多摩川の自然のニュース:2015年7月〜9月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
画像は重いので質を落としてあります。古い画像は半年ぐらいで削除します。
この記事の筆者はすべて柴田隆行です。

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9月28日 稲田堤から稲城長沼までの多摩川右岸
 二ヶ領上河原堰上流の中州撤去と右岸の護岸工事ですっかりつまらない水面と高水敷になった多摩川を眺めた後、上流に向かい、稲城大橋直下の河原植物の様子を見に行った(稲田堤まで行ったのは読書に耽って駅を乗り過ごしたためだが)。日射しがまぶしく目が痛い。多摩川原橋上流のニセアカシア林の小径に入ってようやく目が安らう。
 稲城大橋付近の礫河原は先日の増水ですっかり洗われ、カワラサイコがかろうじて4株生き残っているだけで、現在の多摩川でここにしかないカワラハハコ2株と多摩川最下流にあるカワラニガナは流失した(カワラハハコは7月19日に現存を確認したが、無くなったのが増水による流失かあるいは誰かがこの間に盗掘したかはわからない。礫の様子と他の植物の流失具合から推察するとカワラハハコも流失と思われる。)

9月20日 多摩大橋から日野用水堰上流右岸
 多摩大橋上下流は大規模な河川工事が行われているので、橋から川を見下ろすだけでもいろいろなことがわかる。河川環境再生事業として造られた水路は、入口が先日の増水で詰まったために水量が少ない。かつて池や湿地帯があったところはオオブタクサとクズとアレチウリが猛烈に繁茂してとても立ち入れない。水辺は先日の増水で少し洗われたので、橋の下の管理用道路を経て水辺へ行き、そこから下流の礫河原と三紀層の土丹、および造成してできた草地に入ることができる。来年の初夏までこのままであれば、新しい河原植物が生えるかもしれない。左岸は新しい護岸とつまらない「むさし野の路」が高水敷を占める。
 橋から上流側を見る。増水前とほとんど変わった様子はない。「河川環境再生事業」としてニセアカシア林や湿地をつぶして大規模造成したのに、橋の上流付近だけニセアカシアの大きな林が残っているのは、農工大の実験地にされているからだ。橋から八高線鉄橋までの堤坊脇に「もう1つの堤坊」と言えるほど大きな砂利山が連続して造られている。ラジコン飛行機を飛ばせないためか?
 八高線鉄橋上流右岸は、多摩川で三本指に入る景勝地だったが、いまは低水護岸新設のため見る影もない。堰上流は高水敷に生える草丈が伸びてやはり景観を壊している。
 彼岸花の開花が今年は例年より1週間以上早かった。お彼岸の今日、花はどこでもすでに枯れかけていた。
 カイツブリ、ダイサギ、アオサギ、カルガモのみ!

9月15日 羽村堰上流左岸〜下流右岸〜羽村大橋下流左岸
 鬼怒川の決壊地域の水が引かないようだが、多摩川の増水もまだまだだ。羽村堰上流左岸に播種されて野生化したカワラノギク群落があるが、礫河原の上流土手側は例年通り多くの開花株とロゼットが見られる。その川側はだいぶ水をかぶったようだが、カワラニガナの生き残り状況から察するに今年はもともとカワラノギクが激減し、ほとんどなかったと思われる。下流端の土手側も去年すでに十数株に減っていたが、いくらか水没したものの同じ程度に生き残っている。
 かつて地元市民がカワラノギクの花壇を河川敷運動場脇に造っていたが、いまはその1つが彼岸花畑になっている。
 羽村堰は、柴堰を外して大水を流したので現在は堰き止められず大量の水が河口に流れている。それでも玉川上水にもたっぷり水が流れているから、全体水量がまだかなり多いことがわかる。
 羽村大橋から下流は礫河原が一度はほとんど水没したようだ。現在「永田地区」の礫河原はかなり復旧しているが、カワラノギクへの影響は大きいと思われる。9月27日に除草作業があるが、A工区は浸水しないので雑草が生い茂っているだろう。問題はA工区に入れるかだ。
 永田橋下流右岸の今春まで工事をした所はだいぶ削られたようだ。
 カワウ、ダイサギ、アオサギ、セグロセキレイがあちこちで羽を休めたり餌を探したりしていた。
 羽村大橋下流左岸の堤防のり面に生えている大きなケヤキに「7月31日以降伐採する」という張り紙がしてある。幸いまだ伐られていない。たしかに堤坊のり面の大木はまずいと思うが、1970年代にはすでに10mほどに育っており、以来40年以上そのまま放置していても、この辺りの水位が低いためもあり伐採されず堤坊が危険になったこともない。それを思うと、杓子定規に伐採するのはどうかと思う。

9月12日 友田(多摩川右岸)
 台風17号の影響による大雨で鬼怒川が決壊したが、多摩川も画像を見る限りかなりの増水で河原植物の安否が気遣われてが、現場で見る限りは良くないパターン。というのは、人的被害はないと前提して河川敷内だけで言えば、雑草を引き抜き礫河原が再生されるぐらいの勢いがないと上流から砂を運んで来るだけで、河原商物的にはかえって環境が悪化するからだ。
 友田では5、6年前から友田小学校地先下流で本来の流れのほかにもう1本大きな溝が出来て、大水の時はもっぱらそこを流れるので、河原植物が繁茂している所に水が乗ることは昨今まずない。
 というわけで、カワラノギクの唯一の自生地も草が覆い茂るばかりで増水よりもこちらのほうが心配。ザッと見る限り、今秋開花しそうな株はたった6株、ロゼットが13株、合計19株が多摩川で、否、世界で唯一の自生株となった。
 小作堰下流の中州はだいぶ水が浸かったようで、所々新しい礫が見えている。

8月19日 長淵(多摩川右岸)
 蝉時雨。そう言えば、八王子市片倉のわが家のすぐ近くの公園でクマゼミが鳴いていた。
 長淵の市営プールの水がきれいだったが、近くで畑仕事をしている人によるともう4年前からやってないとか。除草もしてあり開園しなくても維持費だけは相当かかっているだろう。
 造成地の草の背丈がだいぶ大きくなったが、小砂利がぎっしり押し詰められているので草むらに足を踏み入れてよく見ると、カワラニガナやヤハズソウほか背丈の低い植物も元気に生えている。先日の局所的降雨のためか川の水量は多い。コサギ、アオサギしかいなかった。

8月16日 多摩大橋から中央線鉄橋までの多摩川右岸
 多摩橋から八高線鉄橋までは、ラジコン飛行場がなくなっただけで、昔とあまり変わらない光景。橋のすぐ上流にニセアカシア林があるがこれは農工大の実験場となっている。左岸の治水工事に併せた河川環境改善が目的のはずで、橋の下流のニセアカシア林をすべて伐採しておきながら、ここだけ残すのやり方に疑念が生じる。
 橋の下流部は今年も広大なオオブタクサの海。今年はそれに加えてクズが1q以上繁茂している。礫の山があるが、河川敷がただの資材置き場となっている。ラジコン飛行場だけがオオブタクサとクズの海の中でぽっかりと空いている。猛暑のせいか今日は飛んでいないが、橋近くの公園でヘリコプターを飛ばしている人がいた。
 谷地川流入口から工事用道路を歩く。去年はカワラケツメイがあちこち群落をつくっていたが、今年は20株ぐらいで点在しているだけだ。
 林の中でキツネノカミソリが咲いていた。
 アオサギ、カルガモ、トビ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。

8月14日 永田橋下流右岸
 永田橋下流にカワラノギクがどの程度進出しているか確認しに行った。結果は、橋の直下に4株あったほかはゼロ。カワラケツメイは100+80+20、カワラニガナはさらに下流部で2+4+10+20+5ほどあり、種子をたくさんつけているものや開花している株もあった。今春まであったカワラノギクのロゼットは見当たらなかった。
 先月の増水で全体に冠水したようで、草むらに枯れ草やゴミが所々堆積している。多摩橋付近の護岸工事で造成した地区を目前にして草むらに突入したら深い水たまりに足をつっこんでしまった。思えば、ここには昔から冬季以外は渡れない水路があった。戻って多摩川の水辺に行ったら、水流は礫の下にもぐって難なく通ることができた。
 多摩橋下流で急な土手をよじ登りエノキの密生林を突破して田圃に出た。多摩橋から下流を見ると、左岸の護岸工事で水路が大きく不自然になっているのが見えた。
 ダイサギ、アオサギ、ツバメ、セグロセキレイ。
 多摩橋上流右岸の林からクマゼミが鳴く声が聞こえた。

8月1日〜2日 水源合宿:奥多摩湖
 毎年夏恒例の水源合宿、今年は奥多摩湖畔で行った。折からの猛暑は奥多摩でもまったく変わらない。空気がきれいな分、直射日光が強いように思える。
 奥多摩駅からバスで奥多摩湖へ。14時着。バスから降りたとたん、裏山(湖の北側の山)から雷鳴が轟くのが聞こえる。山に雲がかかっているが、ダム周辺はまだ日が差しているのでとりあえずダムに行き、真下の渓谷を見下ろしたり監視塔の1つが現在観覧塔として開放されているので入ってみたりしたあと、雷鳴がそろそろ近づいて来た感じがしたので、つぎの訪問予定地である「奥多摩水と緑のふれあい館」へ向かう。森からはミンミンゼミやニイニイゼミのほかに早ツクツクホウシの鳴き声が聞かれる。ふれあい館に入って数分後に雷雨となり、時に風も強く、結局1時間半ほど館内に閉じ込められた。おかげで、民俗展示その他を数回見て、奥多摩湖周辺の自然や水道局の活動を紹介するビデオ10種類ほどをすべて見たり、3D 映画を見たりして、この付近の自然や民俗、歴史についての知識だけは十分蓄えることができた。
 16時半頃ようやく雨が止み、湖畔を通る青梅街道を宿のある倉戸口まで歩く。途中虹を見た人もいた。今夜の宿である小河内荘は、トンネルの上にあるので車はめったに来ず、湖が見下ろせ、三頭山、月夜見岳など周囲の山も良く見えるとても良い所にある。建物もきれいで、玄関の植木もよく手入れされた雑木林風に造られている。桧風呂、料理もおいしく、参加者全員満足でなにより。夜の自然観察で少し山の上のほうに向かったが、民家や元民宿等はみな明かりがついておらず真っ暗で人が住んでいる気配がほとんどない。カンタンが少し甲高い音で演奏している。真上の空に星が瞬き、飛行機が数機飛んでいる。
 翌日は4時半から早朝観察。暈のついた大きな丸い月が湖の上で煌々と輝き、ボートこそないが、ユリー・シュルヴィッツの絵本『よあけ』のような幻想的な雰囲気に浸ることができた。温泉神社まで登ると、ダムのある湖下流部との上にまっ赤な太陽が昇るが見える。熱海バス停方面をまわって宿に戻ると、近くに聳える大きな樅の木の梢で十数匹のイワツバメが群がり乱舞している。ねぐらではないので羽虫でも湧いたのだろうか。
 朝食後、大麦代駐車場先から「見はらしの丘」へ登ったが猛暑に加えて整備された公園でつまらないので中断。下ってふたたびダムを渡り、湖右岸に続く「いこいの路」で自然観察をして終えた。日が差せばふたたび強い日射で猛暑はここまで来ている。ルリボシカミキリ、キモンカミキリ、ヤママユ、等々。オオムラサキを見たとか。
 アオサギ、トビ、キジバト、コゲラ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ヤマガラ、シジュウカラ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

7月28日 京王線鉄橋下流の右岸と中州
 関戸橋の架け替え工事がこの冬から約15年間かけて行われる予定で、その第3回目(一昨年と去年に続き)の工事説明を受けた。仮橋を架けるのに3年かかり、その度に瀬替えが必要になるので、この一帯の環境が落ちつくのは竣工後つまり15年度になるだろう。その頃には自分はもういないのではないかと思う。
 説明会後、川を渡って中州に入った、礫河原に砂が大量に堆積し、シナダレスズメガヤが一面に繁茂している。先般の台風による増水は砂を運んできただけのようだ。カワラニガナが一部の箇所にまとまって生えている。一昨年と比べたら激減、去年と比べるならばかなり復活というところ。カワラノギクが2箇所、5株あったが、鉄杭にテープが結ばれ「カワラノギク」と書かれている。橋の架け替えで環境調査をしている東京都によるものかもしれない。
 セッカが盛んに鳴いていた。アオサギ、カルガモ、ガビチョウ。

7月26日 片倉
 東京の四ツ谷辺りではだいぶ前からだったが、八王子の片倉でもニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシの大合唱が聞かれるようになった。

7月20日 友田地先の多摩川右岸
 増水による河原植物への影響調査。多摩川で、と言うより世界で唯一のカワラノギクの自生地の様子を見に行った。水はだいぶひいている。炎天下の猛暑。ニイニイゼミとミンミンゼミが鳴いている。
 相変わらず誰かが遊歩道の整備を行っている。タラノキの畑(?)あり。水路跡には水がまだ溜まっている。カワラニガナが無数に生えている。ネムノキの花がまだ少し残っている。ブッドレアが花盛り。ウグイスが盛んに囀っている。
 そんななか、自生のカワラノギクは元気に育っていた。この秋に開花しそうな株が17、ロゼットで終わりそうな小さな株が19。人為的に荒らされなければ順調に育ち続けると期待できる。それにしても、絶対数が少なすぎる。近い将来、自生の株は絶滅するかもしれない。

7月19日 稲城地先の多摩川右岸
 台風の影響で多摩川や浅川の増水が中央線車窓から見るかぎりすごく、礫河原がすべて冠水しており、河原植物の安否が気遣われた。
 梅雨明けの猛暑の中、矢野口から稲城長沼の区間の多摩川右岸の様子を見に行った。水はかなり引いており、河川敷では野球やラグビー練習、ラジコン飛行機、ジョギング、犬の散歩等々炎天下にも拘わらず予想以上の人出。ニセアカシア林の手前にカワラサイコが8株あった(2枚目の写真)。
 河川敷にニセアカシア林が続くのでちょうど良いと期待したが、意外と陽が入り、しかも中は無風状態で蒸し暑い。ニイニイゼミが鳴いている。稲城大橋手前で林が切れた途端に風が吹いてホッとした。ハグロトンボがひらひらと舞っている。
 橋の直下は増水時水が溜まったようで泥が堆積している。しかし、冠水したものの水は表面だけ流れたようで、植物はほとんどそのまま残っている。カワラサイコは上辺は横倒しになっているが根はしっかりついて花を咲かせていた。38株健在。多摩川で唯一現存するカワラハハコは2株とも残っていたが、1つはすでに枯死しており、わずかにひこばえが出ているだけ。もう1株は元気だが雄株で花はまったくない。こちらは確実に河川工事区域に入るので、秋に移植しなければならない。カワラニガナは1株しか見つからなかったが、これも増水のせいではないと思う。
 それはそれとして、とにかく暑い。少しは涼しげな稲城の用水に沿って駅へと急いだ。

7月12日 カワラノギク・プロジェクト
 先週の日曜日が雨で今日に延期となったが、今日は一転して猛暑。とは言え若干風があり許容範囲内だった。堤坊のり面はノジトラノオとノカンゾウが花盛り。永田A工区の除草対象エリアの雑草も伸び盛り。
 明治大学学生や京浜河川事務所の職員などを併せても今日はさほど多い人数ではなかったが、終わってみると意外とはかどって除草対象地はきれいさっぱりした。
 少し上流の区画では通称ツルハシ隊の皆さんが除草してくれた。
 終了後、あきる野市で計画している雨水等排水溝建設計画について現地協議を行った。まだ計画中とのことで、意見交換・情報交換をした。
 キジバト、ホトトギス、アオゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、ガビチョウ。
の写真はわが家の庭のオカトラノオ