岸があり、ここに昔からカワラサイコ群落が残っている。この季節はコセンダングサやクズが生い茂っているが、良く見るとその下にカワラサイコの葉が見える。かつては京浜河川事務所に依頼して在来植生保護のために除草をしてもらっていたが、世田谷区が借りて管理するという話があっていまはそちらに委ねたはずだが、どう見ても放置されたままだ。
 そこから都水道局の管理地の脇を通って水辺へ。水際まで草が茂り、その藪を縫って延々と続く“けものみち”のような径を抜けるとサッカー場に出る。この辺りはかつてワンドになっていてバンが営巣していたこともあった。さて、兵庫島に戻って弁当を食べて解散。日射しが強く暑かった。
 ダイサギ、アオサギ、カルガモ、イソシギ、キジバト、ヒメアマツバメ、イワツバメ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。