多摩川の自然のニュース:2010年7月〜9月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。画像は約4ヶ月で削除します。

2010年4〜6月
2010年1〜3月

9月26日 友田地先の多摩川 曇り
 水量がいつもより若干多い。
 数年ぶりに見つかったカワラハハコが跡形もなく消えていた。いくら探しても何の痕跡もない。猛暑で溶けたのか採られたのかはわからない。過去の例を思えばこの季節でもまだ存在が確認できるぐらいの形は残っているはずだ。
 青梅は友田も河辺も河原に誰かが遊歩道をあちこちに造っているが、ついに圏央道橋下流までそれが延びた。
 自生のカワラノギクは6月の調査時と比べて実生が減ったようだ。猛暑で枯れた株もあるが、今秋開花しそうな株は50弱。一昨年は3株だったことを思えば将来性は残っている。
 この辺り一帯は草があまり生えないのでカワラニガナは健在だ。カワラバッタがあちこちで飛んでいる。
 林間にはヒガンバナがようやく咲き出した。
 モズの高鳴きが聞こえる。ハグロトンボとミヤマアカネが多い。
 カイツブリ、トビ、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、シジュウカラ、ハシブトガラス。

9月20日 多摩川右岸「永田地区」 晴れ、暑い
 海外出張その他で久しぶりの多摩川。日本はまだ夏だった。
 8月末のカワラノギク・プロジェクトの除草作業に参加できなかったので、まずは現状を見に行った。猛暑でもクズやアレチウリ、オオブタクサの繁茂に影響なしで、物凄い勢い。
 今春まで広大な丸石河原だったところもいまや草原地帯。カワラノギクの新芽が足の踏み場もないほど生えていた一角だけかろうじて猛暑の影響が小さかった。
 B工区は2mのブタクサ原。カワラノギクのシードバンクと位置づけるA工区は、猛暑のなかで2回参加者が頑張ったおかげと、業者による機械除草によって石が見えるほどに除草されていた。良く見るとカワラノギクがあちこちで生き残っていた。昨秋再造成せず、5月に少し除草しただけの区画で最も元気なカワラノギク群落が見られるのが自然界の不思議だ(下の下段中央)。
 堤防への近道も除草されて歩きやすい。ハグロトンボがいっぱい飛んでいる。
 堤防ではツルボとツリガネニンジンが見られる。ヒガンバナの開花が遅れているようだ。
 ヒヨドリ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

8月16日 稲田堤から宿河原堰までの多摩川右岸 酷暑
 登戸で会議があり、せっかくなので多摩川を歩いた。多摩川でワースト・スリーに入るつまらない区間を炎天下に歩く自分は物好きだとしみじみ思う。上河原堰上流の右岸寄りの中州がだいぶ大きくなった。親子でミズガキをやっているのは微笑ましい。コンクリート護岸で日干しになっている若者数組。堰下の流れにコサギとカワウが群れをなして小魚を捕っている。そこから下流は堤防付近も河川敷も不毛地帯。高水敷は運動場やサッカー場が小田急線鉄橋まで続く。双眼鏡で左岸の橋下を見るとBBQをしている若者120名強。その向こうでゴミを片づけている職員の姿も見える。右岸の池は水が溜まっていたが、釣り人も鳥の姿も見られなかった。
 カイツブリ、カワウ多、ダイサギ、コサギ多、アオサギ、カルガモ、ユリカモメ。トビ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、セッカ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

8月11日 谷地川合流点上流の多摩川右岸 猛暑
 台風日本接近で天候不安定との予報で雨の用意をしっかりして出かけたが、予想がはずれ猛暑の夏空。それでも、日野市内は水量豊富な用水が各所に走っていて気持ちが良い。
 草が茂って入口がわかりづらい(というぐらい利用率の低い)公園を抜けて多摩川の土手に出るとやはり夏空に夏景色。カルガモが10羽下水処理水路で遊んでいる。近寄っても逃げないのはまだ人を恐れぬ今年生まれかも。池には釣り人2名。シオカラトンボが飛び回っている。
 河原の土丹に出る。むかしほど起伏がないが、それでも大小の池あり妙に直線のひび割れあり等々おもしろい。下流の造成地はオオブタクサの林になった。昨年見つけたカワラケツメイの群落は今年はちょっと少ない。目算で230株+200株+20株ぐらい。少し分散しているので当分絶滅することはないと思われる。
 河原から堤防に戻る通路の入口が見つからず、毎度ながらの藪漕ぎ。いつもより上流側を歩いてしまい、ラジコン飛行場に出た。きれいに芝刈りされている。近くに大型芝刈り機が隠されていた。飛行場脇に植樹数本あり、いつか日陰雨よけにしようというのだろうか。
 カワウ、カルガモ、キジ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。

7月31日〜8月1日 北秋川源流域
 夏恒例の水源合宿で今年は北秋川に行った。千足より山を登り天狗滝と綾滝を見てから、湯久保川を遡り山の中腹にあるペンションに一泊。翌日は坂を下り秋川左岸を下って神戸岩へ。最後に檜原村郷土博物館を見学。
 31日は曇りのち雨のち曇りのち雨。1日は晴で猛暑。
 まずは武蔵五日市からバスで千足まで行き、アスファルトの急坂を20分ほど登る。山道に入って同じく急坂を登ってまず小天狗滝、そして大岩を一気に落ちる天狗滝を見る。豪快だが、激しい驟雨に見舞われしばらく休憩、汗と雨で身体が濡れ、そのあと一気に体温が落ちると危ないが、蒸し暑くて全然体温が落ちないうちに雨が小降りになってさらに山道を登ること20分ぐらいで綾滝に到着。岩を這うように水が落下しそれが綾の目のように見えるとか、泡立つように見えるから泡滝だとか言われているが、先刻の雨のせいもあって水量がやや多くて綾の目にならずに水が落ちてくる。滝壺の脇にサンショウウオが棲んでいた。下りは速い。
 つぎに御前山登山口からふたたびアスファルトのかなり急な坂を登ること1時間、途中かなり高いところに民家があり、そこを通り過ぎて山腹というよりも稜線に近い雰囲気のところまで行ったら舗装道路は終点となり、宿泊地へ向かう分岐点を見過ごしたことに気づく。15分ほど戻ってすごい急坂をふたたび降り出した雨の中を登ると大きなペンションが見えてくる。なかなか洒落た建物だ。オーナーの夫は亡くなられたが抽象画家だそうで、部屋の壁に絵がたくさん掛けられている。大きなガラス窓のある談話室で休みながら80歳を越えるというが健康そのもののオーナーの山でのお話をいろいろとうかがう。湿度が高く気温が下がらないので蒸し暑い。このペンション周辺に19軒あるそうだが、どこも急坂で冬はたいへんそうだ。ここまで商店が食品等を配達してくれるそうで、宅配便も来るし毎朝新聞配達も来る。
 2日目は朝4時半に起きて野鳥の囀りを聞く。今日も暑くなりそうな空だ。八王子のわが家のほうが朝は涼しい。
 北秋川まで下り、そこから神戸岩入口まで左岸の林道を歩く。車が通らないので気持ちが良い。
 神戸岩入口からは道が広くなり、通行する車両が増え、キャンプに来た人たちも大勢見かける。民家やロッジを左右に見ながらどんどん登るとキャンプ場を抜け、急に静かになる。神戸岩はその先にある。岩の下は天然クーラーのトンネルがあり、沢沿いには鎖が岩に打ち付けた遊歩道が続く。岩が濡れて滑りそうなので、ここを通っても冷や汗で涼しい。むかし本会代表だった(故)横山さんや多くの小学生会員と一緒にここに来たことが懐かしく思い出される。
左の少年は滝壺に立っているのではなく、上の岩から滝壺に飛び込む直前。
 最後に、暑苦しい車道を北秋川まで下り、さらに少し下流へ下ったところにある檜原村郷土資料館を訪ねる。かなり奥地にある資料館だが、奥多摩湖の博物館よりはるかに充実した内容の展示が見られた。
 シラヤマギク、ヒヨドリバナ、カワラナデシコ、ヤマユリ、ほかいろいろ。
 ミヤマカラスアゲハ、クロアゲハ、コミスジ、ダイミョウセセリ、オニヤンマ、カワトンボ、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクホウシ。
 トビ、アオバト、キジバト、ホトトギス、キセキレイ、ヒヨドリ、クロツグミ、ミソサザイ、ウグイス、キビタキ、オオルリ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

7月25日 小作堰から万年橋までの多摩川 晴、猛暑
 西暦2010年の多摩川を記録する運動の第3回一生調査日。この区域は瀬と淵が繰り返されて川辺を通して歩けないため、左右どちらかの岸や橋梁から双眼鏡で対岸ないし水辺を見るという方法をとらざるをえない。青梅総合運動場地先の河原と鮎美橋上流右岸は水遊びやバーベキュー等をする人たちが大勢で、とくに鮎美橋から柳淵橋付近は狭い範囲に400人を越える人出で賑わった。これを「水遊び」「散策・休憩」「野外料理」等に分類することは実質的に不可能だ。野外で調理の準備をしている大人の近くで水遊びをしている子どもは「野外料理」をしてないとは言えず、野外料理の用意をしているように見えるが調理はしておらずテントのなかで休憩している人たちは「野外料理」か「休憩」か。テントを張ってテーブルを並べても料理せずにお弁当を食べているグループもいるが、彼らは「休憩」か。等々。野球をしている人とそれを見ている人はともに「野球」に区分するのはさほど難しくないが、上記の分類は実質できない。
 それにしても、水量はふだんよりかなり多く、流れも強く、しかも白濁しているのに、小さな子どもも含めてよく川のなかで大勢遊んでいるものだと驚く。周囲に4人しかいない所で、うち2人が泳ぎ、その1人は水着でない女性がいたが、流れに足をすくわれたら終わりだと思う。
 35度前後の猛暑にもかかわらず、サッカーや野球をする人たちも多い。しかもみな外見上30代以上の年齢の人たちだ。
 ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミが鳴き出した。
 カワウ、コサギ、アオサギ、トビ、キジバト、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

7月20日 万願寺地先の多摩川右岸 快晴、猛暑
 猛暑の真夏日でさすがにサッカーボーイもラジコン飛行機もゴルファーも、野鳥カメラマンもいない。府中本宿床止めから水際を下流に向かう細道は藪に覆われ今夏ももはや通行困難で、途中で引き返して堤防上を歩く。あちこちからキリギリスの元気な声(チョン、ギースという演奏)が聞こえる。桜木でニイニイゼミが鳴いている。
 在来植生保護地区もクズその他の雑草が繁茂している。昨年は除草時期を遅らせたためにスズサイコを刈ってしまったので、今年は逆に早く除草したが、結局、スズサイコは4株しか見つけられなかった。ワレモコウやツリガネニンジンがススキやチガヤ、クズなどに負けまいと必死に丈を伸ばしている。
 現在あちこちで目立つのがカワラサイコで、堤防のり面のほか、高水敷でも一面黄色く見えるほど咲いている。カワラヨモギの葉がみずみずしい。カワラケツメイは、まだひ弱な感じだが、400株ほど伸びているが、以前よりも群落は小さくなった。コオニユリが20株ほど咲いている。数年前は誰かが植えたのだろうとしか思えないほど不自然だったが、いまはだいぶ自然な感じになった。不法ゴルフ場やラジコン飛行場ともに最近除草が行われたらしい。日陰に入ると、カワトンボがひらひらと飛び立つ。
 ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

7月3日 羽村大橋から永田橋までの多摩川右岸 曇り
 多摩川カワラノギク・プロジェクトのオプション活動として、草花地区の自生地で除草を行った。除いたのはクズ、ピラカンサ、アレチマツヨイグサ、ヒメジオン。予想以上にカワラノギクがあちこちで元気に育っていた。シオガマソウは数が減った。
 永田地区へ移動。河原の小路は藪に覆われつつあるので堤防を経て入る。途中、ネムノキが満開。テリハノイバラも満開。河原へ入る道が今回も冠水していて苦労して入る。HLへの径から別れてA工区に向かう方向はブタクサで覆われている。
 A工区再造成区も丈30〜50センチぐらいに雑草が成長しつつある中で、カワラノギクもなんとか頑張っている。旧造成地ではザボンソウが咲き、礫の大きいところもナワシロイチゴなどが繁茂している。最上流再造成区はカワラノギクも少ないが、雑草も少ない。B工区はブタクサが一斉に繁茂し、アメリカネナシカズラが大きな網を広げていた。C工区付近はカワラノギクが一面に広がり、作業用道路は芝生状態でカワラノギクを踏まずに歩くことはできない。秋の除草の際にはテント等の資材搬入や刈った草の除去をどうするか真剣に考えなければならない。

 永田橋工事は雨季のため中断なので橋の下を抜けて帰ることができる。ただし門は閉ざされているから上流の土手をまわらなければならない。ノカンゾウが咲いていた。
 ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、シジュウカラ、ホオジロ、イカル、スズメ、ムクドリ、カケス、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。