多摩川の自然のニュース:2008年1月〜3月

新しい日付順に配列してあります。水色は多摩川水系桃色は他の川等緑は会議等です。
下線を敷いた件については画像があります。画像は重いので質を落としてあります。
画像は約4ヶ月で更新します。

2007年10〜12  

【4月以降】

3月16日 和泉多摩川 曇りのち晴れ 最初寒風のち暑い日射し
 和泉多摩川駅から多摩川に出る近くの住宅地に夕方無数のムクドリが終結する電線があったが、今日見たら無数の針がついてムクドリがとまれなくしてあった。
 小田急線鉄橋上流に異常なほど大勢の釣り人が並び、釣り堀のようだ。橋をくぐってすぐの堤防のり面にいつものようにヒメウズの花。
 川側のり面は車いす用のスロープ設置工事中。計画ではすぐ近くに3本も造るとあったが、無駄だし堤防の自然破壊になるので地元団体を中心に国に働きかけて1本にしてもらった。
 宿河原堰の護床ブロック再生工事中。
 今日は堰上にカモが少なかったが、下の叩きでオナガガモがたくさん逆立ちして餌を採っていた。水辺はオオカワヂシャが多い。柳の新芽が爽やか。
 狛江水辺の楽校では今日も大勢の参加者を得て流木拾いや小川と池の修復などの土木作業をしていた。拠点の広場にある大きなヤナギの幹の下から1mくらいの高さにたくさんのひげ根が出ているが、これは昨年9月の増水後に土砂がこの高さまで埋まってたからだとか。少し下流の排水口にも大量の流木や枯草が山のようになっており、これを撤去して堤防小段まで持ち上げないと国は除去してくれないとか。その水辺ではたくさんのオイカワかなにかの稚魚が泳いでいた。池には大きなカエルがたくさん集まっており、アカガエルやヒキガエルの卵やオタマジャクシがいた。家族連れや子どもたち、幼稚園生など大勢の人たちが付近の自然で遊んでいる。竹本さんたちの活動の成果だろう。
 ツクシが出、ヒバリが囀る。花粉もたくさん飛んで目がかゆい。
 午後は、近くの地域センターで会の総会を開いた。内容は別項。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ユリカモメ、セグロカモメ。キジバト、カワセミ、ヒバリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

3月8日 睦橋周辺の左岸 快晴

 河川生態学術研究会合同発表会の午前の部で、睦橋に集合したが、早く着いたので先に橋の上下流を視察。参加者が橋の上から福生南公園を見ている間に、橋の上流から水辺に降りて、下流の方まで新たに出来た中州を視察した。漁協の人たちらしき人たちが川に網を張って調査をしていた。福生南公園では、ダンプが入って復旧工事をしている。護岸工事は国の担当で秋から工事が予定されている。午後の意見交換で聞いた話では、とりあえず通行ができるようにし、またグラウンドも使用できるようにするが、公園全体をどうするかは今後話し合う予定とかで、駐車場も入口付近だけにするらしい。
 午後の研究発表は「出水」がテーマで、古い写真で河原の変化を紹介(柴田)、永田地区B工区の植生変化(星野)、秋川と多摩川に棲む魚(宮崎)、川の形の変化について(知花)、意見交換では、福生南公園のような河原の中の公園のあり方、魚の話が主として取り上げられた。京浜河川事務所の鈴木所長の話では、福生南公園やその下の昭和用水堰、兵庫島の公園等も根本的に見直す必要を感じており、検討を始めているとのことだった。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、カルガモ。キジバト、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。

3月7日 是政橋から関戸橋までの多摩川左岸 曇り
 東京都が大丸用水堰の改修を計画するというので、事前の協議を現地で府中野鳥クラブの代表にも参加していただいて行った。まだ国に申請する前の計画段階の話で、工事は今秋以降と来秋以降の2期で、右岸側にある取水ゲート等改築と、全体の補修を行う。資材搬入ルートならびに仮設ヤードの候補地などについて現地で確認し、自然への影響のない方法を話し合った。
 ついでに南武線南多摩駅から京王線聖蹟桜ヶ丘まで歩き、多摩川の現状を視察した。南武線鉄橋橋脚補修工事実施中。その上流水辺は昨年の増水でかなり水がかぶり砂利が流動した模様で、府中の小学生が育てたカワラノギクは全滅と思われる。代わりにカワラサイコが増えた。大丸用水堰前後は砂利がたくさん堆積し、とくに左岸側の魚道には水が来ていない。というよりも、タカ類が多く活動の場としている中州が左岸と連続してしまい、歩いて中州まで行けるようになってしまった。中州には釣り人が入るし、少し上流ではサバイバルゲームまで行われており、タカ類やカモ、サギの楽園だったこの中州もいまや野鳥達が棲める状態ではない。水路は少し上流部分から右岸に集中して流れて右岸を削り、また深掘れを起こしている。それは読売新聞社ビル近くまで及ぶ。さらには、関戸橋と京王線鉄橋の間の中州もいまや広大な砂利河原になっており、全体的にかなり荒れた感じになっている。夏までに植物がある程度復活することが望まれる。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、コガモ、ヒドリガモ。キジバト、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

3月7日 二子橋上流の兵庫島 曇り
 野川の橋を渡ると、黄色のゼッケンをつけたゴミ拾いの小学生団体やテレビか映画の取材団、そして釣り人たちが目に入る。ここは多摩川の上に乗り出した二子玉川駅ホームからもよく見えるので、人出が多い所だ。かつて田義興が鎌倉へ向かう途中、多摩川で敵のだまし討ちに遭い命を落としたとき、同じ船に乗っていた家臣由良兵庫助の屍が流れついた場所として兵庫島と呼ばれるようになった。(新田義興が落命したのは大田区矢口というのが現在の通説で、これに従うと、屍が流れつくには乗っていた船が二子より上流にあることになり、話が合わない。大田区矢口ではなく稲城市矢野口と混同されているらしい。)この中州の島がいまや公園となり、南側はすぐに川が流れていたのを埋めて大きな人工池が造られたのは「多摩らいふ21」頃だったか。しかし、増水のたびに水をかぶり、大きく毀損し、とくに2001年9月11日の台風による増水の際には壊滅的に壊れ、しかも下流側の河原が、池による流速強化による深くえぐら、すぐ直下流にある二子玉川駅の橋脚まで迫った。本来ならこの時点でこの人工公園は全面的に廃止ないし改善が求められるべきだが、そのまま復旧し、そして昨年9月の増水でまた大きく破壊された。公園を管理する区の担当者は、壊れた箇所を修復し、壊れた部分による危険を回避するのが務めだろうから、改修工事をしたいというのは理解できるが、河川管理者の国がそれをそのまま認めて良いのかは大いに疑問だ。そんなことを、世田谷区の公園緑地課長、京浜河川事務所、世田谷区民と合同で現地で話し合った。

3月2日 日野橋から浅川合流点までの多摩川右岸、新井橋までの浅川左岸 晴
 1992年秋から始めた国分寺市並木公民館主催の「多摩川を歩く会」の参加者が、公民館行事終了後自主グループとして活動を継続し、現在も毎月1回各地を歩いている。参加者皆さん健脚で、筆者は途中で早退したが、予定ではさらに石田大橋を渡り、矢川駅までとなっている。
 今日は晴れているのに風が冷たかったが、昼頃から春の陽気となり、ホオジロやシジュウカラの囀りが聞かれた。
 日野橋付近の河原も昨年9月の増水で大荒れとなり、いまはまだ冬枯れで殺風景。途中でムクロジの実を拾ったり、一筆啓上仕り候の囀りを聞いたり、脱いだ靴がきちんと一列に揃えられている非常に躾の厳しそうな少年野球チームを眺めたりして、カワラサイコやカワラヨモギのロゼットを観察したり、カワラノギク育成地すぐ近くの草むらに15×20mほどの無断耕作地を発見したり、頭上をブンブン飛び回るラジコン飛行機の騒音に悩まされたりしながら、浅川合流点へ。そこから浅川を遡り、土方歳三の墓がある石田寺に寄って、カヤの大木を見上げ、下水処理場屋上の広場へ。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、イカルチドリ、セグロカモメ。キジ、キジバト、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシブトガラス。

2月28日 登戸の多摩川 晴、暖かい
 小田急線の複々線工事が進行中。その下流の人工池の釣り人がいなくなって、のどかな風景。
 宿河原堰の上下流にカモがたくさん集まっている。全部合わせれば500羽以上、あるいはもっといたかもしれない。ここでもヒドリガモが一番多いが、キンクロハジロも40羽ぐらいいる。オナガガモ、マガモも数羽ずつ。
 カイツブリ、カワウ多、コサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ多、オナガガモ、キンクロハジロ、ユリカモメ、ウミネコ。ヒヨドリ、ツグミ、スズメ。

2月26日 浅川合流点付近と多摩大橋下流右岸 曇り、風強い
 3月20日に予定されている、「お悩みちょうーだい 浅川★多摩川★いい川つくろう 活動団体交流会」の自然生態系保持空間現地視察会の下見に随行した。
 日野駅近くにある日野市の「かわせみ館」に集合し、最初に、学習会場となるクリーンセンターに寄る。いつもそばを通るが中に入ったのは初めて。浅川合流点にあるクリーンセンター内に夏みかんがたくさん実っていたが、土壌汚染の心配があるので職員は食べないとか。
 そこから目の前の多摩川に出て、視察予定地の半分を下見する。すぐ前の池は、ホテイアオイがいよいよ数を増してきた。いまのうち駆除しないとこの夏は全面を覆ってミクリを絶滅させてしまうかもしれない。
 当地下流部の水際は昨年9月の増水で大量の砂が溜まった。その砂地にイタチらしい足跡があった。不法ゴルフ場にカワラヨモギの新芽がたくさん出ていた。不法ゴルフを放棄してもらえればカワラヨモギが復活するだろう。周囲は逆にシナダレスズメガヤに負けそうだ。
 浅川に近い秘密の花園≠ノHLホームが出来て、踏み跡もしっかりついて、もはや「秘密ではなくなった。かつてはカワラハハコの群落地だったのだが。
 車で谷地川まで行き、その上流の自然生態系保持空間を視察した。水辺の土丹は、霜で崩れて土がたくさん浮き出ている。これがいずれ下流に流されて来るのだろう。その土丹に、やけに太いイヌドクサの群落が島のようにできていた。
 カワウ、コサギ、アオサギ、コガモ、ヒドリガモ。トビ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2月18日 羽村大橋下の多摩川左岸 快晴
 小作取水堰が、昨年9月の増水で土砂が堆積して稼働傷害を起こしているために浚渫し、その土砂を昨年同様に羽村大橋付近に積む件につき、東京都水道局と国土交通省から現地説明を受けた。漁協から流水を3本確保して欲しいという要請があったが、現在行われている羽村第二床止め修復と第三床止め魚道修復・延長工事のための瀬替えで流れが右岸側2本になっているため、左岸側に寄せて砂利を積むことにしたと。
 魚道等の工事で既に大量の砂利が河道に投入されつつあり、また、少し下流にある水道局のポンプ場の護岸修復のための取り付け道路敷設が水辺で行われ、水が汚濁している。ポンプ場周辺から下流の福生市の排水口の間はいま左岸に砂利河原が広がっている(昨年9月までは右岸にあった)。
 永田橋旧橋の解体作業が始まった。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、イカルチドリ。セグロセキレイ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ツグミ、スズメ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

2月17日 多摩川流域ツバメ集団ねぐら調査連絡会 多摩市関戸公民館にて
 @2007年度の調査結果とりまとめの確認。
 Aヨシ原の保全とアレチウリ対策の国交省への要望について。昨年12月26日に京浜河川事務所へ出向き要望書を提出、1月31日にようやく回答を得たが、きわめて否定的な内容であった(下に要旨あり)ため、その対応について。
 B2008年度の活動予定。7月の一斉調査やアレチウリ防除など。
 C標識調査について。カラーバンディングの効果など。
 D勉強会(ツバメの離婚率などを研究している上越教育大学の新井絵美さんを講師に迎えて)
 国からの回答要旨「中上流部の生態系保持空間内は、現在ハリエンジュ等の外来植物に覆われ、在来植物に大きな影響を与えておりますため、優先的に調査を実施し、対応を考えていかなければなりません。生態系保持空間のあるべき姿を考え、多摩川らしい河原植生をどのように考え、どのように手を入れていくのかを判断していくには、とても時間のかかる事であります。@〜Bの箇所のヨシハラ再生・保全対策の明確な位置づけが整理できなければ、調査を実施する事も難しい事とご理解願います。」アレチウリ対策の要望地が高水敷のため除草対象外であり、「ヨシ刈りを行う理由の整理が付かないうちは、ヨシ刈りが実施できない〔以下略〕」

2月17日 多摩川台公園とその地先の多摩川左岸 晴、暖かいが、昼から北風
 定例自然観察会。駅近くの小さな商店街にまだ「鮎やき」を作っている店が2軒あった。
 多摩川駅から階段を上るとすぐに調布浄水場跡に着く。紅白の梅が咲いている。カラス捕獲小屋あり。ワカケホンセイインコの声がする。亀甲山古墳や宝莱山古墳などが続く多摩川台公園はいまジョギングをする人たちのグラウンドと化して次々と来るランナーでのんびり散策ができない。
 多摩川八景に選ばれた、多摩川と丹沢・奥多摩の山並みが望める地点から多摩川を見下ろすと、中州の形が崩れ、手前に土丹が数筋顕れていまは「川」の字のような光景は望めない。右岸にはHL団地が並ぶ。遠くの山並みは雪をつけてきれいだ。箱根の山々から丹沢山塊、本社ヶ丸、滝子山、大菩薩連嶺、奥多摩。だが、奥秩父連山や南アルプスは雲がかかって見えない。
 宝莱山古墳に15mほどの高さの梅の木があり、遠くから眺めて初めて花が満開だったとわかる。
 多摩川に出る。元巨人軍グラウンドはいま民間企業が野球場として使用しているが、河川敷にこんなに頑丈な施設を造ることは許されるかと疑問に思えるようなバックネット敷設工事が行われている。水辺は、広い砂利河原になっており、昔は水深3mとも5mとも言われ船が出ていたことが嘘のようだ。水道局前の水辺で岸辺散策路の工事が行われているが、どう見ても災害時避難用道路かと思えるほど幅が広く大規模な工事になっている。
 突然風が砂埃を舞い上げ辺り一帯霧に包まれたようになった。
 魚らん川中州周辺と、丸子橋付近に水鳥がたくさん集まっていた。
 カワウ、コサギ、オオバン2、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ多、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、イカルチドリ、ユリカモメ、セグロカモメ。ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2008年2月11日 永田地区 快晴、暖
 カワラノギク・プロジェクトの番外除草。今年は雪日が多いが、河原に雪はない。永田橋旧橋撤去がいよいよ始まる。本当に工事用道路を経て永田地区へ行けるか疑問だ。右岸堤内地の旧砂利砕石場跡の宅地建設が着々と進んでいる。
 今回はA工区のピラカンサの除去。鋭い棘で手指が痛い。おおかた取ったが、水辺に近い苗床のような箇所まで手がまわらなかった。昨年根元から切った所から蘖がたくさん出て、退治しているのか盆栽作りをしているのかわからない。
 藪から柵を抜けて親子3人組みのマウンテンバイクが通ったり、柵の向こうにモトクロスが来たりする。近くのHLが通りやすい道でも造ったのだろうか。
 ダイサギ、アオサギ、イカルチドリ。セグロセキレイ、ジョウビタキ、ツグミ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

2008年2月9日 大師橋上流右岸 曇りのち霰 冷たい北風
 多摩川河口右岸のいすゞ自動車工場跡地のうち上流半分は都市再生機構の所有地になったため、国は同区間をいわゆるスーパー堤防にしつつある。その下流半分第1期工事がほぼ終了し現在沈下待ちだが、かつてあった堤防脇の並木を川崎市が復活させるということで、その相談会を日本野鳥の会神奈川支部ともに京浜河川事務所ならびに川崎市の職員と合同で、新しく出来た多摩川河口防災センターで行った。実際に植樹するのは来年1月の予定だが、地域や環境等でどういう樹種をどういう仕方で植えたら良いかについて話し合った。川崎市も良く勉強しているようで、意見の差異はなかった。今年の末頃に再度現地で協議することとした。上記第2期工事は4月から始まる予定。それにしても、全体の再利用計画が決まらないと環境が把握できない。
 防災センターは大師橋上流の水門近くにある。近くに感じの良いアシ原が広がっている。水鳥は左岸寄りにいて双眼鏡で見てもかなり遠い。以下は確認できたもののみ。
 カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、コサギ、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ユリカモメ、ウミネコ。ツグミ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2008年2月7日 多摩大橋から日野用水堰までの多摩川右岸 晴
 久しぶりに降りた小宮駅周辺は住宅がたくさん建って様子がすっかり変わった。広い梅林もなくなった。下水処理場の屋上広場を抜けて、多摩川に出ると、多摩大橋が改築された以外は、ほとんど何も変わっていない。相変わらず広いラジコン飛行場が河原にある。土丹の芸術が見られる水辺がある。八高線鉄橋下の魚道は依然詰まっている。そこから上流の中州は、昨年9月の増水で大きく削られて、砂利河原が広がる。日野用水堰右岸の魚道はかろうじて機能していた。
 日野用水堰上流中州は、2003年まで2万羽を越えるツバメの集団ねぐらになっていたが、アシ原が減少してねぐらが消滅したため、わずかに残るアシ原を復活したいと国土交通省に要望しているが、なかなか叶えてもらえない。せめて現地を調べて欲しいということで、京浜河川事務所河川環境課の地域連携係長に来ていただいて、多摩川集団ねぐら調査連絡会代表の粕谷さんと現状説明をした。融雪の影響もあってか水量が多く中州に渡れなかったが、灌木の間にHLホームらしいものも見え、直接現地に入ってアシ原をどうしたら復元できるか調べたい。多摩川のアシ原は減少の一途で、ツバメの集団ねぐらも大規模なものはほとんどなくなり、これではツバメの営巣にも影響が出そうだ。多摩川でのツバメねぐらの価値を再認識して欲しい。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、バン、オオバン、コガモ多。トビ、カワセミ、ヒメアマツバメ、ヒバリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、アオジ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス。

2008年2月2日 稲田堤から多摩水道橋までの多摩川右岸 曇り
 稲田堤地先の多摩川は相変わらずの駐車場。強固な低水護岸が上河原堰まで続き、どこかの港にいる気分。堰に近いところは水辺に草が残っているから、この殺風景さは昨年9月の増水以後かもしれない。
 ふだん調布側から見ている川を対岸から見るとずいぶん違って見える。上流の中州はただの砂利河原となっている。堰に近い中州は右岸からは遠い。堰のすぐ上の左岸寄りにオオバンが36羽いた。最近オオバンが増えている。
 堰の左岸の工事は昨年初夏に終了し、現在右岸側が工事中。堰の付け根改良工事とともに、堰から下流2キロほどで大規模な護岸工事が行われている。
 工事現場をやっとすぎると、あとは多摩水道橋までただひたすら運動場と藪とHL住宅ばかり。HLの人たち用の畑とゴルフ場もあり、4人でゴルフの練習をしていた。ただし、この人たちは除草したり整地したりせず、でこぼこの空いた空間を利用しているので良心的と言える。水辺は広大な礫河原となっている。
 いつ来ても、多摩川原橋から下流、等々力緑地魚らん川あたりまでの10数キロ区間は多摩川で最悪と言えるほどつまらない所だ。運動場と公園と駐車場ばかりで。
 カイツブリ、カワウ、アオサギ、ヒドリガモ約300、オオバン36。セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ハシブトガラス。

1月27日 友田地先の多摩川右岸 快晴、寒風
 多摩川の水はまだ濁り水量も多い。礫河原に誰が造ったか、歩道が延々と続いている。多摩川のカワラノギク自生地で唯一人間の手が加わっていない群落が昨年9月の増水で絶滅寸前まで追いやられたが、かろうじて開花株1、ロゼット2が残った。そのうちロゼット1がどうしても見つからなかった。歩道造成ないしバーベキューで踏まれたか。開花株は冠毛のついた種子がいくつかあるが、結実していないか未熟で、この種子が落下して新芽を出すのは奇蹟に近い。
 日陰に雪が残り、水溜まりは凍っている。かつて落下する湧水を飲んだ所は、一時期公園風に造成されもしたが、いまやもうそれがどこだかまったくわからないほどに変わってしまった。左岸で大人2名子ども1名がチェーンソーで倒木(?)を切って何かしているが、遠くてわからない。風が強いせいか、野鳥もお休みだ。 イカルチドリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ。

1月20日 水管橋から睦橋までの多摩川左岸 曇りのち晴れ、暖
 定例自然観察会。「夜半から雪」との予報で寒い一日を予想したが、陽射しもあってぽかぽか天気だった。
 拝島駅からAバスにて拝島会館下車、10分弱で多摩川に着く。そこは水管橋前。一昨年の秋から改築工事が行われていたが、きれいな橋に生まれ変わった。工事のため橋の下流側の林が伐採されたのが残念だが、いま堤防から川が見通せるのは工事の所為ではなく昨年9月の大増水のため。かつて林の中に隠れていた秘密の池はいまやただの水路跡となり干上がっている。地層がきれいに見られる所はかろうじて残っている。
 水辺は以前に増して土丹が露出し、メタセコイアと思われる古代木の化石が露出している。草が倒れ、昭和用水堰が見通せる。造形美とでも言うべき土丹の間を縫うように流れる水がおもしろい。除くと稚魚がたくさん泳いでいる。
 昭和用水堰付近のカワラサイコ群落は無事だった。この堰は増水による破壊はないようだ。
 堤内地にアメリカ・フーの木があり、おもしろい形の種が沢山ぶら下がっている。
 夏場は草で入りにくい河原をしばらく進むと、それこそ絶対と言えるほど立ち入れなかった河原も増水で礫が剥き出しとなり、自由に広大な河原を歩けるようになっている。福生の排水も礫の下に浸透し、福生南公園の裏門は閉鎖中でも河原からは自由に出入りできるようになっている。クコが膨大に群生する河原を進むと、先日右岸から確認した、多摩川の新しい流れに出る。対岸で、ここ数年見かけなかったモトクロスが3台砂煙を上げて縦横に走りまわっていた。秋川合流点はラジコン飛行機がぶんぶんとうるさい。
 福生南公園の水害被害を再確認しつつ、睦橋に至って解散した。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ。トビ、コジュケイ、コゲラ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

1月6日 睦橋から秋川合流点までの多摩川右岸 快晴、暖
 昨年9月の増水後に一度橋の上から状況を確認したが、ようやく現地を歩く時間がとれた。橋より下流すぐの礫河原は広さが半減し、途中から礫の大きさが大きくなっている。1万株ほどあったカワラニガナは1株も見つからない。それにしても、対岸から見ても福生南公園の侵食は激しい。蛇篭が無傷なのは伝統工法の力か。
 かつては福生南公園の下流端付近から水路が右へ直角に曲がって秋川へ合流していたが、水路の位置が300m以上下流に下がったため、とてつもなく広大な礫河原が出現した。合流点は秋川の右岸が間近に見られる所まで下がり、遥か下流に昭和用水堰と拝島水道橋が望まれる。上流側での秋川の水流は複雑に分かれているため水量が少なく見える。水は澄んでいる。
 かつて稚魚の学校があった水路を飛び越えて中州に入る。流木・流草があちこちに堆積し、クコが猛烈に茂っている。ラジコン飛行場に10人ほどが集まっている。その脇から遊歩道に出ようと思ったが、途中にある水流に橋を架けても渡れず、元来た道を引き返した。途中から再度藪に入ると、もう10年ほど前からあるHLホームがまだあり、人の気配がして驚く。遊歩道付近にも2棟ある。
 多摩川右岸の公園に出て、多摩川を見下ろすと、大きな池が復活していた。睦橋上流右岸の池は以前のままだが、水辺の礫河原が大きくなった。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、イカルチドリ。トビ、キジバト、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ウグイス、シジュウカラ、アオジ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

1月6日 カワラノギク・プロジェクト運営委員会
 拝島にて代表・副代表によるPJ運営委員会を開催。2008年の基本方針と年間予定を決めた。また、昨年3月発足以来の、市民・行政・研究者の三位一体の協働体制を維持することを再確認した。〔詳しくは、多摩川カワラノギク・プロジェクトのHPの「ニュース」で。〕

1月5日 京王多摩川から狛江五本松までの多摩川左岸 快晴、暖
 この区間の堤防上はまったく不思議なほどいつも人出が多い。一番上流の中州は丸裸。次の右岸寄りの中州は半分以下の大きさになった。ヤナギがたくさん残っている。下草はオギのようだ。左岸寄り最大のの中州の上流端は数年前からツバメの集団ねぐらになっているが、いまは砂利しかない。ヨシは再生するだろうか。その下流側も大きさは半減ながら、下流端は増水前と変わらず、コサギやカイツブリが休み、大きなヤナギに野鳥が止まっている。
 堰下の中州はほとんど影響を受けていない。右岸の護岸修理工事が始まっている。左岸の河川敷は正月休みの家族連れが多い。調布の人工ワンドは、2つともかろうじて形を残しているが、水流が入らず、底の浅い池になっている。
 クララ保護地はちょっと大げさなほど厳重に守られている。その下流の、畑になっている私有地周辺は増水時のゴミが大量にひっかかっており、どさくさに紛れて(?)家電等も廃棄されている。狛江市地先に入ると広い礫河原が広がる。一箇所湿地のようになっている。堤防上は大勢の人が散歩したり自転車を走らせたりしている。
 カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ユリカモメ、ウミネコ。チョウゲンボウ、キジバト、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ウグイス、スズメ、ハシブトガラス。

1月2日 小作堰から羽村堰までの多摩川左岸 快晴、暖
 年初の川歩きは中央線鉄橋から日野用水堰までと決めていたが、この区間は最近歩いたので、今回は昨年9月の増水で全面的に浸水した小作堰下流の中州を歩いた。かつてカワラノギクの大群落があった中州はいまは水路の中央辺りで、はるか下流まで見通せる。小作堰からは、滔々と水が流れる羽用水を渡れないので、羽村の阿蘇神社まで住宅地を歩く。小作堰の上下流に土砂が堆積したため、今年も近日浚渫が始められる予定。
 阿蘇神社が七五三で賑わっているのは知っていたが、初詣客が続々と来て記帳し、行列して参拝するほど地元で大切にされている神社であるとは思わなかった。篝火が焚かれ、神殿では神主が祝詞をあげていた。
 阿蘇神社の下に流れ来る羽用水を越え、あちこち分水している流れを飛び石づたいに渡って中州に入る。用水の途中は水深があり、マガモやカルガモが木の陰で休んでいる。オギやツルヨシ、ヤナギなどが一面を覆っていた中州は素っ裸になり、かろうしじて復活したツルヨシとクコが生えているだけ。カワラノギクやカワラニガナが1株でも残っていないかと探したが見つからなかった。
 阿蘇神社参道から下流の水辺は、粒の小さな礫河原が広大に広がり、ツルヨシその他の草がほとんど流失している。一時期広がった、畑から逃げ出したカワラノギクも流失し、数千株あったカワラニガナも10株ほどになった。羽村堰上流でいつもミコアイサが見られるが、今日はメスが4羽潜水してエサを採っていた。羽村いきいきクラブのカワラノギク畑は、どこかの残土が撒かれており、今後も畑というか花壇を続けるのだろうか。ちなみに横に立っている河川占用許可の看板には「平成19年3月31日まで」と書かれていた。
 羽村堰下流右岸の低水敷に早くもどんど焼きの櫓が4つ立っていた。
 カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、ミコアイサ。トビ、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、シジュウカラ、アオジ、スズメ、ハシブトガラス。